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タテスジグンバイウンカ~ウバタマムシ

タテスジグンバイウンカ~ウバタマムシ



葉の上に初めて見る昆虫がとまっていた↑。「おっ!? なかなかキレイ」──ということで撮ってみたもの。直後にピン!と跳ねて姿を消してしまった。帰宅後調べてみるとタテスジグンバイウンカ(タテスジウンカ)というらしい。
ウンカといえば……先月初めて見たヒロズクサビウンカがフェンスの上にいた↓。


ヒロズクサビウンカ(仮称?)は外来種のマルウンカで広食性らしい。中国ではモクセイ科の植物も加害するというが、近くにキンモクセイが植えられていたのでそこで発生しているのかもしれない。動き回るのでうまく撮れず……最後は例によって跳ねて消えてしまった……。
木製の手すりの上にいたアカスジキンカメムシ5齢幼虫↓。


アカスジキンカメムシは普通、5齢幼虫で越冬する。


遠目には白黒の配色が鳥の糞にも見えるが、黒っぽい部分には鈍い金属光沢があって、よく見るとキレイ。脚や触角も輝いていて、キンカメムシの片鱗を感じさせる。




落葉の頃になると、それまでいた場所では吸汁しにくくなるためか、越冬場所へ移動するためか、あるいは葉と一緒に落ちた個体が登ってくるのか……木の幹や擬木、手摺、フェンス等で終齢(5齢)幼虫を目にする機会が増える。
同様にこの時期、人工物で見かける機会が増えるのが、これ↓。


ワイヤーフェンスの上にいたニホントビナナフシのメス↑。翅は短めだが、これで成虫。オスの翅はもっと長いが、(単為生殖するため)オスを見かけることは稀。『ナナフシのすべて』(岡田正哉・著/トンボ出版/1999年)によると《九州以北ではおもに単為生殖、屋久島以南では両性生殖をすると思われる》とのこと。
しかしながら、僕は狭山丘陵(東京側)でニホントビナナフシのペアを確認したことがある(*)。また半分♂半分♀という雌雄モザイク個体に遭遇したことも2度ある(*)。通常は緑色のニホントビナナフシ♀だが、黄色い個体も見たことがあり(*)、僕には不思議な昆虫というイメージがある。
不思議といえば──ホストの植物から離れた場所にポツンととまっていたアカボシゴマダラの幼虫↓。




特定外来生物に追加指定され、今年から、飼養・栽培・保管・運搬・放出・輸入・譲渡・販売等が規制されることとなったアカボシゴマダラ(*)。このあたりではすでに定着し、もっとも良く見かけるチョウの1つになっているのでカメラを向けることも少なくなってしまったが……「どうして、こんなところに!?」という場所にいたので撮ってみた。多摩湖(村山貯水池)の堤防欄干の束柱というのか間柱というのか──の部分に幼虫がとまっていた。堤防の南端からはおおよそ100mほど、北端からは500mほど離れている。翅のある成虫ならともかく、幼虫がいったいどうやって、ここまでやって来ることができたのか不思議に感じた。
何らかの理由で人の服orバッグ等にくっついて人とともにここまで移動して落ちたのだろうか? あるいは、幼虫がとまっていた葉が強風で飛ばされ、堤防の途中まで運ばれたのか……?
少し前に堤防斜面に生えた雑草を取り除く作業が行われていたのを思い出した。もしかすると雑草にまじってエノキ(アカボシゴマダラ幼虫の食草)の幼木があったのかもしれない。アカボシゴマダラ幼虫はちょっとしたエノキの幼木で見つかることも多い。堤防にエノキの幼木があったのだとしたら、飛来した成虫が産卵することは充分考えられる。そこで育ち、除草作業で食草を失ったアカボシゴマダラ幼虫が近くの束柱で見つかったとしても、ちっとも不自然ではない──この可能性が一番高そうな気がする。



今シーズン初のニトベエダシャク↑。ブラウン&ベージュのシンプルなデザイン&配色がオシャレ。この蛾が出てくると、まもなくフユシャクも出てくる!?
このニトベエダシャクがとまっていたのは(たまたま)松の枝先だったが……この松で探していたのはこれ↓だった。


松ぼっくりと松葉の間に頭を突っ込むようにとまっていたウバタマムシ。成虫は松葉を食べる。この画像では、その姿がよくわからないので、てのひらに乗せて撮影↓。


隆起した縦縞模様が美しい。昆虫が少なくなってきたこの時期にであう甲虫類としては大きく立派で存在感がある。
松ぼっくりに戻して、1円硬貨(直径20mm)と大きさ比較↓。


ウバタマムシ成虫は狭山丘陵において1月~12月まで全ての月で成虫を確認している


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飛来したトビナナフシ

飛んできた!?ヤスマツトビナナフシ

ハリサシガメの姿を探して石垣を眺めていると──目の端から飛翔する虫が視界に入ってきた。なだらかな角度で飛来した虫は、そのまま石垣に着地──その姿を見てビックリ! ヤスマツトビナナフシのメスだった(この昆虫のオスは見つかっていない)。トビナナフシの飛翔を見たのは初めてだった。


このあたりで見られるトビナナフシはニホントビナナフシとヤスマツトビナナフシの2種(僕はこの2種しか見たことが無い)。ニホントビナナフシも見かけるのはたいていメス(本州では単為生殖といわれている)。ごく稀に見つかる小ぶりな割に翅が大きいオスはともかく……ニホントビナナフシとヤスマツトビナナフシのメスは飛ぶことができるのだろうか?──と、これまで疑問に思っていた。よく出会うニホントビナナフシ♀も、これまで飛翔する姿を見たことがない。カメラを向けると警戒してジャンプすることはよくあるのだが、これは「落下」というべきもので、落ちる姿ばかり見てきたので飛翔能力を疑ってきた。
今回飛翔する姿を見たのは、ほんの1~2秒。着陸した石垣は雑木林のふちにあるので、離れた場所から飛んできたのではなく、近くの木の上からジャンプして降りてきたのかもしれない。石垣に着地する寸前に減速するようなことはなく、ぶつかるように貼り付いたので、あるいは滑空に近い形だったのかもしれない。しかし、いずれにしても、これまで見てきた「落下」とはずいぶん違うなだらかな軌跡で、その翅はちゃんと機能していて「飛翔」と呼べるものだった。
「この虫は飛べるのかな?」と疑問に思っても、飛んでいる姿を見たことがないからといって「飛べない」と決めつけることはできない。飛ぶ姿を見ないかぎり疑問はずっと「謎」のままだ。だが一度飛翔する場面を確認すれば、「飛べる(飛べるものもいる)」ということが確定できる。
「ヤスマツトビナナフシ♀は、飛ぶことができるんだ!」と驚くと同時に、ひとつスッキリした。
僕を驚かせたヤスマツトビナナフシ♀↓。


トビナナフシには見てわかるように翅があるが、パッと見で上翅(前翅)だと思いがちな部分は後翅の革質部(かくしつぶ)と呼ばれる部分で、この下に薄い膜質部(まくしつぶ)が畳み込まれている。後翅革質部の付け根にある小さなカバーのようなものが前翅。


肉眼では判りにくいが、ヤスマツトビナナフシの触角には緑色の部分がある(ニホントビナナフシにはない)。複眼に入った模様もニホントビナナフシとは少し違っている。


これがヤスマツトビナナフシ♀の小さな前翅↑。この画面でいうと白い模様の下がヤスマツトビナナフシ♀は緑色だが、ニホントビナナフシでは赤褐色(*)。


腹端の「尾毛(びもう)」と呼ばれる1対の突起↑は長め(ニホントビナナフシ♀はもっと短い)。
顔のつくりはよく似ているのに複眼の模様でニホントビナナフシ♀とはずいぶん違った印象に見えるヤスマツトビナナフシ♀↓。


複眼の模様とは別に、黒い点──偽瞳孔(擬瞳孔)が撮影角度に応じて位置を変える。


ヤスマツトビナナフシとニホントビナナフシ

ニホントビナナフシ:ヤスマツトビナナフシ

狭山丘陵でこれまでに僕が確認したトビナナフシはニホントビナナフシとヤスマツトビナナフシの2種類。ニホントビナナフシが多い。ニホントビナナフシの方は(本州の個体は)単為生殖といわれているのに両性生殖を確認したり、(体色が緑色とされているメスで)黄色い個体に遭遇したり、オスとメスのパーツが混在する雌雄モザイク個体を見つけたりして、これまでに何度もブログネタにしている(*)が、ヤスマツトビナナフシについては少し前に柔らかいネタで1度取り上げただけ──あまり注目することがなかった。
思えば意外に出会う機会が少なかったヤスマツトビナナフシ成虫♀(単為生殖をし♂は確認されていない)を先日また見かけたので、ニホントビナナフシ成虫♀との違いなどを比べてみることにした。
見慣れたニホントビナナフシに比べるとヤスマツトビナナフシは若干小さめな感じもするが、両種はよく似ている。一見してわかりやすい識別点は【眼の後ろから体の側面を縦に走る筋状の模様】の有無だろう。あればニホントビナナフシ。ヤスマツトビナナフシには無い。【前翅の配色】にも違いがあって、ニホントビナナフシでは赤褐色の部分がある(同じ部分がヤスマツトビナナフシでは緑色)。また、腹端にある【尾毛(びもう)】と呼ばれる1対の突起が、ヤスマツトビナナフシでは長く飛び出しているように見える。
画像で比較すると違いがわかりやすい──↓。






というニホントビナナフシ↑に対して、ヤスマツトビナナフシでは↓。






ヤスマツトビナナフシの大きな瞳!?

こうした相違点とは別に、パッと見の印象で違うと感じたのは眼だ。トビナナフシの複眼にはカマキリで見られるような偽瞳孔(カメラ目線で写る複眼の中の黒い点)があって、つねに見つめ返しているようにうつる。この偽瞳孔は背面から撮ると上を向いた寄り眼がちの黒点になるのだが……ヤスマツトビナナフシでは、この黒い部分がやけに大きく、「パッチリした目」に見える!?


ヤスマツトビナナフシの背面ショットを見て「ずいぶん大きな偽瞳孔(擬瞳孔)だな……」と最初は驚いたが……じつは、これは偽瞳孔(擬瞳孔)ではなく、複眼の模様だった。
そんな眼の比較ということで、まずは見慣れたニホントビナナフシから──↓、


ニホントビナナフシと頭部の造型はほとんど変わらないのにヤスマツトビナナフシでは黒目模様(?)があることで、ずいぶんと表情(?)の印象が違って見える↓。


ヤスマツトビナナフシの背面ショットで黒目にみえたのは複眼の模様で、角度を変えると偽瞳孔(擬瞳孔)は別にあるのがわかる。(ヒトでは)「黒目を大きく見せるカラーコンタクトレンズ」なんてものがあるらしいが……なるほど、黒目が大きいと印象も変わるものだ。しかし、ヤスマツトビナナフシがヒトの好感度を上げるために「黒目を大きく見せる」ことをしているとは思えないから、複眼の模様には何か別の意味があるのかもしれない。
ニホントビナナフシも複眼に筋状の模様が入っている。眼を隠蔽する分断模様にしては……むしろ黒っぽい模様は目立つ気がしないでもない。あるいはハレーションを防ぐような役割りでも果たしているのだろうか?


寓話的ヤスマツトビナナフシのオス

ヤスマツトビナナフシのメス



葉の上にトビナナフシがとまっていた。狭山丘陵で見かけるトビナナフシはニホントビナナフシのメスが多い。見慣れたニホントビナナフシ♀に比べ、なんだかちょっと間が抜けた感じ? そう思ってよく見ると……眼の後ろからのびるラインがない──ヤスマツトビナナフシ♀だった。ヤスマツトビナナフシは単為生殖をする昆虫で、オスはまだ見つかっていないらしい。「もしも、未知のオスと遭遇したら……誰も見たことがないヤスマツトビナナフシ♂だと同定できるのだろうか?」──そんなコトをぼんやり考えながら炎天下を歩いていると、例によって(◎)暑さで溶けだした脳味噌にヤスマツトビナナフシのオスをめぐって妄想的イメージが展開した……(後述)。
ちなみに、狭山丘陵でよく見られるニホントビナナフシ♀はこんな姿↓。


日本には3種類のトビナナフシ(ニホントビナナフシ・ヤスマツトビナナフシ・シラキトビナナフシ)がいるが、オスが見つかっているのはニホントビナナフシだけだという(トビナナフシ亜科ではなくヒゲナナフシ亜科にタイワントビナナフシというのがいるが、この種ではオスはごく稀)。
オスが見つかっているニホントビナナフシでは、オスはメスよりもぐっと小さく、翅や前脚が長い──まるで別種のように見える↓。


『ナナフシのすべて』(岡田正哉・著/トンボ出版/1999年)によると、ニホントビナナフシは屋久島以南では両性生殖・九州以北では主に単為生殖すると考えられているそうな。Wikipedia情報では《本州の個体は単為生殖を行う》とのこと。
だから、いないと思っていた東京で初めてニホントビナナフシのオスを見たときは驚いた。さらに12月の東京で交尾しているのを確認した時には仰天した↓。


温暖な地域ではオスが出現し両性生殖し、北上するとメスだけの単為生殖となる──とみられていたニホントビナナフシのが、どうして冬の東京でペアになっていたのか……。
ニホントビナナフシには驚かされることが多い。オスとメスのパーツが混在する雌雄モザイク個体を見つけた時もビックリした。


この個体↑は頭部だけ見るとメスだが、体はほぼ右半身がオスで左半身がメスの特徴を持っていた。オスはメスよりも小ぶりだが、前胸はオスである右で短くなるためか右側に湾曲している。翅や前脚はオスである右側の方が長かった。
翌年みつけた雌雄モザイク個体では、もう少し複雑にオスとメスのパーツが混在していた↓。


また、ニホントビナナフシ♀は緑色だとばかり思っていたが、黄色い個体もいくつか見たことがあり、「へぇ!?」と思ったことがある。


『ナナフシのすべて』(岡田正哉・著/トンボ出版/1999年)には《ヤスマツトビナナフシ、ニホントビナナフシ、シラキトビナナフシのメスはどれも緑色で、体の形もたがいによく似ています》と記されているが、遺伝的な欠陥など(?)で青の色素が作れないと黄色になるのだろうか? イエロー個体はずいぶん印象が変わって見える。
トビナナフシの仲間も、なんだか不思議な昆虫だ……ということで、(どうでもいい)ヤスマツトビナナフシ♂妄想!?

寓話風妄想:ヤスマツトビナナフシのオス

あるところにたいそう昆虫好きの王様がいました。昆虫を収集するのが王様にとっての最大の関心事。きれいな昆虫・珍しい昆虫はもちろんのこと、地味で小さな昆虫でも集めずにはいられません。お城には専用の標本展示室がありましたが、それも手狭になってきて拡張することに。それにともなって、国中に生息しているありとあらゆる種類の昆虫のオスとメスをコンプリートしようと王様は心に決めました。

昆虫に詳しい学者・採集屋を城に集め、王様は命令しました。
「新たな標本展示室ができるまでに、国内に生存する全ての昆虫のオスとメスを採集するように! 目的を果たすことができれば皆に褒美をやろう。珍しい虫・綺麗な虫・おもしろい虫を見つけてきた者にはさらにボーナスを弾む。しかし、もし1種類でもオス・メスが揃わなかったら、ムチ打ちの刑に処す」
というわけで、分類学者によって昆虫リストが作成され、採集屋にノルマが振り分けられました。
虫屋のAも招集をかけられた1人。当初、「好きな昆虫採集をしてお金がもらえるなんてラッキー」と喜んでいましたが、ノルマのリストを受け取って青ざめました。ヤスマツトビナナフシが入っていたからです。この昆虫は単為生殖をする種類で、これまでオスは1匹も見つかっていません。「オスを見つけるなんて、無理に決まっている!」
しかし新たな標本展示室ができるまでに見つけなければムチ打ちが待っています。Aは途方に暮れました。じっさいにノルマ・リストが次々にクリアされていく中で、ヤスマツトビナナフシのオスだけは見つからず……不安なまま、期限は近づいてくるのでした。
そして迎えた期限の日──。
王様の前に立ったAは布にくるんだ標本箱を抱えていました。
「王様、とても珍しい昆虫を採集することができました。これまで1匹も見つかっていなかったヤスマツトビナナフシのオス──珍品です」
「ほう!」王様は目を輝かせました。
「希少というだけではありません。じつに変わった特徴を持っており、使いようによっては役に立つ昆虫かと」
「ほほう!? かわった特徴とな?」王様は身を乗り出しました。「どんな特徴じゃ?」
「メスは普通に誰にも見えるのですが……オスは《愚か者には見えない》という、とてもユニークな特徴を持っているのです。これまでオスが見つからなかったのも、これに関係しているのかもしれません」
「《愚か者には見えない》とな?」
「はい。物事の本質、真の姿は賢い者には見えるのに、愚か者には見えない──そんなことは多々あります。ヤスマツトビナナフシ♂は、そんな賢い者の目にのみ見えるつりくのようです」
「ううむ、それは変わっておるな。で、役に立つというのは?」
「《愚か者には見えない》ヤスマツトビナナフシ♂は、いってみれば、賢さをはかる物差し。標本展示室において家来の反応をうかがうのです。『見えない』という愚か者をクビにしていけば、賢い者ばかりが残り、家来の質を高められるでしょう」
「なるほど! 名案だな。今まで、虫を何かの役に立てることなど考えもしなかった」王様の声も期待にはずみます。「その虫をここへ」
Aは抱えてきた標本箱の覆いをとって王様の前へ進み出ました。
さしだされた標本箱をのぞき込んで王様は息をのみました。王様には標本箱がカラに──《愚か者には見えない》という世にも不思議なヤスマツトビナナフシ♂の姿が見えなかったのです。
「いかがです。すばらしいでしょう?」王様の絶句を感激と誤解したのかAは満足そうに笑みをうかべています。なんと応えたものか戸惑った王様は、わきから真剣な顔で標本箱をのぞき込んでいる大臣に気がつきました。
「どうだね、大臣?」王様は所感を大臣にふりました。大臣にも、実は何も見えていなかったのですが……しかし、「見えません」などと応えてしまったら……愚か者の烙印を押されてクビにされてしまいます──それを恐れた大臣は「た、たしかに見事ですなぁ」とごまかして王様の顔色をうかがいました。大臣が「見えた」のに、王様が「見えない」と言ってしまったら、「王様は大臣よりも愚か者だ」ということになってしまいます。家来の間にそんな噂が広まってしまうことを王様は恐れました。「うむ。すばらしい。これほどの昆虫は、そうはいまい」王様はカラの標本箱を受け取り、大げさに喜ぶふりを続け、大臣や家来もそれに合わせて「見える」ふりをしました。こうしてAはムチ打ちをまぬがれ、褒美を得て帰ることができましたとさ。

     *     *     *     *     *

『裸の王様』の《バカには見えない服》──からの連想。ありもしない(存在しない)服が見えているフリをしてしまう王様や大臣なら、そこにいない(存在しない)虫が見えるとノッてしまうのではないかという発想。そのために起こるエピソードも思い浮かんだりしたのだが……長くなるので割愛。おもしろいオチでキメられればよかったのだが……今回それはなし。暑さで溶けかけた脳味噌にわいたイメージということで。



フユシャク3種~12月中旬の昆虫

翅が消失したチャバネフユエダシャク♀

まずはこのユニークな(異様な?)姿をご覧あれ。多くの昆虫が姿を消す冬になると出現する。初めてこの虫を目にした時は何の仲間なのかも想像ができず《謎の生命体》だった。




初めて見た時は翅がないから何かの幼虫なのだろうかと疑った。節のある体はイモムシっぽく見えなくもないが……イモムシにしてはずいぶん立派な脚がはえている。その脚は6本あるから、きっと昆虫なのだろう……そう考えて翅がない昆虫を思い浮かべたりもしたが、例えばカマドウマなどともずいぶん違う……。
この正体不明のホルスタインちっくな虫の画像を、今はなきニフティの昆虫フォーラムに投稿し、【フユシャク】の仲間だと教えていただいたのは10年余り前になるだろうか。これが蛾の成虫♀だと知って大いに驚いた。
ちなみに、幼虫時代のチャバネフユエダシャクや成虫♂の姿は、ごく普通の蛾↓。


【フユシャク(冬尺蛾)】は年1回、冬に(成虫が)発生するシャクガ科の蛾で、メスは翅が退化して飛べないという性的二型(オスとメスの特徴が異なる)が顕著なグループの総称(冬に見られる蛾の全てがフユシャクというわけではない)。エダシャク亜科・ナミシャク亜科・フユシャク亜科の3つの亜科にまたがって、国内に30種類以上いるらしい。メスの翅の退化の度合いは種類によってかなり違いがあって、チャバネフユエダシャクではきれいに消失している。
こんなチャバネフユエダシャク♀を初めて見た時はその容姿にも驚いたが、昆虫なのに冬に活動すること・蛾なのに♀は翅を退化させ飛べないということを知って、さらに意外に感じ興味を覚えた。
【フユシャク】の存在を知ってからは、冬になるとこのユニークな昆虫に注目してしまう……。

小さな翅をもつクロスジフユエダシャク♀





このクロスジフユエダシャクもフユシャクのひとつ。チャバネフユエダシャクと同じエダシャク亜科だが、クロスジフユエダシャクの♀には小さいながら翅が残っている。この翅ではとても飛ぶことができないだろうことは一見して想像がつく──フユシャク♀の特徴である「退化した翅」を実感できる小さな翅は《フユシャクらしさ》の象徴のようにも感じる。
ガードパイプの支柱にとまっていた別個体♀↓。


クロスジフユエダシャク♀の大きさは、こんな感じ↓。


夜行性が多いフユシャクの中にあって、クロスジフユエダシャクは昼夜性。昼間に繁殖活動を行なうので観察するのによい素材だと個人的には思っている。♂が婚礼ダンス(羽ばたき歩行)によって、隠れた♀の居場所をつきとめるようすは興味深い(*)。
今シーズンは、クロスジフユエダシャクの発生が遅かった印象があるが……これまでの感じでは、発生数自体が少なめだったのではないかという気もしてきている。

冬尺蛾としては大きめの翅をもつクロオビフユナミシャク♀



擬木の上にいたクロオビフユナミシャクのメス↑。支柱上部の縁にとまっていることが多い。同個体を別角度から撮ったもの↓。


フユシャク♀の中では大きめの翅をもつ種類。


フユシャク♀としては大きめの翅に陽があたると鱗粉がキラキラと輝いて見える。


翅がテカッていると印象が変わるので、陽をさえぎって撮影↓。


クロオビフユナミシャク♀の大きさを1円玉と比較↓。


ちなみに飛翔能力のあるクロオビフユナミシャク♂の姿は、ふつうの蛾↓。



■今シーズンの初フユシャク
プレフユシャク~初フユシャク ※チャバネフユエダシャク
意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク ※クロスジフユエダシャク
冬尺蛾と極小カミキリ他 ※クロオビフユナミシャク

12月中旬の擬木でみられた昆虫から



本来の活動時期には植物について汁を吸っているのだろうが……ムラサキナガカメムシは冬になると擬木上で見かけるようになる小さなカメムシ。翅の膜質部(この種類では透けている部分)にある「1対の黒い点」が特徴だが、これは左右の翅に1つずつある模様が翅を重ねた時に(一方が)透けることで2つ並んで見えるということのようだ。↑の個体では左の翅(黒点)が上に、↓の個体では右の翅(黒点)が上になっているのがわかる。


体長は4~5mmほど。


擬木のカメムシつながりで、モンキツノカメムシ↓。


紋がハート形のエサキモンキツノカメムシに似ているが、モンキツノカメムシの紋はやや小さめで丸みをおびた逆三角形(ただし個体によってはハート形に見える紋をもつものもいる)。前胸背が緑色(エサキモンキツノカメムシでは茶褐色)なので、エサキモンキツノカメムシより緑っぽく見える。
擬木上の緑色つながりで(?)、ハラビロカマキリ↓。


12月にもカマキリの生き残りを見ることがあるが、年を越した生体はまだ見たことが無い。このハラビロカマキリも新年を迎えることはできないだろう……。
そして、やはり緑色をしたニホントビナナフシ♀↓。


ナナフシの仲間は本来南方系の昆虫らしいが……ニホントビナナフシも意外なことに12月に入ってからも、ちょくちょく目にする昆虫だ。屋久島以南では普通に(?)両性生殖をしているが、九州以北ではおもに単為生殖すると考えられているらしい。だからこのあたり(狭山丘陵)で見られるニホントビナナフシは全て♀──と思っていたのだが、たまに♂が出現することもある。僕は(東京で)ペアを確認したことがあるが、これも12月だった(*)。僕はまだ年越し生体を見たことが無いが、たざびーさんのブログでは年を越したニホントビナナフシが紹介されている。
ニホントビナナフシもフユシャク同様、性的二型が顕著な昆虫で、オスとメスの違いは一見してわかる。体の半分がオスで半分がメスという雌雄モザイク個体を見つけて驚いたこともあったが……ニホントビナナフシも不思議な昆虫だ。