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《かわいさ》は赤ちゃんの武器!?

ベビーシェマは赤ちゃんに備わった武器ではない!?
01フェレット幼体成体

赤ちゃんはかわいい。ヒトに限らず、イヌやネコなど、ほ乳類のベビーは、おおむね可愛いものだ。そう感じる現象について、「赤ちゃんが持つ《かわいらしく見える特徴(ベビーシェマというらしい)》は、赤ちゃんが自分を育ててくれる大人を惹きつけるための装備・戦術である」というようなウンチクを目にすることがある。
東洋学園大学の【知れば知るほど面白い!人間科学チャンネル】というサイトでも【赤ちゃんの“秘密の武器”!? ベビーシェマ】というタイトルで教育学博士が、そのような解説をしている。曰く《ひとりでは生きられない赤ちゃんが、生まれながらに備えた“秘密の武器”》《赤ちゃんは、自分を育ててくれる大人を惹きつけるために、「可愛さ」という武器を身につけて生まれてくるのです。》
──こうした考え方について僕は以前から疑問を持っていた。
「(赤ちゃんの)可愛さは武器」という感覚はわからないではないし、言い回しとしてはあってもおかしくない気もするが……科学的な解説で「赤ちゃんが獲得した生存戦略的特徴」みたいな伝え方は正しくないと思うからだ。

ヒトを含む子育てをする動物が《赤ちゃんを可愛と感じる機構》はあると僕も思う。ただ、それは《赤ちゃんが特別に備えた能力》ではなく、《子育てをする親に備わった能力》によるものだろう。
ベビーがかわいく感じられるのは、「赤ちゃんが《親の気を引くための特徴》をわざわざ備えて生まれてくる」からではなく、「親が《赤ちゃんの特徴をかわいいと感じる認知機構》を備えている」からだ──というのが正しい理解ではないだろうか。

なぜなら、子育てをしないトカゲやカメであっても赤ちゃん(幼体)はかわいいからだ。生まれてすぐに自立する爬虫類なら《親の気を引くための特徴》など必要ないはずである。しかし、にもかかわらず、トカゲやカメの幼体であっても、我々はイヌやネコの赤ちゃん同様にかわいいと感じる。ということは、そう感じる我々の側に「幼体の特徴をかわいく感じる認知機構」があるからだと考えるのが自然だろう。


子育てをしない爬虫類でも幼体はかわいい⬇
02ヤモリ幼&成体
03クサガメ幼体再
(※【身近な自然:里山】より)

「相対的に大きい頭」などベビーシェマと呼ばれる特徴は生物の幼体としての自然な形であって、《親の気を引くため》に特別にデザインされたオプションではない。そうした幼体の自然な特徴を「かわいく感じるスイッチ」が見る側の我々に備わっているということなのだと思う。
「赤ちゃんを可愛く感じる」機構は子育てを必要とする動物にとって重要なものだろう。しかしこれを、あたかも赤ちゃんが獲得した特別な生存戦略的特徴のように説明するのは的外れな解釈という気がしてならない。



カメのヘソ!?
エッセイ・雑記 〜メニュー〜

ヒガシニホントカゲ~《分類》雑感

かつてはニホントカゲ・今はヒガシニホントカゲ

気象庁による桜(ソメイヨシノ)の開花宣言──東京の桜(靖国神社の標準木)の開花は3月17日に発表された。平年に比べて9日、去年より4日早いという。この日、トカゲ密度の高いポイントに行ってみると、すでにアリが活動していた。


ホソヘリカメムシの死骸を運ぶクロヤマアリ↑。
石垣には日光浴をするヒガシニホントカゲの姿もあちこちで見られた。




ところで、このトカゲ──かつてはニホントカゲと呼ばれていた。それが遺伝子型の違いから3種類(ニホントカゲ・ヒガシニホントカゲ・オカダトカゲ)に分けられ、今ではニホントカゲというと西日本に分布する別種をさすことになる。分けられた3種類を外見で識別するのは難しそうだ。
ニホントカゲとヒガシニホントカゲ(東日本に分布)を見分ける目安として(?)頭部のウロコの配置(前額板の並び)の違いをあげている記事もあったが……僕がみたところ、この石垣では両種の特徴をもった個体が混在する。この見分け方は確実ではなさそうだ。けっきょく僕には外見では識別できないので、分布上(東京で見られるものは)ヒガシニホントカゲなのだろうな……と判断しているしだい。

かつては「ニホントカゲ」だったものを「ニホントカゲ」「ヒガシニホントカゲ」「オカダトカゲ」に分けたのには、もちろん学術的な根拠があって、それが妥当だという科学的判断に基づいてのことだろう。
しかし、素人の立場からすると、外見上も生態的にもさして違いがあるとは思えないものをどうして別種として扱わなければならないのか、よくわからない。

《分類》と《種》…素人の雑感

個人的には《分類》とは、「特徴の共通するものをグループ分けして《整然化》すること」だと考えていて、「《分類》の単位にあたるのが《種》」だという理解でいる。生物学の現場感覚とは違うかもしれないが、一般の人が考える《分類》の基本概念は、そんなところではないかと思う。

しかし生物学界では、ニホントカゲの例を含めて、科学の進歩でより厳密な分け方ができるようになって《分類》が細分化していく……科学的には《整然化》が進んだということになるのかもしれないが、一般の人には正しい同定が困難になって、むしろ《煩雑化》に向かっている気がしないでもない。科学的正確性を高める《分類》が、逆に誤同定のリスクを増やしているのであれば、本来の《分類》の理念とは逆行しているような気がしないでもない……。

生き物について見たり語ったりするのは専門家の独擅場ではない。多くの人が生き物を話題にするとき、その生き物をさす固有名詞として「種名」を利用している。「種名」の圧倒的ユーザーは、一般の人(素人)だろう。そうした大多数のユーザーが客観的に判断できるわかりやすい基準で《種(名)》が決められることが望ましい……一般の素人の立場からすると、そんな思いがする。

画像のトカゲも、以前ならその外見的特徴から「ニホントカゲ」と自信をもって記せたが、今は「ヒガシニホントカゲ」と確信を持って言うことができない。僕には確かめる手だては無いが、分布域からすると、どうもそうらしい……と曖昧さをもって判断することしかできず、納得感が薄い。
「ニホントカゲ」「ヒガシニホントカゲ」「オカダトカゲ」を(かつてのように)同じ《種》として扱い、その中に生息域によって遺伝子型の違いがある──という形で理解することはできないものだろうか?
実質的(?)に明確な違いがないものは同一種として扱った方がスッキリする──そう思うのは僕だけではないだろう。

種類を特定する「ものさし」として図鑑を利用する人は多い。それが図鑑の役割りでもあるはずだ。ならば、図鑑を頼り同定しようとする利用者が判断可能な客観基準によって種が記載されていることが望ましいのではあるまいか。

生き物の《分類》&《種(名)》というのは、《住所》&《氏名》みたいなものだろう──僕はそう考えている。「どこの誰」かを示す記号。その人自体は変わらないが、現住所が変わったり、氏名が変わることがある……。

《分類》&《種(名)》はその生き物をさす記号だが……当該生物そのものは「自然物」であり、《分類》&《種(名)》はヒトが作った「記号」──「人工物」にすぎない。生き物そのものは変わらないのに、《分類》や《種(名)》の方は時代によって・図鑑によって・専門家によってしばしば変わる──移ろうのはヒトが作った記号の部分だ。
変更が絶えないのは──《分類》は、自然物を理解するために人がこしらえた「後付けの理屈(基準)」だからだと僕は考えている。これは《文法》に似ている。言葉は自然発生したものだが、これを整理するために《文法》が作られた──「生物」も「言葉」も自然発生したものであって、《分類》や《文法》はあとからそれを分析して《整然化》をはかった基準だろう。後付けの理屈だから、うまく当てはまらない部分が発覚するたびに、つじつま合わせの対応──整合性の調整や変更が必要になって《煩雑化》してきたのだろう。

《分類》や《種(名)》の変更は、きっと専門家にとっては科学的根拠に基づく妥当な判断──《整然化》なのだろうが……「種名」を使う大多数のユーザーにしてみれば《煩雑化》であることも多いのではなかろうか? 同定の基準がもっと一般的でわかりやすいものであったらいいのに……と思ってしまうのは僕がド素人だからだろう。


穴を掘るヒガシニホントカゲ

穴を掘って地中の幼虫をゲット!



地面に穴を掘っているヒガシニホントカゲがいた。意外に深くもぐっている。エサ探しで落ち葉の下にもぐり込む姿はよく目にするが、穴を掘っているのを見るのは初めて。この光景を見て頭に浮かんだのが「産卵するために穴を掘っているのだろうか?」という可能性。カメレオンなど穴を掘って産卵するトカゲがいることは知っていたが……ヒガシニホントカゲも穴を掘って産むことがあるのだろうか?


穴を掘っていたヒガシニホントカゲが顔をのぞかせた。ちょうど近くに別のヒガシニホントカゲが近づきつつあったのだが、穴掘りをしていた方がそれを見つけ、追いまわす場面が展開。追い返して戻ってきたヒガシニホントカゲは同じ場所で穴掘りを続行。そして間もなく地中から幼虫をくわえて出てきた──穴掘りは地中の獲物を捕まえるために行なっていたのだ。ヒガシニホントカゲは発掘した獲物をくわえて(安全な)石垣の隙間へ移動。


ヒガシニホントカゲは発掘した幼虫は、地中で草の根を食うコガネムシ類の幼虫だった。
※【訂正】ヒガシニホントカゲが掘り出した幼虫はハナムグリ亜科のもので腐植土など(枯れ葉、朽ち木なども)を食べているそうです)
これまでこの石垣周辺ではミミズやコガネムシ類の幼虫をくわえたヒガシニホントカゲの姿をしばしば目にしてきた。ミミズはまだ地表でみつかることもあるが、地中にいるはずのコガネムシ類の幼虫はどこで見つけてくるのだろうと不思議に思っていた。
その謎がこれで解けた──《ヒガシニホントカゲは穴を掘って獲物を捕まえることがある》。
しかし、いったいどうやって地下のコガネムシ類幼虫の存在に気づいたのだろう? 幼虫の糞やそれが分解したときのニオイでも察知しているのだろうか? それとも幼虫が地下で草の根を齧る振動でも察知しているのだろうか?
帰宅後、調べてみると、ニホントカゲの穴掘り行動は珍しいことではないらしい。飼育下でも穴掘り行動をするようだが……餌がいなくても穴を掘るということは、必ずしも獲物の気配を察知して掘るわけではないのだろう。穴掘りは餌探しの行動の一環なのかもしれない。
さて、石垣のすきまに移動したヒガシニホントカゲだが……獲物はけっこうデカい。呑み込みにくいようで、何度もくわえなおしていた。


幼虫は太くて呑み込めないのではないか……と心配になったが、頭から呑み込み始めると、そのまま一気に丸呑みしてしまった。


コガネムシ類の幼虫をのみ終えようとしているヒガシニホントカゲ。


長いミミズも丸呑みするヒガシニホントカゲ



こちらでは、ヒガシニホントカゲがミミズを捕らえていた。画面隅の数字は撮影時刻(時:分:秒)。














長いミミズを2分半ほどで完食。噛み切ったりせずに丸呑みだった。

ひからびたミミズ(?)も獲物のうち!?



ひからびたミミズらしきものをくわえてハイテンションのヒガシニホントカゲ。先月も同じような光景を目にして驚いた(*)。ヒガシニホントカゲやニホンカナヘビが食すのは生きた獲物というイメージがあったからだ。すっかりひからびてしまった干物にまで手を出すとは意外だった。このヒガシニホントカゲは干物を何度もくわえ直し、ふりまわしていた。欠けて短くなった部分を食べていたようだが、獲物をくわえたまま草陰に姿を消したので完食できたのかどうかは分からなかった。


ヒガシニホントカゲのハンティングの対象範囲は意外に広そう!?




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※【昆虫】や【フェレット】を除く小動物のタイトル(クリックで記事へ)をまとめてみた。
【小動物など】の書庫をクリックすれば一覧ページが表示されるが、リストは複数ページに分割されてしまう(該当タイトルは1ページにまとめた方が便利)。また他の書庫に収めた小動物関連記事(◎)も加えてまとめておきたいと思って作ってみたしだい。


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