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翅多型のハリサシガメと前胸背紋



翅の大きさや前胸背の紋に変異があるハリサシガメ

この夏は猛暑のためか期待していたほどには観察できなかったハリサシガメ。9月半ばに衰弱した♂と♀がみつかり、今シーズンはこのまま終わってしまうのではないかと心配していたが、涼しくなって再び石垣に姿を現すようになった。


雨上がり──乾き始めた石垣の上にあらわれたハリサシガメの成虫。


ハリサシガメは翅の大きさに変異が多い翅多型の昆虫。この個体は翅が長い長翅型↑。湾曲してしゃくれた腹からオスであることが判る
『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』(石川忠・高井幹夫・安永智秀/全国農村教育協会)にはハリサシガメの特徴として《後葉(前胸背の下側)に4つの黄褐色の楕円紋が横一列に並ぶ》と記されているが、この個体にはその紋が無い。


前胸背側角の部分をのぞいて前胸背後葉(前胸背の下側)の紋が消失した個体も多い。
この翅多型♂↑を撮っているうちに、その下にもハリサシガメの成虫がいることに気がついた。


落葉の上に現われたハリサシガメ成虫はオス。翅は前述の長翅型個体よりも短め。前胸背の後葉には紋がある個体だった。


石垣の下側にとまっていた成虫もオスで、前胸背の紋がある個体だった↓。


ちなみにこの3匹の成虫♂の位置関係は──↓。


ハリサシガメは見られない時はまったく見つからないが、見られる時は複数が狭い範囲に集まっていることも多い。成虫になっても集合フェロモンのようなもので集まってくるのか、それともエサとするアリの巣の近くに自然と集まるようになるのか、あるいは近くに潜んでいるメスを探して集まって来たのか……。3匹のオスはいずれも翅は長め──長翅型と準長翅型(?)といったところ。
準長翅型(?)よりさらに翅が短い──中間型のハリサシガメ成虫↓。


前胸背に紋があるこの成虫↑はメスだったが、すぐに石垣のすきまに逃げ込んで姿を消した。少し離れたところで見つけた、前胸背の紋が薄い中間型の翅を持ったメス↓。




さらに翅が短い──短翅型の成虫♀↓。


翅が小さいため、腹部背面の大部分が露出している。




僕が見てきた範囲ではハリサシガメはオスに長翅型が多くメスに短翅型が多い。この短翅型♀の近くにいた長翅型♂↓。


この長翅型♂には前胸背の紋があった。


まだ活動している複数のハリサシガメを見て少し安心したが、やはり活動は終焉は近づいているのだろうか? 雨上がりの石垣付近で、またハリサシガメ成虫の死骸を拾った↓。


この死骸はメスで、腹が膨らんでいる──卵が詰まっているようにも見えるが、産卵を終える前に死んでしまったのだろうか? 翅はボロボロだったが、中間型のよう。前胸背後葉の紋がある個体だった。


ハリサシガメの翅の大きさや前胸背の紋の変異はどうして起こるのだろう? その意味するものが(あるのか無いのか)何なのか──気になることの1つだ。


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9月の天狗セプテング!?他

9月前半のテングスケバ

8月にも2度紹介しているが……9月前半にも見られたテングスケバ──いると、つい撮ってしまいたくなる昆虫の1つ。9月(September)のテングスケバ……ということで、略してセプテング(!?)。特に目新しい発見があったわけではないが、9月前半に撮っていた昆虫の画像をいくつか。


葉上のプチ天狗。もっと人気があっても良い虫なのではないか……と、応援の意味を込めて(?)魅力的な姿を機会あるたびにアピールしてみる!?












テングスケバ(科)はカメムシ目(半翅目)。ということで……。

カメムシ目つながりで…



ハリサシガメの観察ポイントでもある石垣でみつけたカメムシ。フタモンホシカメムシの長翅型(短翅型もある)ではないかと思うが、よく似た種類にクロホシカメムシというのがいて、腹面の違いを確かめないと正確には両種を見分けるのが難しいらしい。


一部に「青リンゴの香りがする」と噂があって(?)、先月も嗅いでみたオオクモヘリカメムシ


以前、擬木で見かけた時は感じなかったが、こうして緑色の葉の上にとまっていると、体の緑色の部分が葉に溶け込んで、意外に(?)隠蔽効果が高そうだ。全身緑色でもよさそうな気がするが、そうなると「葉の緑」と「カメムシの緑」のわずかな色あいの違いがかえって目立って体の輪郭が悟られやすくなるのかもしれない。翅がベージュであることで、ベージュと緑色という大きな色格差に(捕食者の認知が)陽動され、「葉の緑」と「カメムシの緑」のわずかな色格差が認識されにくくなるということ(=ボディラインの隠蔽)は、ありそうな気がする。
もっともオオクモヘリカメムシは悪臭の武器を持っているのだから(これが捕食者に対して忌避効果があるのなら)むしろ目立つ警告色であった方が生存率が高まるのではないかという気もするが……カメムシのニオイと体色の関係はそう単純ではないのかもしれない。
体色が緑色のカメムシは葉の上では目立たないのだろうが……ケヤキの樹の幹で目立っていたフトハサミツノカメムシ♀↓。


フトハサミツノカメムシ♀はヒメハサミツノカメムシ♀とよく似ているが、フトハサミツノカメムシには前胸背の後側縁に歯状突起があるので、その有無で他種と識別できる。
やはりケヤキの幹にいたツノカメムシの幼虫↓。


カメムシ臭を放つ臭腺開口部(開孔部)は、幼虫では腹部背面に位置している(ツノカメムシ科は3対で6個)。


↑と少し違う感じもするが……やはり、ケヤキの幹にいたツノカメムシの幼虫↓。単に成長度合い(幼齢)の違いなのか、別種なのかはよくわからない。




幹の上では、ヨコヅナサシガメの幼虫に捕まり体液を吸われているカメムシの姿もあった……↓。


松の枝先にはマツアワフキが隠れていた↓。


アワフキムシはカメムシ(科)ではないが、カメムシ目(半翅目)の昆虫。


アリを襲うハリサシガメ/アリに襲われるハリサシガメ

今年は活動時期が早めだったのか、あるいは夏が暑過ぎたせいか……7月後半以降ハリサシガメを見る機会が減って、8月もほとんど見ることができず……今シーズンはペアを1組も確認していない。ようやく気温が落ち着いて、ハリサシガメ成虫が姿を見せるようになったが……活動シーズンも終盤といった感じがしないでもない。

瞬殺!ハリサシガメの狩り



雑木林のふちにある石垣に姿を現したハリサシガメ成虫♂。もっぱらアリを捕えて体液を吸う捕食性カメムシ。成虫は背中に逆ハの字模様があるのが特徴。


前胸背の両側に突き出した側角や、小楯板から突き出した棘状の突起も魅力。


このハリサシガメ成虫は腹がしゃくれている↑のでオス。撮り始めるとサッと動いた──と思ったら、近くを通りかかったアリに襲いかかっていた。電光石火の早技。あっという間にアリはしとめられていた。


このようすを撮ろうとカメラを近づけると、ハリサシガメは口吻の先に獲物をぶら下げて隠れようと右往左往!? ピンボケになってしまったが↑アリの頸にハリサシガメの口吻が刺さっているのがわかる。瞬殺したアリを口吻でぶらさげ移動するピンボケ画像──↓、




この↑あと、獲物をひっさげたハリサシガメは石垣の隙間に隠れてしまった。
別個体のハリサシガメ成虫↓。


この個体↑も直後に、やはり石垣の隙間に隠れてしまった。生きている虫はじっくり撮るのが難しい……。

活動を終えようとしている?ハリサシガメ成虫♂



後日、石垣の上で見つけたハリサシガメ成虫。不自然に体が傾き脚が浮いている。死骸かと思って触れてみるとゆっくりと動く。どうやら寿命を終えようとしているオスのようだった。


逃げる力は残っていないようなので、接写。


この個体は翅がやや長めだが、ハリサシガメは翅多型で、個体によってその大きさはバラバラ。オスに長翅型が多く、メスでは短翅型が多い印象がある。前脚と中脚の脛節(けいせつ)内側には脛当てのような器官があって僕はレガースと呼んでいる。獲物であるアリを押さえ込むさいの摩擦力を高める働きをしているのだろうと考えている。
この衰弱した成虫♂は触角や脚を動かすことはできるが体勢を制御することはでいないようす。仰向けにひっくり返すと起き上がれないが、その脚先に触れると、指先につかまる力は残っていた↓。


元気な時はなかなかじっくり撮らせてもらえないので、この機会に葉の上に乗せて接写↓。




この個体は左右の前胸背側角の間(前胸背後葉)にペールオレンジの紋が入っているが、紋が消失した個体もいる
直径20mmの1円玉に乗せての大きさ比較もしてみた↓。


エサであるアリに襲われる!?ハリサシガメ成虫♀



ハリサシガメは成虫も幼虫もアリを主食にしている。しかし、そのアリに襲われているハリサシガメ!? アリには申し訳ないが、拾い上げてみると、衰弱した短翅型の成虫♀だった。やはり活動も終盤なのだろうか……。普段アリをエサにしているハリサシガメもアリのエサになり得るということだろう。これも葉の上に乗せて接写。




よく見ると、短い左翅の縁が欠けている↑。回収時に背中に乗っていたクロヤマアリにかじられた痕かもしれない。


腹は(しゃくれた)オスと違い膨らんでいる↑。アリの体液を吸う口吻はカメムシの仲間としては短い。ハリサシガメの頭~胸あたりを見ていると、なんとなくコンドルを連想してしまう……というのは僕だけだろうか?


ハリサシガメ:前胸背の模様など

ハリサシガメの死骸~前胸背の模様/臭腺開口部は!?

この夏は異様に暑かったせいか、7月後半以降、 ハリサシガメ(*)を見る機会が減った。観察しやすい石垣は陽が射すと高温になるためだろう、アリやトカゲの姿も少なかった。本来ならペアの姿が観察できてよさそうな時期だが、さっぱりダメ。活動していれば目にとまりそうなアリの死骸(ハリサシガメ成虫はアリを捕え体液を吸った後、デコらないので死骸が残される)も見つからない……。
そんな中、石垣の下にハリサシガメ成虫♂の死骸が落ちてた。


活動を終えた成虫だろうか? ふだん動き回っているときにはじっくり撮れない部分を撮影してみることにした。死後、どれくらい経っているのか……容器に移すさいに左後脚がとれてしまった。


触角は欠け、複眼も壊れているようだ。その背面からの上半身ショット↓。


捕食性カメムシだけあって(もっぱらアリを狩る)複眼が発達している。前胸背の両端には牙のような側角が突き出していて、頭に近い部分(前葉)は複雑な立体模様がほどこされている。その胸部を左側面から見ると──↓。


横から見ると小楯板がら突き出した棘状の突起が目をひく。牙のような前胸背側角もそうだが、こうした鋭い突起は、鳥などに呑み込まれにくくする、ささやかな抵抗(?)になっているのだろうか?
『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』(石川忠・高井幹夫・安永智秀/全国農村教育協会)には(ハリサシガメについて)《前胸背側角は棘状に突出し、後葉に4つの黄褐色の楕円紋が横一列に並ぶ》と記されているが、この個体にはその特徴(4紋)が無い。側角の部分をのぞいて前胸背後葉の紋が消失している。僕が見たところ、前胸背後葉の紋が消失している個体は少なくない。昨年8月に撮影した「紋が明瞭な個体」との比較↓。


前胸背後葉の4つの紋の大きさ(や有無)は個体によってまちまち──ということは、この模様には特に意味(生存率に関わる効果)は無いのだろう。


ハリサシガメの死骸を仰向けにひっくり返すと、腹が湾曲していた──これはオスの特徴(【ハリサシガメの腹】参照)。
仰向けにして確かめたかったのは、ハリサシガメ成虫の臭腺開口部だったのだが……。


色々な角度からクローズアップで撮ってみたが、臭腺開口部を確認することはできなかった……。ハリサシガメの臭腺開口部は消失しているのか、目立たぬほど小さいのか? 成虫のオスがメスを探すさいにはニオイを(も?)頼りにしているのだろうから(?)、臭腺はあっても良さそうな気がするが……幼虫時代は土粒やアリの死骸などで体をおおっているので、臭腺液を分泌することがあるのかどうか……疑問を感じる。あるいは幼虫の臭腺液にあたるものが、土粒などをまとうさいの接着剤になっているのではないか──などと考えたこともあるが、真偽の程はわからない。擬装素材を貼り付けるのにペースト状の糞が使われているという説もあるようだ。
ハリサシガメについては情報が少なく、わからないことが多いので、観察を続けることで推測素材を増やしていきたいところだが……今シーズンは暑くなってからの観察があまりできていない状況……。


青リンゴ亀虫!?を再び嗅いでみた

オオクモヘリカメムシ成虫の臭腺開口部&ニオイ



頭から小楯板にかけての緑色の部分がトランプのダイヤ型(菱形)に見えるオオクモヘリカメムシ成虫。ハート型の紋をもつエサキモンキツノカメムシが「ハート亀虫」なら、オオクモヘリカメムシは「ダイヤ亀虫」といったところ。
このオオクモヘリカメムシについては、「青リンゴのような匂い」がするという噂があって、以前試したことがあった。そのときは、さわやかな香りをイメージして嗅いだのだが……キツいニオイに「オエ~」っとなった(*)。僕には不快に感じられたニオイだが、「青リンゴのような匂い」という人もいる……。その時々の個体によって放出されるニオイの強さ(密度)に違いがあって印象が変わるのだろうか? あれから7年あまり経った今、もう1度、オオクモヘリカメムシのニオイを確認しなおしてみることにした。
カメムシの成虫は胸部腹面に1対の臭腺開口部(開孔部)があって、ここからカメムシ臭のする分泌液を放出する。




オオクモヘリカメムシ成虫の臭腺開口部を確認した後、つまんでニオイを嗅いでみることにした。


7年前は爽やかな香りをイメージしていきなり吸い込んだので悪臭との落差に衝撃を受けたが、今回はクサさに警戒しながら嗅いだためか、さほどショックは受けなかった……しかしやはり「オエ~」なニオイ。匂い始めはチラッと「稀釈すれば青リンゴ系になるのかもしれない?」という気もしたが、やはり「爽やかな香り」とはほど遠い。
指先に付いたニオイは1度流水で手を洗ったが落ちず、15分程経って、もう一度流水で洗うと、ほとんど臭わなくなった。

オオクモヘリカメムシ幼虫の臭腺開口部&ニオイ



成虫がとまっていたのは松の枝先だったのだが、その近くにおそらく終齢と思われる幼虫も何匹かいたので、オオクモヘリカメムシ幼虫でもニオイを確かめてみることにした。
カメムシの幼虫は(成虫と違って)、臭腺開口部(開孔部)が腹部背面にある。科によってその位置や数に違いがあるようだ。


ヘリカメムシ科幼虫の臭腺開口部は、第5&6番目の体節の背中側にある。
ということで、オオクモヘリカメムシ幼虫の腹部背面をアップで──、




このあと、オオクモヘリカメムシ幼虫を右手でつまんで嗅いでみたが、放たれたニオイは成虫と同じだった。
今回、オオクモヘリカメムシの成虫と幼虫を1匹ずつ嗅いでみたが、それぞれ強い不快臭を確認できた。

ついでにマツヘリカメムシ成虫も嗅いでみた…

こうなると、これまでニオイを確認することができなかったマツヘリカメムシ(*)のニオイを確かめてみたくなる……。


ということで、マツヘリカメムシ成虫をつまんで嗅いでみたが、無臭……これまで、マツヘリカメムシ成虫を5匹嗅いでみたわけだが、全てニオイを確認することができなかったことになる。