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年末のフユシャク♀2017

イチモジフユナミシャク♀の美麗条件!?

前の記事で取り上げたばかりのイチモジフユナミシャク♀だが、その後もつい探してしまう。この時期には比較的よく見かけるフユシャクなのだが、美麗個体はそう多くはない。新成虫はおおむね(?)美しいのだろうが、イチモジフユナミシャク♀は見た目の劣化が早いような気がする。
新鮮な個体も劣化した個体も、「見つけた時期が違うだけ」で、その個体自体に変わりはないのだが……やはりキレイな時の姿を見ておきたくなる。成虫は1月の上旬まで見られるだろうが新鮮な個体の割合は減っていくだろう。すでに産卵後の腹が萎んだ個体を目にすることが多くなってきている。
ということで、見られる時期に美麗個体を見ておかねばもったいない──と、ついビンボー根性で、その姿を探してしまうのであった……。


サクラ(幼虫の食餌植物)の古木で見つかることが多いイチモジフユナミシャク♀。これは産卵前のキレイな部類。
全く個人的なこの種♀の「理想の美麗基準」は──
◎前翅・胸の青みが濃いこと。
◎前翅の黒帯模様がハッキリしていること。
◎腹はパールホワイトで背面の黒紋と側面の輪紋が明瞭なこと。
◎鱗粉がきれいに整っていること。
◎腹がぷっくりふくれて張りがあること(産卵前のプロポーション)。
これは、あくまでも個人的な「希望」。希望通りの個体を目にすることは、そう多くない……。
上の個体を見つけたあと、やはりサクラッチ(桜ウォッチ)をしている人がいる──と思ったら、確認済飛行物体のnoriさんだった。そのnoriさんが見つけたきれいなイチモジフユナミシャク♀↓。

とまっているのは、やはり苔むしたサクラの幹。微妙な位置にいて、撮影時は伸ばした腕がプルプルしがちな状況。刺激して、じゃっかん動いてもらって撮った画像↓。

背景に、あわいブルーの地衣類の片鱗が写っているが、イチモジフユナミシャク♀の翅のブルーとよく似ている(*)。

産卵前の美しいプロポーション↑に比べ、産卵後はというと──↓。

腹がしぼんで、ちょっと貧相に見える。腹が縮んだことで比率的に翅が大きく感じられ、印象がずいぶん変わる。よく知らなかった当初は産卵の前後で別の種類だと思っていた。
木製の手すりの上にいた、やはり産卵後の♀↓。


擬木の上にいたこの♀は、まだ卵を持っていそう?↓



前翅&胸の青みは濃く、色合い的には申し分ないが……腹は少ししぼみぎみ。産卵の途上なのだろうか?
この♀↓は、産卵前のプロポーションだが、鱗粉(特に腹)がささくれて、ちょっとみすぼらしい……。


体をおおう鱗粉は、風雨あるいは乾燥、時間の経過などの影響で荒れてしまうのだろうか? キレイな個体との比較↓。

ということで、やはり見るなら美麗個体であってほしい──と思ってしまう。

翅が消失したフユシャク♀

イチモジフユナミシャク♀には、小さいながらも翅があって、それが魅力であったりもするのだが、フユシャク♀の中には翅が消失しているものもいる。


ホルスタインチックな白黒模様で異彩を放つチャバネフユエダシャク↑。
単独でいると種類を特定するのが難しいフユシャク亜科のフユシャク♀↓。


苔むしたサクラにとまっていたフユシャク♀も↑、noriさんが見つけた個体。


フユシャク色々

イチモジフユナミシャクも出てきた


イチモジフユナミシャクは12月下旬に入ってから目にすることが多かったが、今シーズンはちょっと早め? とりあえず出ていたということで。

他のフユシャクは擬木で見つかることが多いが、イチモジフユナミシャクのメスは桜の幹での発見率が高い。苔むしたサクラの幹にとまっていた今シーズン初のイチモジフユナミシャク♀。フユシャクなのでメスの翅は退化しているが、この小さめの翅が個体によってブルー~グリーンがかったものがいて美しい(*)。
オスはまるっきり違った姿をしている↓。


ウスバフユシャクのペア


これも今シーズン初のウスバフユシャク。キボッチ(擬木ウォッチ)でオスの姿が目にとまり、「もう出ていたか……」と思ってよく見ると、オスの翅のかげにメスが隠れていた。

イチモジフユナミシャク♀は小さいながらチャーミングな翅を持っているが、このウスバフユシャクではメスの翅は消失してしまっている。

フユシャク(冬尺蛾)の仲間でも種類によってメスの翅の大きさ(退化の度合い)に格差があるのが面白い。

クロオビフユナミシャク


ウスバフユシャク♀の翅が消失しているのに対し、このクロオビフユナミシャク♀は(フユシャク♀としては)翅が大きめ。

とはいっても、やはりフユシャクなのでクロオビフユナミシャク♀も飛ぶことはできない。飛翔能力のあるオスの翅と比べてみれば、その差は歴然。

チャバネフユエダシャク


ホルスタインちっくなルックスがふるっているチャバネフユエダシャク♀。これも翅は消失していて、とても蛾の成虫には見えない。この個体は産卵途上なのか、少し腹が萎みかけている。同種とは思えないオスの姿は↓。

12月も半ばになってフユシャクも色々出てきたということで。


クロオビフユナミシャクとチャバネフユエダシャク

大きめの《退化した翅》が魅力!?クロオビフユナミシャク♀


ギホッチ(擬木ウォッチ)でみつけたクロオビフユナミシャク♀。冬に活動するユニークな蛾・フユシャク(総称)の1つ。

フユシャク(冬尺蛾)は、どれもメスは翅が退化していて飛ぶことができない。平凡な蛾にしか見えないオスとはかけ離れたルックスがユニークなので、メスをみると、つい撮ってしまう。種類によってメスの翅の退化の度合いにはずいぶん格差があって、そんなところもおもしろい。
クロオビフユナミシャク♀の翅も、もちろん退化しているのだが、フユシャク♀の中では大きめ。この「大きめの《退化した翅》」に描かれた模様の色合いやコントラストには個体差があって、この個体は黒・白・グレーがくっきりでた美人の部類。鱗粉も綺麗にそろっているので新鮮な成虫だろう。

擬木の上ではバレバレだが、木の幹にとまっていると見つけるのは難しい。小さな翅ながら、この模様はボディーラインのかく乱・隠蔽に役立っているように思う。例によって1円硬貨との大きさ比較↓。

退化し《消失した翅》が魅力のチャバネフユエダシャク♀




前の記事でも紹介したチャバネフユエダシャクのメス。同じフユシャクの仲間だが、クロオビフユナミシャク♀が大きめの翅を持っているのに対し、チャバネフユエダシャク♀は翅がすっかり退化して消失している。体には独特の白黒もよう(ホルスタイン模様?)があって異彩を放っている。
近くにいた別個体↓。

やはり擬木でみつけた別個体のチャバネフユエダシャク♀↓。


オスはどこといって変わったところのない平凡な蛾…

ということで、ユニークなメスばかりにカメラを向けがちなフユシャク。いちおうオスの姿も比較用に……。

12月中旬のキボシカミキリ


らんかんにとまっていたキボシカミキリ。触角は片方折れて、斑紋の「黄星」も「白星」と化していた。


よく見かけるキボシカミキリや近年さっぱり見かけなくなったシロスジカミキリは新鮮な生体では斑紋が黄色だが、生き残りや標本になると白くなってしまうという。シロスジカミキリの「白筋」は標本の斑紋の色からの命名だろうが、キボシカミキリの「黄星」は新鮮な生体の方の色を採用していることになる。ならばシロスジカミキリも「キスジカミキリ」でよかったのではないか……なんていう気がしないでもない。ちなみに「黄星カミキリ」に対して「白星(しらほし)カミキリ」という種類は別に存在する。
キボシカミキリは、5月頃から出現するが、意外に遅くまで目にするカミキリで、僕は年越し個体を2度確認している。
1月にキボシカミキリ ※2014年01月17日
新年2種目天牛はキボシカミキリ ※2015年01月08日

ホルスタインちっくなチャバネフユエダシャク♀


チャバネフユエダシャクも出てきた。白黒のまだら模様がユニークな♀↑。冬限定のフユシャク(冬尺蛾)の1つで、擬木にいると見つけやすい。近くにいた別個体↓。

擬木では、このように支柱上部に頭を上にしてとまっていることが多い。
これでも立派な蛾の成虫なのだが、翅が消失しているので、なんとも異様な雰囲気をかもしている。

ぷちホルスタインなチャバネフユエダシャク♀



《ぷちホルスタイン》と密かに呼んでいるチャバネフユエダシャク♀。本来なら昆虫の活動が鈍る冬に(成虫が)現われ繁殖活動するという変わり種だが、翅をすっかり退化させたメスの姿がふるっている。年1回冬に(成虫が)発生し、メスは翅が退化して飛べないという特徴を持つシャクガの仲間をフユシャクと呼ぶが(日本には35種類ほどいるらしい)、その中でもふくよかな体型とホルスタインを思わせる白黒模様のチャバネフユエダシャク♀は異彩を放っている。
今でこそ《冬の風物詩》となっている(?)おなじみの昆虫だが、チャバネフユエダシャク♀を初めて見た時は、これが何の仲間かわからず《謎の生命体》だった。
このユニークな姿──翅が無いのも、ホルスタインちっくな模様もメス限定。オスは何の変哲もない普通の蛾。


なぜメスだけホルスタインなのか?

フユシャク(冬尺蛾)のユニークなところは──昆虫の活動には不向きと思われる冬にわざわざ現れる蛾であり、何らかの理由でメスは翅が退化して飛ぶことができない──という点。知った当初は驚いたが、考えてみると何となく想像ができないでもない。
トカゲ類や捕食性の昆虫やクモなどの天敵が少ない冬に繁殖活動をするという生存戦略を選んだのだろう。他の外温度性(変温)動物にくらべ、寒さにいくぶん強いということなのだろうが、フユシャクにしたって外温度性(変温)動物──低温下では活動が鈍りがちだろう。卵を抱えた身重のメスのが飛び回るのは大変なので、配偶相手をみつけるための飛翔は身軽なオスに任せてメスは産卵に専念することになったのではないか……天敵が少ない冬だからこそ、飛んで逃げることができなくても、必要な生存率は保てたのだろう……当初はそんなふうに解釈していた。

しかし、チャバネフユエダシャク♀のユニークなところは、それだけにとどまらない。翅が退化したフユシャク♀の中にあって、特別異彩を放っているのが、ホルスタインちっくなルックスだ。
チャバネフユエダシャクにとって「メスの翅の退化(逆行進化)」が進化の過程での必然であったとして……それなら、メスの姿はオスから翅を取り去った姿であってよさそうなものだ。
しかし、オスの体幹にはホルスタイン模様(白地に黒い斑)がない。つまり、「翅がいらなくなった」だけなら、メスの体幹もオスと同じデザインでよかったはず……メスにだけどうして、ユニークなホルスタイン模様があるのか──という点に疑問を感じた。
そして次のように考えてみた。

オスが持つ翅の色合は枯葉などに紛れる隠蔽カラー。オスの翅に隠蔽効果があるなら、その翅を持たないメスは、別の方法で隠蔽効果のあるデザインを獲得する必要があったのではないか?
白と黒の模様で思い浮かぶのは《鳥の糞への擬態》──鳥糞に擬態していると思わせる白黒模様の幼虫はよく見かける。擬木にとまったチャバネフユエダシャク♀と擬木上の鳥糞は、遠目には感じが似ていなくもない。

また明暗のハッキリした模様には、ボディーラインをかく乱する効果もありそうだ。
体型の違うオスとメスで、それぞれに合った隠蔽デザインが分化したのだと考えれば……納得できないでもない。しかし、それは隠蔽擬態を進化(選択)させた天敵が存在することを意味している。
当初は《冬には天敵が少ないことがフユシャクが冬に活動することを選んだ理由》だと考えていたが、冬にも天敵──おそらく鳥などがいて、それなりの捕食圧はかかっているのだろうとイメージを修正した。

考えてみれば……冬に活動する天敵が全くいなければ、フユシャクの中で昼行性の種がもっといていいような気がする。にもかかわらず夜行性の種類が多いことは、やはり日中活動する天敵──鳥の脅威があるためではないか。
昼行性フユシャク・クロスジフユエダシャクの観察で、メスが落ち葉の下などに隠れて交尾をする(*)ことを知ったときには、「オスとの出会いのハードルを高めるだろうに、どうして隠れて交尾するのだろう?」と不思議に感じたが、これも天敵である鳥に対する対策として獲得した習性なのではないか……と今は考えれば、つじつまは合う。
冬には捕食性の昆虫や爬虫類の活動は少なくなるが、活動している虫が少なくなる分、昆虫食の鳥の捕食圧は集中して高まるという側面もあるのかもしれない?

もし冬に天敵がいなかったなら、チャバネフユエダシャク♀はホルスタインになる必要は無かったのかもしれない?
メスのユニークなホルスタイン模様をながめながらそんな想像をし、妙な感慨に浸るのであった。


擬木にとまっていたクロスジフユエダシャク♀↑。これもフユシャクだが、小さいながらも翅があるので、(チャバネフユエダシャク♀に比べれば)昆虫っぽく見えなくもない。


日光浴中(?)のハラビロカマキリ(褐色型)。生きていたが動きは緩慢。
昆虫ハンターのカマキリは12月に入ってからもちょくちょく目にしているが、あまり活動しているようには見えない。


正月のフユシャク2017

正月のイチモジフユナミシャク@桜など

暮れから年明けにかけて見られるイチモジフユナミシャク。(成虫の姿は)この時期にしか見ることができないので、とりあえず「見られる時に見ておかないと損──」というビンボー根性で、つい発見率の高い桜の古木をチェックしに出かけてしまう(「桜ウォッチ」→略して「桜ッチ」)。

元日、桜の古木の日陰側にとまっていた新鮮なイチモジフユナミシャク♀。淡いブルーの小さな翅が美しい、ぷっくりした個体。

イチモジフユナミシャクを含むフユシャク(冬尺蛾)のメスは翅が退化して飛ぶことができない。若齢幼虫時代にクモのように糸を使って風に乗って移動すること(バルーニング)があるらしいが、他の蛾のように(産卵場所を選んで)自由に飛び回れるわけではないのだから、メスは生まれ育った木(食樹)で産卵することが大半なのではないかと想像する。新しい木へ移動し新天地を開拓するのがままならず、代々同じ木で繁殖しているのだとすると、やはり歴史の長い古木に依存しがちな昆虫なのかも知れない。
別の桜の古木で産卵行動をとっていたイチモジフユナミシャク♀↓。

実際に産卵しているのは確認できなかったが、腹端から産卵管をのばし、樹皮の隙間に産卵場所を模索するような動きをしていた。
年明けのイチモジフユナミシャク♀は産卵後の(腹が縮んだ)個体の割合が多くなる。
この♀も腹がいくらか短く(産卵途上?)、その対比で翅が長く見える↓。

淡いブルーの前翅の前縁の下から白っぽい後翅がのぞいている。イチモジフユナミシャク♀ではよく見られる姿勢だが、前翅より後翅が前にせりだしているのが、ちょっとおもしろい。
高架下の壁にイチモジフユナミシャク♂がとまっていたので、まったく容姿が異なる♀との比較用に撮影↓。

同じ種類なのにメスとオスでは、こんなにも違う──性的二型が顕著なところにも驚きとユニークさを感じる。
元日のプチ桜ッチでは、サクラの古木でイチモジフユナミシャク♀11匹を確認できたが、ぷっくり感のある新鮮な個体は2匹のみたった。

1月2日は、イチモジフユナミシャク♀9匹を確認したが、そのうち、ぷっくり個体は2匹だった。そのうちの1匹↓。

イチモジフユナミシャク♀は苔むした桜の古木の北側(日陰側)にいることが多いが、この♀は日向側にとまっていた。日光を受けて翅や体を覆う鱗粉がテカり、ちょっとキレイ。

背景の樹皮には、イチモジフユナミシャク♀と似たような色合いの地衣類が。
サクラ並木にまぎれた(?)ケヤキにイチモジフユナミシャク♂が2匹とまっていた。

このケヤキ↑の向かいには街灯があったので、夜間この光に引かれてやってきたのかもしれない。

1月3日は、イチモジフユナミシャク♀7匹を確認したが、すべて腹がちぢんだ産卵後の個体だった。

産卵後しばらく同じ場所にとどまっている個体もあり、そうした個体が累積していくことで、産卵後の個体の割合が多くなってきたと感じるところもある。新鮮な個体の発生率自体はどのように変化していくのか……よくわからないが、まだもう少し新鮮な個体に出会うチャンスは残されているだろうと考えている。
フユシャクでは、イチモジフユナミシャク♀7匹の他にチャバネフユエダシャク♀を1匹、ケヤキの幹で見つけた。

イチモジフユナミシャク♀には小さいながら魅力的な翅があるが、チャバネフユエダシャク♀の翅はすっかり退化して消失している。


年季の入った桜の古木が寿命のためか(?)ここ何年かでだいぶ伐採されたり大胆に枝打ちされたりしている。おそらくその影響でフユシャクも減ってきた感じがする。
虫見をしていると、虫たちにとって並木は、(ヒトに例えるなら)群島のようなものではないか──と感じることがある。古木ひとつひとつが島で、鳥のように飛べるものは島と島を行き来できるが、飛べないものは代々同じ島に暮らしている。1つ1つの木に歴史とともにプチ生態系が構築されている。群島がある日とつぜん海に沈んだところで、ヒトが絶滅することはないが、代々そこで暮らしていたヒトたちは姿を消すことになる……。
ある日、なじみの並木の古木が伐採されていたのを見た時、「虫たちの群島が消えた」と感じた。それで虫が絶滅することはないだろうが、観察の舞台が消失してしまったことに色々と感じることも多い……。