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まるで別種なフユシャクの♂と♀〜冬尺蛾記事一覧

まるで別種!? フユシャクのオスとメス
先日読んだ『不思議だらけ カブトムシ図鑑』(小島渉・著/彩図社)には《カブトムシほどオスとメスの区別が容易な昆虫は他にいないだろう(P.74)》という一節がある。しかし「オスとメスの違いっぷり(性的二型)」ということでいえば、フユシャク(冬尺蛾)は、カブトムシの上をいっている。カブトムシはオスの特徴であるツノをのぞけば、オスとメスは体つきも色合いも似ていて「同じ種類」もしくは「同じ仲間」っぽさを感じさせる。ところがフユシャクでは、オスは何の変哲もない普通のガなのだが……メスが変わっていて同じ種類どころかガにさえ見えないものも多い。カブトムシはオスのツノが発達しているが、フユシャクではメスの翅が退化している。そのため容姿がオスとメスでは、かけ離れたものになっているのだ。体色や模様がオスとメスで違う種類もいる。
今年もそろそろフユシャク(の成虫)が現れる時期。これまで狭山丘陵周辺で撮ったフユシャク画像から、オスとメスの「違いっぷり」をまとめてみた。

01黒筋冬枝尺♂♀F
02茶翅冬枝尺♂♀F
03一文字冬波尺♂♀F
04黒帯冬波尺♂♀F
05広翅冬枝尺♂♀F
06白斑冬枝尺♂♀F
07霜降棘枝尺♂♀F
08白棘枝尺♂♀F
09漣冬波尺♂♀F
10途切冬枝尺♂♀F
11縁黒棘枝尺♂♀F
12薄翅冬尺♂♀F
13黒点冬尺♂♀F
フユシャク(冬尺蛾)というのは、年に1度、冬に成虫が出現し、メスの翅が退化した特徴を持つシャクガ科の蛾の総称。フユシャク亜科・エダシャク亜科・ナミシャク亜科にまたがっている。オスかメスかは一見して容易に判断できるのに種類は識別するのが難しいものも少なからず──種の違いよりも雌雄の違いの方が、はるかにかけ離れているのがおもしろい。カブトムシは「ツノが進化した(特徴を持った)オス」に関心が向きがちだが、フユシャクでは「翅が退化した(特徴を持った)メス」の方にに関心が向いてしまう……。
オスとメスの違いっぷり(メスの容姿のユニークさ)もさることながら、僕が初めてこの虫を知ったときに驚いたのは、《昆虫なのに(わざわざ)冬に活動(繁殖)する》という生態や《ガなのにメスは(翅が退化しているため)飛ぶことができない》という意外性だった。


フユシャクの風変わりな生態
オスとのかけ離れた容姿を生み出している《メスは翅が退化して飛ぶことができない》ことと、《昆虫なのに冬に繁殖活動する》という二大ユニークな生態は、きっと無関係ではないだろう。昆虫は外温性(変温)動物なのだから、本来なら気温の低い冬は活動に向かないはずだ。実際、多くの昆虫は活動を休止した状態で冬越しをしている。それなのにどうしてわざわざそんな時期に活動するのだろう? おそらく、捕食者である他の外温性(変温)動物(昆虫・爬虫類・両生類)が活動していない「天敵不在の時期」だからだろう──当初はそんな生存戦略なのだろうという解釈で納得していた。そう考えると、天敵がいなければ「飛んで逃げる」必要も無い。メスは翅や飛ぶための筋肉にあてていた資源を卵の生産に回すことができる。繁殖のためにオスとメスの出会いは必要だが、オスに飛翔能力を残しておけばメス探しはできるから何とかなる。寒い冬に卵を抱えた身重のメスが飛ぶより、身軽なオスが飛ぶ方が容易いだろうから、繁殖相手をさがす役割り(飛翔担当)はオス──というのは納得できる。メスは飛翔能力を放棄し卵の生産性を上げることに専念し、繁殖相手を探して飛ぶのはオスにまかせるという役割り分担をしてことで、オスとメスの違いっぷり(性的二型)が顕著化したのだろう……フユシャクを知った当初は、そんなふうに想像していた。

冬でも存在する天敵
しかし、フユシャクを見ているうちに《天敵がいない冬に活動する》という解釈に疑問がわいてきた。フユシャクの多くは夜行性だが、もし天敵がいないのであれば、気温が高い日中に活動する種類がもっと多くても良さそうなものだ。また、オスとメスで翅の有無による体型の違いがあるのはわかるが……体色や模様に違いがあるのことの意味は何だろう?
オスは翅が落葉にとけこむ「隠蔽擬態」仕様に見える種類も多い。翅が退化したメスにはボディラインをかく乱するような模様(オスにはない)があったり、とまっている幹や樹皮上の地位類に溶け込むような色(オスとは違う)のものもいる……これは天敵の目をあざむくための進化なのではないか──つまり冬にも天敵が存在することをあらわしているのではないかと思うようになった。
実際、フユシャクの成虫がアリに襲撃されたりクモに食われたりしているのを見たこともある。冬とはいえ、捕食者が全くいなくなるわけではなく、天敵は存在しているようだ。

14黒筋冬枝尺蟻襲撃
15冬尺亜科♀クモ捕食
フユシャクの卵塊を物色する寄生蜂らしき虫を見たこともある。フユシャクの中には産卵した卵塊に腹端の毛を塗りつけてコーティングする種類もいるが、これは防霜(?)効果や物理的な保護などのほかに寄生蜂対策や(鳥などに対する)隠蔽効果としての役割りもはたしているのではないかと思えてくる。
また、フユシャクの中では小数派の昼行性であるクロスジフユエダシャクは、メスが落葉の下などに隠れていてオスをフェロモンで呼び込む。天敵がいなければ目立つところに出ていた方がオスに見つけてもらいやすそうなものたが(その方が繁殖に有利)……わざわざ隠れているのは、天敵がいるからではないか? 鳥類は冬場でも活動しているが、彼らにとってみればフユシャクはこの時期の数少ない食料源のひとつなのかもしれない。鳥による捕食圧があるために昼行性のクロスジフユエダシャクはメスが葉の下に隠れ、フユシャクも昼行性の種類が少ないのではないか……と考えるようになった。

昼行性のクロスジフユエダシャクはメスが落葉の下などに隠れているのに対し、オスはメスを探して落葉が積もった雑木林の林床を舞い飛ぶ。そのためオスばかりが目立つが、オスは落葉の上に降りると周囲に溶け込んで隠蔽能力が高い。これも鳥に狙われる機会が多いことで隠蔽擬態の精度を高めてきたのではなかろうか。とはいっても日中舞い飛ぶオスの方が被捕食リスクは高そうだ。しかし、それも理にかなった役割り分担なのだろう。種の存続にはメスの産む卵の数が多い方が良いわけだろうが、メスが捕食されれば、そのぶん卵の数は減ってしまう。オスならば少々食われても、他のオスがカバーすれば卵の生産量を確保できる。
クロスジフユエダシャクの繁殖行動(オスの婚礼ダンスによるメスの確保)を観察していると、落ち葉の下隠れたメスが発したフェロモンに反応し、あっという間にオスたちが集まってくる。この様子を見ているとオスが多少、捕食間引きされても繁殖にはさして影響がなさそうな気もする。

16黒筋冬枝尺♂4舞
17黒筋冬枝尺PRB2
メスでは種の存続のためにも自分の遺伝子を残すためにも卵を無事に産むことが最優先されるはずだ。オスが自分の遺伝子を多く残すためには多くのメスと交尾をする必要があるので、リスクをおってでもメス探しの役割りを担うというのは理にかなっているように思われる。
フユシャクをみていると、いろいろなことを想像する。


フユシャク(冬尺蛾)記事一覧
冬の間(晩秋〜初春)にかけて(成虫が)見られるフユシャクだが、種類によって発生時期にはズレがあって、それぞれの旬の時期は短かったりする。見られるうちに見ておかねばとそのつど記事にしてきたが、記事の数が増えて、何をどこに書いたか自分でもよくわからなくなってきている。
ということで、とりあえずフユシャク関連記事のタイトル一覧を作ってみることにした。


フユシャク:翅が退化した♀/翅でニオイを嗅ぐ♂
空目フユシャク
なんちゃってフユシャク?
ゼフィルス的フユシャク!?
ヒメシロモンドクガの冬尺化!?
フユシャクの婚礼ダンス
フユシャク探し
フユシャクの口
ユキヒョウ的フユシャク
フユシャク♀34匹/日
フユシャクの交尾・産卵・卵
雪豹フユシャクふたたび+産卵&卵
シロトゲエダシャク
トギレフユエダシャク&なんちゃってフユシャク:メスコバネマルハキバガ
この冬みられた冬尺蛾
どんより曇りはフユシャク日和
12月下旬のフユシャクなど
2013年末のフユシャク
フユシャクの産卵とその後
フユシャクの産卵 before & after
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フユシャクの産卵:列状卵塊ほか
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クロスジフユエダシャクはなぜ隠れて交尾するのか
フユシャクも出てきた11月下旬
婚礼ダンスでフユシャク・ペア探し
ウバタマムシとフユシャク♀2種
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クロスジフユエダシャクの♂♀比
フユシャク3種:退化した翅
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元日の昆虫2016
一部黒化?イチモジフユナミシャク♀他
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雪と冬尺蛾
クロテンフユシャクのペア他
シロフフユエダシャク・ペア他
2月のウバタマムシ&冬尺蛾
ヒロバフユエダシャクとシロフフユエダシャク
振袖チックなヒロバフユエダシャク♀他
振袖フユシャク【卒】を探せ〜トギレフユエダシャク♀
腹黒いヒロバフユエダシャク
プレフユシャク〜初フユシャク
意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク
冬尺蛾と極小カミキリ他
婚礼ダンスでペア成立
フユシャク3種〜12月中旬の昆虫
チャバネフユエダシャクのペア
空色の羽の妖精!?
桜でイチモジフユナミシャク
年末のフユシャク♀@桜
正月のフユシャク2017
昆虫の発生ムラ
クロオビフユナミシャク♀@桜ほか
シロフフユエダシャクも出てきた
フユシャクがとまりがちな所
民話風フユシャクなぜ話
蛹の時は大きい!?フユシャク♀の翅
ヒロバフユエダシャクなど
曇天のヒロバフユエダシャク♀
シモフリトゲエダシャク♀の毛皮感!?
シロトゲエダシャクなど
《卒》的ヒロバフユエダシャク♀
ヒロバフユエダシャクのペア/♀の前翅はどっち?
ヒロバフユエダシャク♀の前翅・後翅を確認
3月中旬のフユシャク&トカゲ
なんちゃって冬尺蛾メスコバネマルハキバガ
クロスジフユエダシャク:冬尺蛾の不思議
婚礼ダンスでペア成立:クロスジフユエダシャク
クロオビフユナミシャク♂♀卵他
ホルスタインちっくなチャバネフユエダシャク♀
クロオビフユナミシャクとチャバネフユエダシャク
フユシャク色々
イチモジフユナミシャク♀は地衣類擬態!?
年末のフユシャク♀2017
フユシャクの産卵&コーティング
フユシャクの卵塊
シモフリトゲエダシャク・シロフフユエダシャク
シモフリトゲエダシャクのペア他
ヒロバフユエダシャクのツーショット
産卵後のシモフリトゲエダシャクと産卵中のシロフフユエダシャク
シロフフユエダシャクのペア〜産卵前後
シモフリトゲエダシャク♀@桜
フユがつかない冬尺蛾
シモフリトゲエダシャクペア&ヒロバフユエダシャク
てんしのヒロバ他
片牙ゾウムシ&シロトゲエダシャク
フチグロトゲエダシャクの産卵他
冬の蝶!?クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャクのペア集
クロスジフユエダシャク:婚礼ダンスに異変!?
翅の大きさが違う冬尺蛾3種
クロオビフユナミシャク♀色々
フユシャク♀5種
クロオビフユナミシャク♀きらめく鱗粉
クロバネフユシャクのペア他
ギボッチ&桜っちで冬尺蛾
イチモジフユナミシャク♀色々
サザナミフユナミシャクの愛称!?他
イチモジフユナミシャク美麗♀
水色の翅の天使!?イチモジフユナミシャク♀
イチモジフユナミシャク・ペア〜特大♀
昼間のオスは?イチモジフユナミシャク
イチモジフユナミシャクのキューティクル
冬尺蛾の他人の関係
フチグロトゲエダシャクを見た…
今季初フユシャク確認 ※2019NOV
昆虫など〜メニュー〜
チャンネルF+〜抜粋メニュー〜

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サザナミフユナミシャクの愛称!?他

サザナミフユナミシャク@東京



木製手すり接続部の溝に沿うようにとまっているフユシャクのメスをみつけた。目に入ったときは、翅が大きめだったのでクロオビフユナミシャク♀が頭に浮かんだが……それにしては細長い!? よく見るとサザナミフユナミシャクのメスだった。


ネット上の画像では見たことがあったが、実際に目にしたのは初めてだったかもしれない。クヌギやコナラといったありふれた食樹で育つらしいが、そのわりに分布は局所的らしい。


このメスがいた手すりの近くにはクヌギが生えていたので、そこで育ったのだろう。


サザナミフユナミシャク♀の大きさは、直径20mmの1円硬貨と比較すると、こんな感じ↓。


フユシャク(冬尺蛾)のメスとしては大きめの翅だが、オスと比べると退化していることは明らか。サザナミフユナミシャク♂は、こんな姿↓。


和名に「ナミシャク」が入る蛾は、翅に波模様が入っていがちで、このオスも翅の裾(?)の方に波模様が入っている。この波は数字の「3」のくり返しにも見えるわけだが……サザナミフユナミシャクではこの数字模様が「3373」だったらいいのに……と思ってしまうのは僕だけであろうか? 「3373」なら「サザナミ」と読めるのに……残念。しかし、野帳をつけている人は記入時間を節約するために、きっとサザナミフユナミシャクを「3373」と記しているに違いない(?)。「サザナミフユナミシャク」と記すのは煩わしいが「3373」ならラクで速い。ただ、記入記号としては重宝しそうだが、口述するときは「さんさんななさん」は「サザナミ」よりも言いにくくなってしまう。となれば口述のさいにも言いやすいニックネームが必要なではないかと思い立った。そこで閃いたのが「波平(なみへー)」──言わずと知れた人気漫画『サザエさん』の登場人物・磯野波平である。「サザエさんの波平」略して「サザ波」というわけ。野帳に記入する時は、「波へー」の「へー」の長音記号を「波」形にして「へ~」と記して、これだけて「波へー」と読む。
「へ~」→「波へー」→「サザエさんの波平」→「サザ波」→「サザナミフユナミシャク」というのは、どうであろうか?
余談だが……今回の件で『サザエさん』を検索して「えっ!? そんなバカな!」と思ったことがある。「磯野波平」は54歳! 波平が僕より若かったなんて……。

冬尺蛾♀では大きめの翅・クロオビフユナミシャク



サザナミフユナミシャク♀を見たとき(翅が大きいということで)頭に浮かんだクロオビフユナミシャク♀。このメスは陽に当たる擬木の上にいたのだが、鱗粉がテカって浮き上がって見えるので、影をかけて撮影↑。冬の浅い角度の陽射しにあたっているのをそのまま撮るとこうなる↓。


今シーズンはクロオビフユナミシャクが多い気がする。


ホルスタインちっくなチャバネフユエダシャク



サザナミフユナミシャク♀とは対照的に翅が消失しているチャバネフユエダシャク♀。こんなところにも↓。


サザナミフユナミシャクを「波平」と呼ぶ人はいないかも知れないが、チャバネフユエダシャクの愛称「ホルスタイン」は広く定着しているのではあるまいか?


これでも立派な蛾の成虫↑。ユニークきわまりないチャバネフユエダシャク♀に対して、平凡(?)な姿のオス↓。


フユシャク亜科のフユシャク♀



やはり翅が消失したフユシャク亜科のフユシャク♀。


クロスジフユエダシャク♀



オスの乱舞の時期はもうとっくに終わってしまったが、まだ単独のメスは見かける。

ギボッチ&桜っちで冬尺蛾

緑地の擬木柵などは昆虫観察の意外なスポットだったりする。そんな擬木を中心に虫探しをする「擬木ウォッチ」を僕は略して「ギボッチ」と呼んでいる(ちなみに擬木ウォッチをする「擬木ウォッチャー」は「ギボッチャー」)。そして毎年この時期になると、イチモジフユナミシャクやチャバネフユエダシャクなどフユシャクががよくみつかるサクラにも注目することになる。「擬木ウォッチ」が「ギボッチ」なら「桜ウォッチ」は「桜ッチ」ということで。

イチモジフユナミシャク♀の理想の美麗個体は?



桜並木ぞいのフェンスの支柱に登っていたイチモジフユナミシャク♀。珍しい種類ではないのだが、美麗個体となると目にする機会は、そう多くない。フユシャクなのでメスの翅は退化していて小さい。この前翅が青~緑がかったメスはキレイでお気に入りなのだが、この♀はほとんど青みが無かった。


イチモジフユナミシャク♀の腹部は白っぽく、背中の節ごとに対になって並ぶ黒紋と側面に並ぶ輪状紋があるのだが、この♀↑の腹には白い鱗粉の中に黒い鱗粉も散在してごま塩模様になっていた。
苔むしたサクラのやや高いところにとまっていたイチモジフユナミシャク♀↓。ぷち木登りして撮ってみたが、これも青みが薄い個体だった。


サクラで見つかるイチモジフユナミシャクは、日陰側にいることが多い。このメス↑も日陰側にいたので引きの画像はフラッシュ強制発光で撮影。晴れた日の桜ッチは(冬の太陽は角度が浅いので)逆光がかなりストレスになる。日陰側に多いというのは、鳥など捕食者から見えづらい逆光ポジションを選んでのことなのかもしれない。
やはりサクラの日陰側にいた、メスとは似ても似付かないイチモジフユナミシャクのオス↓。


サクラの日陰側ではないが……サクラの近くにある案内板の支柱の日陰側にとまっていたイチモジフユナミシャク♀↓。


このメス↑は若干青みがあったが、黒い鱗粉が入ったごま塩模様になっていた。
イチモジフユナミシャクは夜行性なので昼間はじっと動かないことが多いのだが……擬木の上を歩き回っていたイチモジフユナミシャク♀↓。


頭を起こし、小さな翅をやや立てて歩いていた。静止モードの姿勢とはずいぶん感じが違う。擬木支柱のふちで止まったところを撮影↓。


このメスは翅に関しては淡い水色でキレイな部類。水色の前翅に黒い帯が走っている個体もいるが、このメスは黒帯が途切れている。腹は白い部分に黒い鱗粉が混じって紋が不鮮明なのが、(ヒトの美観上?)ちょっと残念。


この後、このメスはまた歩き始めた。歩く時は翅を持ち上げ、触角を開いて先端を前に向けていたが、息を吹きかけると触角を倒して静止した。


翅を上げているので腹部側面の輪状紋がよく見える(ごま塩模様になっているのがちょっと残念)。小さな頭部と長い脚が印象的……。


サクラの枝にとまっていたイチモジフユナミシャク♀↓。


水色の前翅はやや色が薄いが、白い腹の黒い紋はクッキリキレイに見える。


個人的な好みでいうと……前翅の青みが強く、できれば黒い帯模様がクッキリ入り、腹はパールホワイトに黒い紋が明瞭なメスが、理想的な美麗モデルなのだが……完璧な個体にはなかなか出会えない。

あわいブルーの冬尺蛾
イチモジフユナミシャク♀は地衣類擬態!?

チャバネフユエダシャク



やはり桜ッチで見つかることが多いチャバネフユエダシャクのメス。イチモジフユナミシャク♀とはまた違った味わいの存在感がある。


イチモジフユナミシャク♀は個体によって、かなり美麗度(?)に差があるが、チャバネフユエダシャク♀では、さほど当たりハズレ感はない。大小体格差があったり産卵前後で体型は変わるていど。
産卵ダイエット(?)で、いくらか腹が凹んできたチャバネフユエダシャク♀↓。


木製の手すりの上にいた産卵前の豊満なチャバネフユエダシャク♀↓。




こんなホルスタインちっくなメスとは全く似ていないチャバネフユエダシャクのオス↓。




フユシャク♀5種

冬の風物詩・フユシャク(冬尺蛾)。このグループの特徴を顕著に現しているのがメス──翅を退化させたユニークな姿が見どころのひとつといえるだろう。ということで、最近目にしたフユシャクのメスを5種。

今シーズン初のイチモジフユナミシャク♀



淡い水色の前翅と腹の側面に並ぶ輪紋がお気に入りのイチモジフユナミシャク♀。今シーズンの初個体が桜並木ぞいのフェンスの上に出ていた。






オスや普通の蛾とはまったく違うフォルム&色合いが独特の雰囲気をかもしだしている。飛翔能力のあるオスの翅はもっとずっと大きく、美しい水色は入っていない。そんなオスを含む過去の記事↓。
あわいブルーの冬尺蛾
イチモジフユナミシャク♀は地衣類擬態!?

今季初のシモフリトゲエダシャク♀だったが…



これも今シーズン初のフユシャクだったのだが……何だか、ちょっとヘン!?




腹の先端がまだ蛹のような感じで、形成不全っぽい。シモフリトゲエダシャク♀は大型でユキヒョウや高級毛皮を思わせるゴーヂャスなイメージが(僕には)あるのだが……ちょっと残念で痛々しい(?)個体だった。とりあえず今季の発生を確認したということで。
本来の美しい姿は、こんな感じ↓
シモフリトゲエダシャク♀@桜
シモフリトゲエダシャクペア&ヒロバフユエダシャク

このところ目につくクロオビフユナミシャク♀



前回(*)も紹介したクロオビフユナミシャク。フユシャク♀の中では大きめの翅をもつメス。その後もいくつか見ることができた。




別の擬木の支柱上面のフチにとまっていたクロオビフユナミシャク♀↓。


模様の色合いやコントラストは固体によって変異がある。
クロオビフユナミシャク♀色々

ホルスタインことチャバネフユエダシャク♀





クロオビフユナミシャク♀の大きめな翅とは対照的に、翅が消失しているチャバネフユエダシャク♀。そのため、より蛾には見えず、ミステリアスな正体不明感(?)を漂わせている。見た目のイメージから「ホルスタイン」の愛称で親しまれているチャバネフユエダシャク♀も続々と出てきた。ギボッチ(擬木ウォッチ)でみつけたメス↓。


擬木支柱の鉛直面にとまっていたチャバネフユエダシャク♀↑と、水平面にとまっていたチャバネフユエダシャク♀↓。


木製手すりのこんなところにも↓。


オスにはないホルスタイン模様がどうしてメスだけにあるのか等、不思議さ満載の存在だ。
ホルスタインちっくなチャバネフユエダシャク♀

翅を広げたクロスジフユエダシャク♀



少し前にはオスたちの乱舞が見られたクロスジフユエダシャクだが、その舞台となった雑木林も今では閑散としており、祭りのあとのよう……。季節の移ろいは早いもので、オスは単体でチラホラ見られる程度になってしまった。擬木では4枚の小さな翅をしっかり広げたメスの姿が見られる。


色合いや模様は固体によって変異がある。


この時期、擬木などにとまっている単体のメスは(産卵前の個体は)姿勢が良い──4枚の小さな翅を展翅したかのようにきれいに広げているものが多い。発生初期~ピーク期に、ペアになっているメスでは翅がきれいに整っているものが少なかった気がする。メスが羽化後どの程度経った時点で交尾に至るのかは知らないが、まだ羽化してさほど経たぬうちに──翅が完全に伸びきっていないうちにフェロモンを発散するのではなかろうか? 未交尾のメスが見えないところに隠れていてもフェロモンを発すると、とたんにオスたちが集まり婚礼ダンスが始まる。そして1匹が交尾を成立させると他のオス達はさっさと引き上げてしまう。交尾中の♀がいても、メス探しをしているオスたちは無反応。また、交尾後オスが離れた後のメスにもオスたちは反応しない。交尾が成立した時点でオスを呼ぶフェロモンはシャットダウンされるのだろう。やはり昼行性のフユシャク・フチグロトゲエダシャクの場合はメスが時間をおいて何度も交尾するというが、クロスジフユエダシャクも同様に複数回フェロモンを放つことがあるのか僕は知らない。ただこの時期、単体で擬木などにとまっているいるクロスジフユエダシャク♀はおそらく(交尾後の)産卵前後の個体であることが多く、羽化からある程度時間が経っているために翅が充分伸びきって「展翅したかのように」広げているものが多いのではなかろうか……。


翅の大きさが違う冬尺蛾3種

フユシャク(冬尺蛾)が見られる時期になった。「フユシャク」は年1回、冬に成虫が出現し、メスは翅が退化して飛ぶことができないというユニークな特徴を持ったシャクガ科の蛾の総称。昆虫なのに(虫にとって活動しにくいと思われる)冬に現れるとか、蛾なのにメスは飛翔能力を捨ててしまったという点が興味深い。「どうして、そんなことになってしまったのか?」と想像力を刺激する。飛ぶことができるオス(一見ふつうの蛾)とかけ離れたメスの容姿もおもしろい。活動している昆虫が少ない時期──冬の「主役」ともいえる昆虫だ。

翅が消失したチャバネフユエダシャクのメス



冬に現れる、この奇怪な虫↑──チャバネフユエダシャク♀を知らずに初めて見たときは、いったい何の仲間なのか見当もつかなかった。イモムシにしては脚が長いし、ジョロウグモの仲間にしては、脚は6本……昆虫なのであろう。昆虫の成虫なら翅があってもよさそうなものだが、この虫には無い……。翅の無い昆虫ということでカマドウマを思い浮かべたりもしたが、それともまた雰囲気が違う……。これが冬に出現する蛾のメスだと知った時は大いに驚いた。


フユシャクは種類によってメスの翅の退化の度合いにかなり格差があって、チャバネフユエダシャクではメスの翅はほとんど消失している。蛾の特徴である翅がなく、オスとは似ても似つかないホルスタインちっくな容姿のため、最初はとてもこれが蛾の成虫だとは思えなかったわけだ。
これでもちゃんと蛾である証拠に──以前の記事からペアショットを──↓。


※【チャバネフユエダシャクのペア】より再掲載↑。
今回みつけたチャバネフユエダシャク♀と同じコンクリート壁にとまっていた。

フユシャクとしては大きめの翅を持つクロオビフユナミシャク♀



翅が消失したチャバネフユエダシャク♀とは対照的に、フユシャクの中では大きめの翅を持つクロオビフユナミシャクのメス。これなら、なんとなく蛾の仲間であると想像できる。




体色や模様のコントラストは個体によって変異がある。
やはり擬木で見つけたクロオビフユナミシャク♀↓




フユシャクのメスとしては大きめの翅だが、オス↓と比べると退化していることは明らか。


小さな翅が魅力のクロスジフユエダシャク♀



今シーズン何度か記事にしているクロスジフユエダシャクのメス。


翅は退化して小さいが、ちゃんと4枚(前翅と後翅が1対ずつ)あるのがわかる。小さな翅は可愛らしいアクセントでもあり、完全に消失した種類よりも、むしろ「退化した感」が漂ってくる気がしないでもない。
もちろん、オスは飛翔能力のある翅を持っている↓。


オスもメスも個体によって大きさに差があるが、立派な体格のクロスジフユエダシャク♀↓。


小さな翅を広げてとまった姿勢はりりしさを感じさせる。


なんちゃって冬尺蛾!?なアカシデ種子(果苞)ほか



この時期、木の幹や擬木に付いているアカシデのタネ(果苞)は、ちょっとフユシャク♀に見えなくもない!? フユシャク♀がこうした植物片に擬態しているとは思わないが(それほどの擬態効果があるのかは疑問)、フユシャクに興味を持って探し始めた頃はしばしば騙された。



やはりこの時期に見られるカバエダシャク↑。シャクガ科の蛾だが、メスにも翅があって、フユシャクではない。
体色と似た色合いの幹にとまっていると隠蔽擬態効果抜群のキノカワガだが……ずいぶん目立つところにとまっていた↓