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- 2014/01/24 : 日本テレビ『ZIP!』でハリネズミ [エッセイ・雑記]
- 2014/01/19 : 珍事記事、ハリネズミではなくヤマアラシ [エッセイ・雑記]
- 2011/05/27 : ミミナガハリネズミ驚異の反射神経 [小動物など]
- 2011/05/11 : ミミナガハリネズミ(オオミミハリネズミ) [小動物など]
日本テレビ『ZIP!』でハリネズミ
1月22日放送の『ZIP!』(日本テレビ系列)という情報番組の中でハリネズミが紹介されたらしい。僕は(前の記事でも書いたが)テレビを離脱しているので見ていないのだが、番組の概要ページに放送内容が記されていた。ブラジルで起きた《珍騒動》というのは、前の記事(*1)で問題にした朝日新聞デジタルの誤報記事の件である。《珍騒動を起こした》のは「ハリネズミ」ではなく、実は「ヤマアラシ(アメリカヤマアラシ)」だった。
日本テレビでもこの誤報を拡散したのか!?──とあきれたが、読み進むと《女性の頭に落ちたと話題になっているのはキノボリヤマアラシだと考えれる(原文ママ)》との記載があった。どうやら日本テレビは、朝日新聞のミスを引き継がず、正した内容を伝えたらしい。
調べてみると「キノボリヤマアラシ科」は「アメリカヤマアラシ科」の別称で、その中にキノボリヤマアラシ属というのがあるようだ。
だから、《ハリネズミはモグラの仲間》ではなく《ハリネズミはトガリネズミに近い動物》というのがより適切な表現だと思う。ただ「トガリネズミ(ネズミの仲間ではない)」では例えに用いるには認知度が低いということで、トガリネズミ目の中に組み込まれたモグラを引き合いにだしたのかもしれないが……監修の不備ではないかという気がしないでもない。テレビを離脱している僕は番組を見ていないので、実際にどういう解説がなされていたのかわからないが……現在もかつての(今はなき)モグラ目(食虫目)という捉え方で情報が浸透するのではないかと気になったわけである。
『ZIP!』は情報番組だというから、最新のより正しい情報を発信すべきだろう。

※【うちゅうのモグラ捕獲!?!】/【ミミナガハリネズミ(オオミミハリネズミ)】より
「分類」は動物の「住所」のようなもの
動物の分類について僕は詳しくは知らない。ただ、ある動物のことを説明する時に「○○の仲間(○○目・○○科)」というフレーズはよく使う。これはその動物をイメージする定番情報──いってみれば「分類」はその動物の「住所」みたいなものだと考えているからだ。分類の根拠については──なぜその「住所」に住んでいるのかは分からなくても、とりあえず「正しい住所」を知って間違いの無い説明ができるようにしておきたい。分類上の変更があれば……その科学的詳細は理解・把握していなくても──「引っ越し」の理由は知らなくても、「正しい新住所」は知っておきたい。そう感じるのは僕だけではないだろう。
その動画がこれ↓。
そのさい、僕が投稿した動画は昔の映像で、途中に入れた字幕の内容が現在とは違うこと──当時は「ハリネズミはモグラの仲間」だったが、今は違うということについても記しておいた。
検索して見つけた番組概要に《ハリネズミはもぐらの仲間と考えられていて》と記されているのをみて、僕の返信メッセージを読んでいないのではないか……と疑問に思った。
僕に動画の使用許諾の要請メッセージを送信した後、番組に必要な素材が揃い、僕の動画は必要なくなって、返信メッセージも確かめずに放置──いらなくなったから忘れ去られているのかなぁ……と想像している。
もしA氏が僕の返信メッセージを読んでいたら、《ハリネズミはもぐらの仲間と考えられていて》というアヤシイ表記はなかったのではないか……と思わないでも無い。
採否はともかく、使用の許諾を求めてきたのだから(こちらは許諾しているのだし)、返信メッセージくらいはチェックして、その後どうなったかについて一言あっても良さそうな気もするが……テレビ業界というのは、そういうところなのかもしれない。
テレビを離脱したのには、テレビ放送業界への不信・不満がたまっていたためでもあるが(*3)、「やっぱりな……」という感じがしないでもない。
■落ちてきたのは「ハリネズミ」ではなく「ヤマアラシ」
地デジ化を機にテレビから離脱しているから、ニュースはもっぱらインターネットで読む。生き物に興味があるから、動物がらみの見出しには目がとまりがちだ。先日も「ハリネズミ」の見出しにひかれて、こんな記事を読んだ。
●女性の頭にハリネズミ落下、270本刺さる リオ市街地
http://www.asahi.com/articles/ASG1L25G8G1LUHBI005.html
概要はブラジルのリオデジャネイロで、歩いていた女性の頭にハリネズミが落下し、女性の頭には270本ものハリが刺さって病院で治療するはめになった──というもの。しかし、そんな目に合いながら被害女性は「お年寄りや子供の頭に落ちてきたら、こんなけがではすまなかったでしょう。でも、私の頭がクッションになってハリネズミの命を救えたならうれしい」と話したという内容だった。
この見出しを見たときにまず感じたのが、「ハリネズミが落ちてくるって……いったい、どういう状況?」という疑問だった。僕もハリネズミを飼っていた事があるが(*)、地上を徘徊するこの動物が木登りするとは思えない。
記事を開いてみて、「ブラジルで起きたこと」「女性の頭にたくさんのハリが残っていた(つまり、ハリは敵に刺さると抜ける構造だった)こと」などから、「ハリネズミ」と記されている動物はハリネズミではなく、「ヤマアラシ(アメリカヤマアラシの仲間)」に違いないと思った。
ハリネズミは「ネズミ」の名がついているが、ネズミの仲間(げっ歯目=ネズミ目)ではない。僕が飼っていた頃はモグラの仲間(食虫目=モグラ目)とされていたが、今はハリネズミ目として独立している(かつての食虫目=モグラ目は無くなり、モグラは現在ではトガリネズミ目のモグラ科という扱い)。
一方ヤマアラシは見た目はちょっと違和感があるかもしれないが、ネズミの仲間(げっ歯目=ネズミ目)。アメリカヤマアラシの仲間は木登りも得意だというから、ブラジルで(高い所から)落ちてきたという記事のようなことが起きても不思議ではない。落下してきた動物は「ヤマアラシ」だったのだけれど、「背中にハリをもつネズミ目の動物」ということで「ハリネズミ」と勘違いされて報じられることになったのだろうか?……などと誤報の経緯を想像したが……真偽のほどはわからない。
後に同じエピソードを伝えた英文記事があることを知り、自動翻訳してみたところ、問題の動物は(やっぱり)「PORCUPINE(ヤマアラシ)」であることが記されていた。
※同エピソードを伝えた英文記事
●Housewife left in agony after PORCUPINE falls onto her head while she was walking her dog
http://www.mirror.co.uk/news/weird-news/housewife-left-agony-after-porcupine-3032618#.Uts9EPaAbJx
僕が最初に読んだ日本語記事は現地テレビ局の報道を伝える形で記されていたが、オリジナルの現地(ブラジル)報道の時点で「ハリネズミ」と誤報されていてそのまま翻訳したのか、それとも翻訳の時点で「ヤマアラシ」を示す単語が「ハリネズミ」と誤訳されたのか……いずれにしても、日本語の記事にするさいに記者が内容を確かめていたなら「ハリネズミ」という誤報は防げたのではないか……という気がしないでもない。じっさい英文記事では、ちゃんと「ヤマアラシ(PORCUPINE)」と報じられている。
僕のように生き物への興味や動物についての情報が知りたくて記事を読む人は少なからずいるだろう。そんな読者にとっては「動物についての誤った情報が発信されている記事」は残念でならない。
一方、動物への興味でこの記事を読んだわけではない読者からすれば、「落ちてきたのがハリネズミだろうがヤマアラシだろうが、そんなことは記事の趣旨とは関係ない」のかもしれない。
この記事の趣旨は「動物が頭に落下し270本ものハリが刺さるという珍事」と「被害者女性の心温まるコメント」にあるのだということはわかる。
このエピソードを紹介した記者(朝日新聞記者?)は、その「趣旨」で記事を書いたのだろうし、読者の多くもその「趣旨」で記事を受け止めたことだろう。
しかし、報道記者が、自分が伝えたい「趣旨」を記事にするさいに「検証」をおざなりにして良いのか?──という気がしないでもない。
報道記者は、世の中で起こっている事柄を自分の「趣旨」に合わせた構図で切り取り、大衆に伝えようとする。それ自体は必ずしも悪い事とはいえないが、内容が本当に正しいのか・情報に間違いが無いかを確かめる「検証」のプロセスは必要なはずだ。
この記事では「ハリネズミ」という誤認が発信されたことで「検証」がちきんとなされていなかったことが露呈したかたちだが、こうなると、おそらく「趣旨」の1つであったと思われる「被害者女性の心温まるコメント」部分についても、本当に正しく伝えているのだろうか……という疑問が浮かばないでも無い。
記事の最後に、ひどい目にあった被害者のコメントが紹介されているが──、
>「お年寄りや子供の頭に落ちてきたら、こんなけがでは
>すまなかったでしょう。でも、私の頭がクッションになって
>ハリネズミの命を救えたならうれしい」と話しているという。
日本語記事では「と話しているという」という伝聞で記事がまとめられている。つまり、記者は被害者女性のコメントを直接確かめることなく記事を書いた──ということになる。
この記者は地元のテレビ報道を見ただけで、事実関係を確かめたり内容を検証する「取材活動」をする事無く記事にしたのだろうか。
報道記者が自分の「趣旨」を伝えるために「事実確認」を怠って記事を書いているとしたら──、また、他社(他者)の報道を拾って「取材無き記事」を書いているのだとすると、大いに疑問を感じる。
今回の記事では、単にと動物種の誤認に留まらず、記者の取材姿勢・記事の信憑性、さらに言えば読者のリテラシーのようなものについても、いろいろ考えさせられるものがあった。
*ミミナガハリネズミ(オオミミハリネズミ)
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-147.html
現像に出して、写真が出来上がってくるのを楽しみにしていたのだが……写っていたのは、みなブレたNG画像ばかり!
よく見ると頭のブレ方が激しい。撮影中、ハリネズミがシャッター音に反応してビクッと頭のハリを逆立てていたのはわかっていたが……これが「ブレ」の原因だったのだ。
まさかシャッター音に反応してその後に起こした動きが写真に写っているとは思わなかった。


デジカメならシャッターを切ってから実際に記録されるまでタイムラグがあるから起こりうる現象かもしれないが、フィルムカメラの場合、シャッターを切った瞬間の画像が記録される──そんな意識があった。実際、フィルムカメラでは動きの速いアクションやアクロバット・シーンなどもちゃんと撮れていた。
構造としては──普段レンズとフィルムの間にはミラーで仕切られ、レンズを通した像はこのミラーに反射してファインダーに映し出される。
シャッターボタンを押すと、このミラーが瞬時にたたまれ、レンズを通した光はフィルム側へ届く。そしてフィルムの前を走る幕のスリットから光がフィルムに届いて画像が記録(感光)されるわけだ(フォーカルプレーンシャッター)。
撮影が終了するとただちにミラーが復元するので、ファインダーをのぞいているとシャッターを切った一瞬だけ暗くなるが、すぐに視界は戻る。
この反応速度は驚異的である。

ハリネズミというと、なんとなくもっさりしたイメージもあるが、この驚異の反応スピードによってフィルム2~3本が、ほぼNGとなった。
そこで逆にラジカセで小音量の音を流し続け、音になれた頃にシャッターを切ってみたところ、なんとか撮らせてもらえるれるようになった。
ハリネズミを飼い始めて最初に驚いた事のひとつである。



昔飼っていたミミナガハリネズミ(オオミミハリネズミ)。
栗のイガのようなハリの鎧にすっぽり体が包まれてしまうのがおもしろい。
僕が飼っていた頃はハリネズミはモグラ目(食虫目)に分類されていたが、その後ハリネズミ目として独立していたことを最近になって知った。
正確に(分類的に)答えるなら「ヤマアラシ」だろう。ヤマアラシはネズミ目の動物で、ハリネズミは当時まだモグラ目に分類されていたように思う(2005年頃にハリネズミ目として独立したらしい)。さらにハリモグラという動物がいるが、これはモグラ目ではなくカモノハシ目(※かつてのモグラ目=食虫目は現在ない)。このあたりは名前と分類が違っていたりして、ちょっとややこしい。
この問題は子どもには難しいのではないかと思ったが……「ハリをもつネズミは?」の答えは(そのテレビ番組では)「ハリネズミ」となっていた。
この番組を見た子はハリネズミをネズミの仲間だと思ってしまっただろう。ちょっと不適切なクイズだったように思う。
ユニークでおもしろい動物だったが、現在ミミナガハリネズミは日本では入手しにくい状況らしい。そんなことも最近知って、ある意味貴重かもしれない(?)1994年飼育当時の動画をアップしてみたしだい(※動画の字幕内容は飼育当時の情報/現在ハリネズミはハリネズミ目に分類されている)。
ちなみに、これらの取材にみえたカメラマンが故・関根史郎さんだった。関根さんは2001年1月、大久保駅で、ホームから転落した男性を助けようとして韓国人留学生の李秀賢(イ・スヒョン)さんと線路に飛び降り、電車にはねられて亡くなっている。取材にみえた関根さんは実直な印象の人だった。改めてご冥福をお祈りしたい。
1997年に誠文堂新光社から『ハリネズミクラブ』という飼育書が出版されたが、この本が国内初のハリネズミ専門の飼育書だったのかもしれない。
その後しばらくハリネズミから離れていたのだが、最近、やはり誠文堂新光社から『ザ・ハリネズミ』(大野瑞絵・著/2009年)という飼育書がでていることを知った。今はハリネズミを飼ってはいないが、書店で見て内容が充実していたので購入。僕がミミナガハリネズミを飼育していた頃に、こんな本があったらなぁ──と思わないでもない。

K-POPの人気グループKARAのハン・スンヨンさんがハリネズミを飼育しているというのを最近知った。ハリネズミの人気は高まっているのかもしれない?
ハリネズミを飼っている、あるいはこれから飼う事を考えている人には『ザ・ハリネズミ』はオススメの1冊である。