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ツチノコの正体!?

01ツチノコ図

ツチノコ・フィーバーをふり返って
昔、ツチノコというUMA(未確認生物)がブームになったことがあった。
実際に遭遇したことがあるという矢口高雄氏の漫画『幻の怪蛇バチヘビ』(バチヘビ=ツチノコ)が、ツチノコブームの火付け役となったとされている。僕もこの作品は夢中になって読んだ記憶がある。
世の中の関心が高まるなか、ツチノコに賞金をかけツチノコ探しのイベントで地域おこしをはかる自治体が現れ、それがブームにさらに拍車をかけた。ツチノコにかけられた懸賞金の最高額は2億円。実在しない生物の発見や捕獲に多額の賞金をかけて集客するのは、当たりのないクジを売るようなもの──賞金は最初から支払われることがない(ことを見越した)見せ金で、ブームに便乗したあざといPRイベントではないのかといぶかしく思ったものだ。
ツチノコ探検隊には多くの参加者が集まり盛況だったらしいが、当然のことながら、肝心のツチノコは確認されていない。
ツチノコの存在を確かめることが真の目的であるならば、発見がかなわなかったのだから催しは《失敗》ということになるはずだが、実際は集客に成功し地域PRのもくろみが当ったことで、企画者たちは《成功》とほくそ笑んでいたことだろう。
けっきょくツチノコは地域PRのアイテムとして利用されただけ。未知の生物に対する関心など見せかけで、実際に欲しかったのはツチノコによる集客利益だったのではなかったか……そう考えると、なんだかさもしい印象がなくもない。

ツチノコの目撃情報──イタチ誤認説!?
ツチノコの存在を裏付けるものは何もみつかっていないが、目撃情報だけはたくさんある。おそらく全てが何かの見間違い──誤認情報だったのだろう。
ツチノコの正体(誤認された別の生物)については諸説あるようだが、僕は目撃情報の中にはイタチを見間違えたケースも何割か含まれているのではないかと秘かに思っている。《イタチ誤認説》はあまりメジャーではないようなので、一応記しておくことにした。

ツチノコの正体については、僕も既存の在来ヘビ(捕食後や卵を抱えて胴がふくらんだ個体)や輸入物資に紛れ込んできたデスアダーのような外来ヘビの可能性を考えていた。そんな僕が《イタチ誤認説》を持ち出すのは、以前飼っていたフェレット(家畜化されたイタチ科動物)が散歩中にヘビと間違えられたことが何度かあったからだ。
「白蛇」と誤認された個体がこれ⬇。
02フェレット切株A
一見、フェレット(イタチ)とツチノコは全く別物だ。だから最初ヘビに間違えられた時は僕も意外だった。
フェレットは通常、背中を丸めているが、警戒しているときなどは、地面に貼り付いた姿勢で匍匐前進(ほふくぜんしん)することがある。見通しの良い浅い草原のようなところ(身を隠す場所が無い所)では、天敵の猛禽を警戒する習性からか、よく地面にへばりついた匍匐前進スタイルで移動する。すると脚が見えず、草の上をズンドウで尾が細いヘビが滑るように移動しているようにも見える。その姿勢で頭を持ち上げると、鎌首を持ち上げたツチノコのできあがりである⬇。
03フェレット匍匐A
水を張った容器に体をつけて涼むフェレット(別個体)⬇。
04フェレット水浴
こうして見るとフェレットの細長い体はズンドウのヘビに見えなくもない。
フェレットは家畜化された動物だが、日本のイタチも同様に匍匐前進することがあるなら、これを見てズンドウで尾が細いヘビ=ツチノコと誤認する人がいてもおかしくない──そう考えたしだい。
ツチノコの目撃情報の中には、まばたきをする(ヘビは眼が透明なウロコでおおわれており、まばたきはしない)とか、ジャンプする、体表面には毛がはえていたというようなものもあるというが、これらはイタチを誤認したものではないかという気がする。中には角が生えていたという話もあるが、これはイタチの耳介が角に見えたのかもしれない。
矢口高雄氏は『幻の怪蛇バチヘビ』の中で彼がヤマメ釣りで遭遇したバチヘビ(ツチノコ)について《色は黒褐色で背中に斑点あり》と記しているが、イタチはよく川にもぐってエサをとり、水からあがったときの姿は水を含んでくっつきあった毛先(黒っぽい)が細かくまとまり黒っぽい斑点もようになる(髪を細かく編み込むコーンロウで頭に模様ができるように)──。ツチノコの模様については、イタチが川から上がってまだ被毛が濡れているときにできる模様のことではないかという気もする。
ツチノコの目撃情報のうち、イタチを誤認したケースがどれだけあるのかわからないが……フェレットがヘビに間違えられるのを目の当たりにしている僕としては、一定の割合で《イタチを誤認した目撃情報》が含まれているのではないかと思えてならない。

白蛇と間違えられたフェレットは、こんな動物⬇


実在しない生物を追うより、実在する生物に関心を!
ツチノコ・ブームのときは、〝未知なる存在〟への憧れ──ツチノコ探しがロマンを追うことのように世間では捉えられていたフシがある。しかし、ツチノコ探しに情熱を傾ける人たちを見ていると、既存のヘビに対する基本知識が欠如していたり、ヘビに対する関心が無いばかりか、ヘビ嫌いの人も含まれていたようで、僕には違和感があった。ツチノコを新種のヘビだと考えている人が多かったようだが、既存のヘビについて語ることができない人たちが、どうして未知のヘビについて語ることができるのか。ヘビについて無知だからこそ、ヤマカガシやマムシをツチノコだと誤認するようなことが起こり得たのだろう。
ツチノコ探しに賞金をかけたり、〝ロマンを感じて〟探検隊に加わった人たちの〝本気度〟がどこにあったのか、僕によくわからない。自治体のPRや功名心、あわよくば賞金稼ぎ……そんなところに真意があったのではないか?
《ロマンは欺瞞》と言いたくなる。

僕としては……《実在しない生物にロマンを求めるのではなく、実在する生物に求めたらどうなんだ!》という気持ちがある。
《まぼろしの生物ツチノコ》はユニークではあるけれど、その想像図とよく似たヘビ(デスアダーやヒメハブなど)は実在する。ツチノコが実在していたとしてもさほど奇異なことでもないだろう。あるいは、そのビミョ〜なリアリティが「もしかしたらいるかも?/見つかるかも?」という幻想(?)を後押しすることにつながったのかもしれないが……。
しかし、《奇異な存在》《ふしぎな生物》という点でツチノコ以上という存在は、既存の生物の中にもたくさんいる。どうして不確かな《未知の生物》ばかりに関心を向け、既存の生物に着目しようとしないのか──僕には不思議でならない。
たとえば先日、人気番組の中でとりあげられたシャチホコガの幼虫なんぞは、ツチノコよりもはるかにインパクトのある生物だと僕は思っている。
05シャチホコガ幼虫TV
幻想にロマンを求めるのではなく、身のまわりに実在している不思議を再発見することに、もっと関心を向けてもよいのではないか……僕はそう思うのである。



散歩派フェレット・プチアルバム
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ザ!鉄腕!DASH!!にシャチホコガ幼虫

01シャチホコガ幼虫TV
※これはフィギュア⬆イモコレ!2のシャチホコガ幼虫

怪獣ならぬ怪虫!?シャチホコガ幼虫がテレビ番組に!?
先日、テレビ番組を制作をしているという方からブログ経由で連絡があった。番組内でシャチホコガについて取り上げることになったそうで、僕のブログ記事(シャチホコガ幼虫の威嚇ギミック!?)に掲載しているシャチホコガ幼虫の画像を使用できないかというお話だった。
僕としては、拙ブログ記事が何かの役に立てれば本望なので、快諾。
シャチホコガを取り上げるという奇特な番組は、日本テレビの「ザ!鉄腕!DASH!!」──その中の「新宿DASH」という企画でのことらしい。放送予定日は9月6日(日)、19:00〜だそうだ。

僕は地デジ化を機にテレビから離脱しているので、現在のテレビ事情はさっぱりなのだが……検索してみると「ザ!鉄腕!DASH!!」は、日曜日19:00〜19:58放送のTOKIOが出演するバラエティ番組らしい。
どういう形で提供したシャチホコガ幼虫画像が使われるかわからないが……こんな奇妙な生き物がいることを多くの人に知ってもらえる機会が増えるのは喜ばしいことだ。
初めてこの虫を目にしたときは、「よくぞまぁ、こんなデザインが実現したものだ」とたまげたものだが……この衝撃は、とても独りの胸にとどめておけるものではない。「王様の耳はロバの耳!」と誰かに教えたくなるように、「この虫、すんげぇ〜ゾ!」と世間に知らしめたくなる。
ちなみに、このキモかっこいい幼虫を僕は「シャッチー」と呼んでいる。

チョウや蛾の幼虫──イモムシの中にはけっこう奇抜なものがいたりするのだが……おもしろい割に、あまり知られていないというのが、もどかしい。
そこでこの機会に、僕が見た中で、おもしろいと感じたイモムシを、さらに3つほどプチ紹介しておくことにする。

造形や空目模様、ギミックがユニークなイモムシたち

ウコンカギバ⬆葉上のドラゴン:ウコンカギバ幼虫より


ホソバシャチホコ⬆スーパーヒロイン模様の虫より



ウラギンシジミ⬆紫のピカチュウ!?ウラギンシジミ幼虫の線香花火より

昆虫は摩訶不思議でおもしろい。

※追記(2020.09.05):番組サイトの次回(9月6日)予告の【見どころ】によると、放送内容は、国分太一(TOKIO)、二宮和也(嵐)、岸優太(King & Prince)による「東京23区内でカブトムシ見つけられるか?」という恒例企画の虫探しらしい。



シャチホコガ幼虫の威嚇ギミック!?
擬態の達人コノハムシ〜TV番組
昆虫画像:ブログからテレビへ
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ニジオビベニアツバ幼虫@東京

南方系の美麗蛾幼虫を狭山丘陵東京側で確認


先日、ちょっと変わった幼虫(イモムシ)を見つけた。擬木支柱の上面ヘリに静止しているその姿が目に入った時は胸脚が長いシャチホコガ幼虫の系統かなと思った。しかし、よくみると「シャチホコガ幼虫の長い胸脚」っぽく見えたのは先端がヘラ状に広がった「毛」だった。こんな形状の「毛」を持つイモムシを目にしたのは初めて。ふと、冬虫夏草のシャクトリムシハリセンボンが頭に浮かんだ。《先端が広がった毛》は子実体っぽく見えなくもない。これはもしかして、菌類に冒されて絶命したイモムシなのだろうか?──そう考えて触れてみたところ生きていた(動いた)。ということは、これは自前の毛なのだろう。帰宅後調べてみるとニジオビベニアツバという蛾の幼虫だと判った。
ちなみに、パッと見、イメージした虫はこんな感じ↓。

検索した画像を見ると、ニジオビベニアツバの成虫はキレイな蛾で、僕はまだ出会ったことがない。ネット情報によるとニジオビベニアツバの基産地(新種記載時のホロタイプが採集された場所)はインドだそうで、日本での分布は少し前までは「本土南西部」あるいは「本州南西部、四国、九州、対馬、沖縄島」とされていたらしい。それが近年、関東でも確認されるようになっているようだ。ナガサキアゲハやツマグロヒョウモン、ラミーカミキリキマダラカメムシなど、少し前には関東では見られなかった(あるいは珍しかった)のに近年普通種となった昆虫は少なくない。ニジオビベニアツバが狭山丘陵に現われたのも《南方系昆虫の分布域北上化》現象の1つなのかもしれない。とりあえず狭山丘陵東京側で確認したので記しておくしだい。



ところで、ニジオビベニアツバ幼虫の風変わりな「毛」だが、ネット情報では「刺毛の先端部がヘラ状でツムギアリの触角の擬態となっている為、アリの攻撃を受けない」という説を紹介しているところがあった。これにはビックリ!? ニジオビベニアツバ幼虫のヘラ状の毛とツムギアリの触角は(形が)似ているとは思えない……これで「擬態」の役目がはたせるものか疑問に感じた。幼虫がツムギアリに擬態しているという情報はいくつかあったが……アリに擬態しているとすれば、形(視覚的擬態)ではなくニオイ(化学擬態)なのではないだろうか? このヘラ状になった部分にアリを欺く(仲間だと思わせ攻撃を抑制する?)化学物質あるいは忌避物質でも配しているのだろうか? アリをニオイで欺く好蟻性昆虫はいるというし、トビモンオオエダシャクの幼虫は寄主植物に化学擬態してアリの攻撃を免れているという説もあるようなので、対アリ用に化学擬態を用いる昆虫がいること自体は不思議ではない気はするが。
ツムギアリに擬態しているというのが本当にこの種なのか、また、風変わりな形をした毛に何か役割り・意味があるのかどうか──気になるところ。
イモムシも色々と変わり種があって面白い。ということで──、
風変わりなイモムシ・ベスト3(あくまでも個人的なところで)

葉上のドラゴン:ウコンカギバ幼虫
シャチホコガ幼虫の威嚇ギミック!?
紫のピカチュウ!?ウラギンシジミ幼虫の線香花火

2月下旬に撮った昆虫から


擬木の上にいたシロフフユエダシャク♀↑。いま目にするフユシャクの大半はこの種。やはり擬木の上にいたシロフフユエダシャク♀別個体↓。

フユシャクではシロトゲエダシャクの♂をいくつか確認↓。

フユシャクを含め今冬は擬木の虫が少ない気がするが、このタイプの擬木には接続部に隙間があって、ここで越冬している虫や小動物もいる。日中、気温が上がると出てくるものも。


カメムシの仲間は成虫で越冬するものが多いようだが、ムラサキナガカメムシの成虫も冬の間はギボッチ(擬木ウォッチ)でちょくちょく見かける。

やはり擬木の上にいたムラサキナガカメムシ別個体↓。


ついでに1月の終わりに撮って投稿しそこねていた画像も↓。

よく見かけるマツヘリカメムシ↓も数年前から目にするようになった昆虫のひとつ。これは北米西部原産の外来種。


ピッカピカのセモンジンガサハムシGX他

きらめく《金のX》セモンジンガサハムシ



個人的には背紋GX(セモンGoldenX)と呼んでいるセモンジンガサハムシ。光を通す《透明な部分》と光を吸収する《黒い部分》、そして光を反射する《金色の部分》を併せ持ったきれいな昆虫で、円形のフォルムもユニークかつ美しい。擬木の上でキラキラ輝く姿を見つけたので撮ってみた。




体長5.5~6.5mmと小さな昆虫だが、黒地に輝く《黄金のX》は目を引く。
ふだんはサクラの葉の裏でみかけることが多いが、その通常の状態では逆光になるため、これほどキラキラ輝いては見えない。越冬明けの個体が陽の当たる暖かい擬木の上に出ていたたのだろう。順光の中でトレードマークのGoldenXがいっそう輝いて見えた。








順光で金色の輝きはきれいに見えたが(画像ではかなり目減りしてしまっており、実際はもっとキラキラ輝いてみえる)、擬木の上ではふちの部分の《透明感》がよくわからない……ということで過去に撮影した、葉の裏にとまっている画像を↓。


ユニークな円形シールドは、その内側に触角や脚を引っ込めて葉に密着すれば、アリなどの敵をシャットアウトできる形なのだろう。防壁効果を高めるためにシールドがはりだしたことで、そのぶん視界は被われることとになるが、透明なことで敵影を察知できるのだろう。


金色の部分は背中中央のX紋、前胸の背面にも一対の紋がある。そして黒い部分を縁取ってもいるのだが、こうした金色部分の輝きは個体によって差があって、薄茶色程度の鈍い色合いのものもいる。手もとにある甲虫図鑑では標本写真のためか金色の輝きが失われ、イチモンジカメノコハムシとまぎらわしい。じっさい、セモンジンガサハムシとイチモンジカメノコハムシを間違えた記事を目にすることもある。
ということで、ワイヤーフェンスにとまっていたイチモンジカメノコハムシとの比較画像を──↓。


イチモンジカメノコハムシは、よくムラサキシキブでみかける。この個体は右の触角が欠けていたが、イチモンジカメノコハムシの触角は先端から中ほどまでが黒っぽい。


一方、セモンジンガサハムシは──↓。




体長もイチモンジカメノコハムシ(7.5~8.5mm)の方がセモンジンガサハムシ(5.5~6.5mm)よりも大きい。


おじゃま虫も増えてきた

ところで……今回、セモンジンガサハムシを撮影していた時は気がつかなかったのだが……その体に小さな虫が乗っている画像がいくつかあった。


春になって擬木の上に色々な虫が見られるようになって来たが……狙いの昆虫を撮ろうとしている時にフレームインしてくるオジャマ虫も増えてきた……。






このところ、蛾やチョウの幼虫などの姿も増えてきた。そんな中、ウコンカギバの幼虫の姿も……ドラゴンっぽい姿は見応えがあるので、これはオジャマ虫ではなく、ありがたい虫↓。




ミヤマシギゾウムシを撮っていたら、フレームインしてきたカメムシ幼虫↓


コブヒゲカスミカメの成虫はこんな姿↓。


擬木の上には、枝から落ちたイモムシ・ケムシなどが登ってくるが、そうした蛾の幼虫などを食うヨツボシヒラタシデムシも出てきた。


ヨツボシヒラタシデムシは、以前「ひげ噛み行動」を観察して個人的に盛り上がった(?)思い出深い昆虫。この虫がそうであるかはどうかは判らないが、交尾の際に♀の保定のために「ひげ噛み行動」を行う昆虫の中には、交尾後に♀の触角を噛み切って他の♂との交尾を妨害する「噛み切り行動」を獲得したものが存在するのではないか──と密かに予想している。


身近な遭難でUMAと遭遇!?

山奥で遭難し、そのとき異形なモノ(妖怪・UMAのたぐい?)と遭遇した──という話は昔からよくある。
遭難というと人里離れた場所をイメージしがちだが、身近な所でも起こりうる。というより起き続けている。気づかぬ人が知らないだけだ。そしてこうした遭難による異形な存在との出会いもある。
ということで、僕が最近、「身近な遭難」で出会った異形なモノをいくつか紹介してみたい……。

身近な遭難《擬木遭難》&異形なモノとの遭遇

さて、ここでいう「遭難」とは、虫の遭難。枝から落ちて擬木の柵や欄干などに登ってしまい、そこから抜け出せなくなっている状態を僕は《擬木遭難》と呼んでいる。葉を食べる幼虫は、落下すると木の幹をよじのぼり「餌の葉がある《高い所》」を目指す。しかし間違って擬木を登ってしまうとやっかいなことになる。のぼりつめても餌(葉)はない。支柱のてっぺんまで登ってそのフチをぐるぐる回り、その先がないことをようやく悟ると、少し降りて水平の手すりを移動、次の支柱を登って同じ事をくりかえす……擬木の上をいくら徘徊しても目指す枝葉に到達できないことを虫たちは知らない。
擬木上には同じように落下して擬木に登ってきたクモやサシガメ、カマキリなどの捕食者たちもいる。《擬木遭難》は虫たちにとって生死に関わる災難で、「遭難」は決して大げさな言い方ではないだろう。

そんなわけで、雑木林沿いの遊歩道の擬木には、遭難中の様々な虫が這っていたりする。中にはギョッとするような異形な姿をしているものも……。

これ↑は【怪獣!?ドラゴン!?!UMAじゃない実在生物】で投稿した画像だが、先日も擬木で遭遇した。その時の画像がこれ↓。

何度であってもユニークな造型にカメラを向けたくなってしまう。

これはウコンカギバもしくはヒメウコンカギバという蛾の幼虫だろう。キアイを入れればドラゴンに見えなくもない姿は空目(そらめ)チックだが、和名も文字列空目しがちな危険な香りを感じる。「ウコンカギバ」を「う○こ嗅ぎ場」と誤読しないよう注意が必要だ。
この幼虫──頭部に一対の突起があって、これがちょっと猫耳っぽく、猫顔にも見える。猫顔のイモムシは意外に多く、個人的には猫顔幼虫はポイントが高い(いったい何のポイントだか……)。

猫顔もおもしろいが、この幼虫でまず目を引くのは、やはり背中や腹端に生えた何とも不思議な突起だろう。角度や形が変わるのでいちおう可変式の器官ではあるようだが……これにはいったいどんな意味があるのだろう? この突起があることで(昆虫食の)鳥が忌避するとか(鳥も異形を嫌うとか?)……身を守ることに何か役立っていたりするだろうか? 突起をたたんでいるときは枯れた植物片に見えなくもないから、隠蔽擬態の効果はあるていどあるのかもしれないが……隠蔽工作の器官にしては仕掛けが大掛かりすぎる気もする。あるいはやがてメタモルフォーゼするときに備えて養分を貯蔵しておく器官で、体を再構築する際にアクセスが良い資材置き場みたいな役割りでも果たしているのだろうか?
異形ともいえる謎めいた不思議な姿には興味を抱かずにはいられない。
次に紹介するイモムシも猫顔で背中に突起をもつが……この突起を猫のシッポに見たてて、キアイを入れれば《残像を残しながら移動するネコ》に見える……ハズ!?

という↑イメージを思い描いて見てみよう!

見えなかったとすれば……それはキアイが足りなかったのです、きっと……。
いずれにしても、ギンシャチホコ(蛾)の幼虫もユニークな姿をしている。

イモムシで緑色と茶色の配色のものは少なくない。緑色の部分は食植物の葉に溶け込み、茶色の部分は葉のフチの枯れた部分や枝に紛れて見える──配色の違う部分で体が分断されて認識されることで天敵に見つかりにくくなるという隠蔽効果があるのだろう。

次のイモムシは猫顔ではないし、背中に突起も無いが……その模様がふるっている。少し前にもネタにしたが(*)《長い髪をなびかせたスーパーヒロイン》に見えてしかたがないホソバシャチホコ(蛾)の幼虫↓。

個体ごとに描かれたスーパーヒロインの顔・表情に違いがあるので、見つけると、つい撮ってしまう。擬木のふちを徘徊していた個体↓。

スーパーヒロインとはおもむきが違うが、僧侶か地蔵のように見える空目昆虫@擬木↓。

アカシマサシガメは捕食性のカメムシ。カメムシというと嫌われがちだが、僧侶や地蔵に似ていると、ちょっとありがたい感じがしないでもない!?
そして、空目つながりで、擬木上の《赤い笑い》↓。

背中の模様が笑顔に見えるアカスジキンカメムシだが、先日、擬木上で見つけた個体は黒かった。アカスジキンカメムシに黒化型があることは知っていていつか見たいとは思っていた。部分的に黒い個体は何度か見たことがあり、形成過程の部分的不全で黒くなることもあるのではないかと思っているのだが……この個体は「ほぼ全身黒い」。ただ、頭部付近に緑が残っており、「(遺伝的な欠陥で?)緑が作れない」わけではないらしい?
これが遺伝的な要因による黒化型なのか後天的な発達不全(?)による黒化なのか……よくわからない。

ちなみに、スタンダードなアカスジキンカメムシはこんな感じ↓。

身近な所に未知との遭遇を期待し、不思議を発見するのが醍醐味──そう思って虫見をしているのは僕だけではあるまい……。