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宝石蜂ムツバセイボウ待機中

宝石蜂!?ムツバセイボウ待機中











メタリックな青緑に輝くセイボウの仲間はみな鮮やかなのだが、赤系が入ったムツバセイボウは特にカラフル。腹に入った金属光沢の模様が光の加減や見る角度によって紅金色~オレンジ色~黄金色に変化してグラデーションが美しい。
なので見かけるとカメラを向けたくなるのだが、なかなかおとなしく撮らせてくれないことが多い。前回(輝くミドリセイボウ)も宿主を探して巡回中だったため、まともに撮ることができなかった。
今回も前回と同じ場所でムツバセイボウをみつけたが、やはり巡回中(せわしなく撮影は困難)だった。「きょうも撮らせてもらえないだろうなぁ」とあまり期待せずに見守っていると、宿主のヤマトフタスジスズバチがもぐり込んでいった材の近くに降りて《待機モード》に入った。グルーミングを始めたので、そっと近づき撮ることができた。








この日はムツバセイボウがきていた材の近くにヤマトタマムシの姿もあった。


光沢のある美麗昆虫といえばヤマトタマムシが思い浮かぶが、セイボウの仲間も(小さいながら)とても美しい。ということで過去に撮った他のセイボウ↓


宝石蜂セイボウの生活史起源考?の画像より


輝くミドリセイボウ

緑に輝くミドリセイボウ

前の記事【ミドリセイボウとルリジガバチ】で何とか撮れたミドリゼボウの画像は、やや青みが強く腹部第2節の紋の赤みが薄いものがほとんどだった。「ミドリセイボウ」の名前の示す通り、もう少し緑っぽいものも撮っておきたい。また、腹の紋の赤みがもう少しハッキリわかる画像も欲しいところ……ということで、同じ場所へ行って撮ってきた。






メタリック輝きは、光の加減で色合いが変わって見える。個体差もあるようだ。






この場所で見られるミドリセイボウは宿主・ヤマトルリジガバチの巣を探して欄干を巡回している。その姿を見つけるのはたやすいが、巡回中はせわしなく移動し続けているため、カメラに収めるのが難しい。ときおり止まってグルーミングを始めることがあって、そのときが撮影のプチ・チャンスなのだが、近づきすぎるとすぐに飛び去るので、なかなかうまく撮ることができない。前回はけっきょくスーパーマクロモード(撮影範囲:1cm~10cm)で撮ることはできなかった。上の画像は通常のPモード(撮影範囲:10cm~∞)で撮影したもの。
今回は、欄干の隙間をのぞき込んでいたミドリセイボウが、その近くで《待機モード》に入ったので、ようやく10cm以内まで近づけスーパーマクロモードで撮影することができた↓。






このミドリセイボウが待機モードに入る前にのぞいていた隙間からはルリジガバチが現れ、ミドリセイボウはその隙間に入って行った。
これはまた別のシーン↓(Pモードで撮影)。






落とした獲物は拾わない!?ルリジガバチ



ミドリセイボウに寄生される側のヤマトルリジガバチ(ルリジガバチ)は、巣に備蓄する獲物(クモ)を狩って欄干に戻ってくる。運ばれてきたクモは麻酔処理されていて動けない(殺してしまうと腐敗するので、動けなくして生かしたまま、やがて孵化する幼虫の保存食にする)。
ルリジガバチが抱えてきたクモを隙間に運び込む姿が見られる欄干で、動かないクモを見かけることがあった。これはルリジガバチが運んできた獲物ではないだろうか?






ルリジガバチが獲物を巣の直前まで運んだところで、何らかのアクシデントが発生し、やむなく獲物をその場に遺棄したと考えるのが自然な気がする。
労力を費やしてハンティングし、やっとここまで運んできたのに……巣の目前で捨てられてしまうのは、なんとももったいない。落とし主は例えば天敵に襲われるなどして、これを回収に来ることができなくなったということなのだろうか?
それにしても漁父の利で他のルリジガバチ♀が拾って利用しても良さそうなものだが……。しかし、すぐそばにルリジガバチはたびたび現れるものの、落ちているクモには見向きもしない。そこに現れたのは♂だったからだろうか? あるいは一度遺棄された獲物は自分のものであれ他人(他虫?)のものであれ、拾わないという習性があるのだろうか?

そう考えてふと思いうかぶことがあった。ルリジガバチは巣に搬入する前に卵を産みつける──そんな動画(ルリジガバチの産卵)を見た覚えがある。
巣の外で獲物に卵を産みつけるということは、つまり巣の外に遺棄された獲物にはすでに他者の卵が産みつけられている可能性がある。拾った獲物を自分の巣に運び込むことは他者の卵を自分の巣に招き入れることにもなりかねない。それは自分の子を脅威にさらす危険をはらむ。それでそんな(生存率を下げるような不利な)行為は淘汰されてきたのかもしれない……そんなことを想像した。

ミドリセイボウを撮ったあと、以前ムツバセイボウを撮影したポイントをのぞいてみた。ムツバセイボウは見られたのだが……この日は巡回中で動き回っていたためマトモなショットが撮れなかった……。やはり「巡回中」は撮影が難しい。



話は前後するが、ミドリセイボウ・ポイントへ向かう途中、メタリックな輝きを放つ昆虫の代表・ヤマトタマムシがいたので、これも撮っておいた。


セイボウの仲間もこのヤマトタマムシくらい大きければもっと知名度・人気は高かっただろうに……。小さくても頑張れ、セイボウ!


ミドリセイボウとルリジガバチ

欄干(らんかん)を巡回するミドリセイボウ



今年もミドリセイボウが、昨年みられた(*)同じ欄干(らんかん)に出ていた。
セイボウ(青蜂)はメタリックな輝きが美しいハチの仲間。むし社・刊『月刊むし』472号(2010年6月号)の《日本産セイボウ図鑑》によれば、日本には38種のセイボウ類が生息しているとのこと。






ミドリセイボウが欄干でみられるのは宿主であるヤマトルリジガバチ(ルリジガバチ)が手すりと支柱の隙間に営巣しているため。
ヤマトルリジガバチは竹筒や材の虫食い孔など、すでにある穴を利用して営巣する。クモを狩っては巣に運び込むが、これがやがて孵化するルリジガバチ幼虫のエサとなる。この資源に目をつけ寄生するのがミドリセイボウというわけだ。ミドリセイボウはスキをみてルリジガバチの巣に潜入し卵を産みつける。孵化したミドリセイボウ幼虫はルリジガバチの卵あるいは幼虫と備蓄されたクモを食べて成長する──ということのようだ。


この欄干では獲物や巣材搬入のため隙間から出入りするルリジガバチと、托卵すべくチャンスをうかがい巡回するミドリセイボウの姿がみられる。






セイボウの仲間はいくつか見ているが、触角で歩行面をさわるしぐさをよくしている。ちょっと犬が地面に鼻を這わせるようにしてニオイを嗅いでいるしぐさに似ていなくもない。セイボウも触角でニオイを探っているのだろう……これまで漠然とそう思っていた。オスならメスがたどったニオイを、メスなら宿主ヤマトルリジガバチのニオイを──。手すりや材、葉の表面に触角を触れるのは、それらの表面に残されたニオイ物質を拾っているのだろう……そう解釈していた。
今回、撮影しながらミドリセイボウやルリジガバチをみていて、ふと「ひょっとしたら、触角を触れているのは振動をキャッチするためではないか?」と思った。というのもルリジガバチが巣に潜っていったあと、「ジジジジジ……」というジガバチ特有の(?)バイブレーション音が聞こえてくることがあったからだ。
ジガバチの仲間が翅を高速で振るわせ、こんな音をだすことはよく知られている。この音は「ジガジガ」と聞こえなくもない──これが【ジガバチ】の名前の由来だとか。昔の人は、この蜂が狩ってきた虫を埋め「ジガジガ(似我似我=「我に似よ」)」と呪文(?)を唱えることでジガバチに変身させると考えた……「似我蜂」→「ジガバチ」という伝承に由来するらしい。
以前、ムツバセイボウを撮ったところでも、積まれた材の奥に潜り込んだ狩り蜂が「ジジジジジ……」と音を発していたことがあった。
営巣で穴を掘るとき・狩った獲物を搬入するとき・穴に詰め物でフタをするときなど、バイブレーションを使うと作業がはかどることがあるのかもしれない。つまり振動を加えることで粒子のつながりが壊れ掘削しやすくなったり、狭い穴にひっかかりがちな獲物を引き込む(押し込む)ときに振動させて少しずつずらすことで通しやすくしたり、詰め物をするさいには振動が素材の粗い粒子の隙間に細かな粒子を入り込ませ「なじませる」効果があったりするのではないか。
ジガバチではないが、以前ライポン(コマルハナバチ♂)をつかんだとき、指の隙間から逃げようとして翅を羽ばたき「ジジジジジ……」と高速振動することで少しずつ体をずらし、みごとにすり抜けたことがあった。


※【刺さない蜂!?ライポン】より

いずれにしても営巣の途上でセイボウの宿主蜂が「ジジジジジ……」とバイブレーション音を発することがあるのは事実だ。「振動」が営巣作業に利用されていたとすると、これを手掛かりにセイボウが宿主の営巣場所を察知していたとしても不思議は無いだろう──宿主が発する「振動」に気づくのはむしろ自然な気がする。
セイボウが触角を歩行面にふれているのは「振動探知」のため(でもあるの)ではないただろうか!?
はたして触角に音(振動)を感じとるような機能があるのかどうか──確かめたわけではないのでサダカではないが、今回ちょっとそんなことを考えた。

ヤマトルリジガバチ(ルリジガバチ)

ミドリセイボウに寄生される側のヤマトルリジガバチ(ルリジガバチ)。欄干の隙間に狩ってきたクモや巣材を運び込むようすが何度も見られた。また、その合間にはミドリセイボウが潜入する姿も──。












ルリジガバチの搬入物だが……クモはすぐに判ったが、白っぽいものをくわえて巣に入る姿も何度か目撃。クモにはみえないので、巣材に使う泥だろうかとも考えてみたが、それにしては白すぎる。いったい何を運び込んでいるのだろうと周囲を見回してみると……こんなものが目に入った↓。




アオバハゴコロモ幼虫は分泌したロウ物質を体にまとう──これで白く見える。クサカゲロウの幼虫は(種類によっては)補食した虫の死骸などを背負ってカムフラージュするといわれている。アオバハゴロモの幼虫やクワキジラミの幼虫などロウ物質にまみれた虫を補食した後背中に乗せていると白い塊と化す……こうなるとカムフラージュ効果というより逆に目立ってしまう気がしないでもないが……ルリジガバチかくわえてきたのは大きさ・形・色合いから、これに似ているように感じた。
ヤマトルリジガバチはこれをクモと誤認(?)し、獲物として巣に運び込んでいるのだろうか?──そんな想像もしたが、帰宅後調べてみると、ルリジガバチは完成した巣の入口をふさぐさいに鳥糞の白い部分や石灰を使うらしい(育室の隔壁にはふつうに泥が使われるそうな)。僕が見た白い物体は、白くデコレーションしたクサカゲロウ幼虫ではなくて、《鳥の糞》だったようだ。
まさか天敵が「エンガチョ」と嫌って敬遠する「えんがちょガード効果」を狙って鳥糞を抜擢したわけではないだろうが……ムツバセイボウの宿主ヤマトフタスジスズバチが巣穴の入口を塞ぐのに噛み砕いた葉片を使っていたのを思い出した。種類によっては素材への「こだわり」があるのがおもしろい。

クモや巣材を運び、かいがいしく働くルリジガバチ♀とは対照的に、欄干の上に陣取って縄張り争いをするように他の個体が近づくと追い回すルリジガバチの姿もあった。ルリジガバチ♂なのだろうか? 他の♂を蹴散らし、♀を待ち受けているように見えなくもない。あるいは自分で狩りをせず、他の♀が狩ってきた獲物を強奪しようと狙っている♀という可能性もあるのだろうか……。
そんな中、手すりの上にベタッと腹這いになってはりついているルリジガバチがいた。


弱っているわけではなく、カメラを向けると起き上がり飛び去って行った。飛び去ったあとの場所に触れてみると金属製の手すりは太陽光にさらされかなり熱くなっている。こんなところに腹這いになっていたのでは高熱による機能不全を起こしそうな気もするが……焼かれたプールサイドで甲羅干しをするようなあのポーズは何だったのだろう?
もしかすると、他の個体と空中戦で競い合うさいに、相手よりも敏捷に動けるよう筋肉を暖めていたのだろうか? 筋肉が充分に暖まっていない昆虫は飛翔がままならないことがあるが、逆に高熱にすることで超暖機状態をつくりターボをかけていたりして!?……そんなことも考えてしまった。

実はこの日、ミドリセイボウとヤマトルリジガバチを撮影した欄干にはクロバネセイボウも姿を見せていたのだが、せわしなく動き回るので不鮮明なショットしか撮れなかった。ミドリセイボウに関しても、なかなか近くに寄らせてもらえず、スーパーマクロモードでの撮影はついにできなかった。手すりをくり返し巡回しているのは判っていたので、逃げられてもまた現れるのを待って仕切り直し。現れたところでそーっと近づいては逃げられることのくり返し……。
「いま撮ろうと思ったのに飛ぶんだものなぁ~、もう!」
と、西田敏行(のかつての洗剤CM)風にぼやいてみたり、ようやくベストのフレーミングまで迫ったのにシャッターを切る直前に飛ばれて、
「ちょっとくらい撮らせてくれたって、いいやろ! 減るもんぢゃあるまいし! けち!」
などと心の中で地団駄をふんで、「これが号泣県議だったら、どれほど泣き叫んでいたことか!」と思ってみたりしつつ、ビミョ~にねばって撮ったもののなかからマシな画像をチョイスしたしだい。





ムツバセイボウふたたび

待機中のムツバセイボウ



前回()ムツバセイボウを観察した木材置き場で、ヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)が飛んでいるのを確認。この蜂を宿主とするムツバセイボウがまた現れるのではないか──と注意してみると、やはりいた。
今回も狙いを定めたヤマトフタスジスズバチの巣の近くで待機するムツバセイボウを撮ることができた。
じつは他の場所でもムツバセイボウを見かけたことがあったのだが、この時はターゲットを探してせわしなく移動し続けていたので撮影することができなかった。
セイボウの撮影には、ターゲットを定め(その巣穴から)少し離れたところで待機している個体が適しているのかもしれない。












ムツバセイボウがチラッとのぞいただけで托卵せずにヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)の巣穴(カミキリの脱出孔を利用)を離れたのは、まだ卵を産みつけるタイミングではないことを確認したためだろう。フタスジスズバチが我が子のためにたくわえるエサ(蛾の幼虫/これがムツバセイボウ幼虫の餌となる)の貯蔵量がまだ充分でなかったからかもしれないし、あるいは巣穴を塞ぐ前段階の《葉片を詰め込む作業》が始まるのを見きわめて卵を産みに入るのかもしれない(そのときに葉片を引っぱりだす?)。
ムツバセイボウはフタスジスズバチの巣穴から少し離れたところで待機しながらグルーミングを始めた。


寄生蜂にも寄生虫!?

宿主のヤマトフタスジスズバチ(フタスジスズバチ)が狩りや巣作りで忙しく働いている間に、のんびりと身繕い……と思いきや、撮影しているときは気づかなかったが、ムツバセイボウの体には小さなダニらしきものがいくつもついていた。これをおとすべく、脚を使って体をなでまわしたり翅をしごいていたのだろう。










このダニ(?)がムツバセイボウ(成虫)の外部寄生虫なのか、あるいは成虫にとりついて、巣穴へ入り込んで卵や幼虫に寄生するものなのか……そのあたりのことは判らないが、寄生蜂であるムツバセイボウも寄生虫には悩まされることがあるのか──と妙なところに感心した。
このあと、ムツバセイボウがどのタイミングで産卵しに入るのか~ヤマトフタスジスズバチの巣穴が塞がれるまで見届けたかったのだが……諸事情により現場を離れた。
今回撮影した画像の中で、不鮮明ながら「ムツバ(6個の刺状突起=六歯)」の写っていたものを↓。


セイボウ族は腹部第3節背板の後端に3~6個の刺状の突起をもつものが多く、ムツバセイボウはその名のとおり6歯を備えている。

翌日現場をのぞいてみると、ヤマトフタスジスズバチが作業中だった。


ムツバセイボウの姿はない。おそらくヤマトフタスジスズバチのスキをねらって産卵をすませて立ち去ったあとなのだろう。
フタスジスズバチの仕事っぷりを記録しようとカメラを向けたのだが……不用意に近づいてしまったため、母蜂に飛び去られてしまった。巣穴はすでに塞がれており、最後の仕上げをしていたところだったようだ。
普通ドロバチの仲間は、その名のとおり巣材に泥を使うが、ヤマトフタスジスズバチ(ドロバチ科)は葉片を使う。育室の間には葉片が詰め込まれ、仕切りは葉片を噛み砕いたものが使われるとか。最後の仕上げ──出入り口をふさぐさいにも噛み砕いた葉片が使われる。
塞がれた巣の中にヤマトフタスジスズバチが運んだ保存食(蛾の幼虫)とヤマトフタスジスズバチの卵、そしておそらくムツバセイボウが産みつけた卵が入っているのだろう。





※夏期のセイボウの発育は早くて、通常の全発育期間は15~20日ほどだそうだ。



インナーが美しいムツボシタマムシ

ムツボシタマムシの隠された美しさ

ムツボシタマムシ(かその仲間?)が欄干に止まっていたので撮ってみた。このときは数枚撮影できたが、タマムシの仲間はカメラを向けると(人の気配を)敏感に察知してすぐに飛び去ってしまいがち──撮れないことも多い。


ヤマトタマムシに比べると地味だが、くぼんだ六星(ムツボシ)紋には光沢があって、角度によって見え方が変わる──いわゆるタマムシ色をしている。↑画像も手前の紋は金色に見えるが奥の紋は緑色に見えている。


ひときわ大きな眼が印象的。それだけ視力も発達しているのだろう。人影を察知しすぐに飛び去るのも納得できる。


和名の「六星」にもしぶい輝きがある……が、ムツボシタマムシには、もっと鮮やかな部位がある。


腹端がホタルのように?輝いて見えるが、これは上翅に隠された腹の背面の色。後胸~腹節背面はとても美しい輝きを放つ。今回もテイクオフ・シーンでそれをおさえたかったのだが、素早く飛び去ったため撮れなかった。
ということで去年撮った、(片翅故障のため?)うまく飛び立てないムツボシタマムシ画像を↓。


上翅の下にこんな鮮やかな輝きが隠されていたとは──最初に見たときは、「こんなに美しい部位を持ちながら、地味な上翅でおおい隠しているなんて、なんと、もったいないことか!」──などと思ってしまった。
そして改めてフシギに感じた。本来「目立つ」部分は見やすいところにあってこそ意味があるはず。わざわざ目立たぬ場所に最も目立つ部位があるというのは、いったいどういうことなのだろう?

ムツボシタマムシは、なぜインナーが美しいのか?

タマムシの仲間はとても眼が大きい(ものが多い?)──視力が発達しているということなのだろう。これが例えばトンボのように動き回る獲物を狩る昆虫であったなら眼が発達しているのも理解できる。しかし動かない餌を食う植物食のタマムシの眼がこれだけ大きいというのはなんだか意外だ。にもかかわらず眼がこれだけ発達したということには何か理由があるはずだ。
また、タマムシの特徴としては、美しい金属光沢(を持つものが多い)が思い浮かぶが、《眼が大きい(視力が発達している)》ことと《金属光沢(構造色)をもつ》という2つの特徴──これには何か関連があるのではないだろうか?

例によって「頭の体操」をしてみる。
タマムシ類は優れた視覚を頼りに仲間(繁殖相手)を見つけていたのだとする。輝く構造色は目印として有効なはずだ──輝く姿は遠くからでも見つけやすい。そして、その輝きをより遠くからでも見つけられるように視力がさらに発達し眼が大きくなった……そんな風に考えることはできないだろうか。

ヤマトタマムシではその輝きが鳥(昆虫の天敵)から身を守る効果をもたらしているという説もあるそうだが……目立つことで天敵から狙われやすくなるということも起こりうるだろう。

実は一見地味に見える種類も多いタマムシ類だが……かつては多くが金属光沢を持っていたとする。特に小さく個体数が多いタマムシ類は昆虫食の鳥とでくわす機会も多かったろうから、鳥たちに《輝きによるハッタリ》を見破られるリスクも多かったに違いない。鳥の多くが《輝きによるハッタリ》で敬遠しがちだったとしても、その一部がひとたび口にし「食べても問題ない」と学習すれば目立つ構造色はかえって標的となってしまうはずた。

そこでタマムシ類の多くが、鳥たちに目立たぬようにアウターを《地味化》させていった……というシナリオはどうだろう?
発達した眼を持つタマムシ同士には仲間が見えるが、鳥には見えにくい程度に《輝き度》を下げる──こうした方向で進化があったのではないか?
タマムシ類は一見地味なものも多いが、よく見ると鈍い光沢を放っているものも少なからずいる。人間や天敵の鳥には「地味」に映りながら、タマムシの大きな眼にはその光沢がしっかり見えているのではないか?

タマムシ類は視力を向上させることによって《輝き度》を下げ《地味化》を実現してきた──これが、タマムシ類の《眼が大きく発達》した理由であり、(一部で)《アウターが地味になっていった》理由ではないか……などとイメージが展開した。

ムツボシタマムシの六星紋もよく見ると光沢があって、角度によって色合いを変える。この紋は凹んでいるところも面白いが、この凹みだって輝いて見える反射角度を増やすための構造だろう。
体全体が光ると天敵に捕捉されやすいので一見地味なアウターを装い、(ボディラインが判らない)紋のにぶい輝きによって仲間には存在をアピールしている……ということではないかと考えてみたのだが……。

もちろんこれはド素人の想像。ムツボシタマムシのを見て「なんでアウター(外装)よりインナー(後胸~腹節背面)の方が美しい(目立つ)んだろう?」という疑問から脳内展開した思考シミュレーション──「頭の体操」に過ぎない。

昆虫の光沢はミステリアス

「タマムシ」というと鮮やかな光沢を放つ【ヤマトタマムシ】が思い浮かぶが、しぶい味わいの種類や中間的なものもいる。


ヤマトタマムシとウバタマムシの特徴をあわせたような【アオマダラタマムシ】↓。


光沢のある昆虫を見ると、「その美しさは何のため?」と思わずにいられないが、よくわからないものも多い。ムツボシタマムシの隠されたメタリックな青緑色で思い起こされるのが先日も紹介したセイボウだ。セイボウがなぜあれほどキレイなのかもよくわからないでいる。


※↑托卵の機会をうかがうムツバセイボウより