FC2ブログ

ユーザータグ : ギミックの記事 (1/3)

眼を隠すシロコブゾウムシ

つぶらな眼を隠すシロコブゾウムシの防衛術!?



シロコブゾウムシは体長13~17mmほどの大型のゾウムシ。上翅(翅鞘)の後方に1対のコブ状突起があるのが特徴。ホストはマメ科植物だそうで、クズやニセアカシアでよくみかける。この個体もニセアカシア近くの欄干上にとまっていた。
目をひくのがつぶらな黒い眼──チャームポイントともいえるこのクリッとした眼のため(?)昆虫なのに、動物(ほ乳類)っぽい印象をうける。ゾウムシと名がついているが口吻が短いので「ゾウ」よりも「アグーチ」に似ている──と見るたびに思ってしまう(個人的愛称は「象虫」ならぬ「アグーチ虫」)。


シロコブゾウムシには以前とても驚かされたことがある。葉からポロッと落下して死んだふり(擬死)をしたシロコブゾウムシを拾い上げてみたら──なんと《目をつぶっていた!?》のだ(*)。まぶたなどないシロコブゾウムシがどうして目を閉じることができるのかと仰天したが……よく見ると、たたんだ触角が眼にかかって「眼を隠す」形になっていた。
シロコブゾウムシの触角の根元には溝があって、この溝にそわせるように触角を倒すとちょうど眼が隠れる仕組みになっている。


今回みつけたシロコブゾウムシにも、眼を隠すようすを披露してもらった。


警戒すると触角をたたんで眼を隠し、警戒が緩んでくると触角を起こして眼をのぞかせる。


収納溝(?)にそって触角をたたむと、ちょうど眼が隠れる──これは「たまたま偶然」ではないだろう。本来なら警戒モードに入ったとき、周囲の状況(脅威が続いているのか去ったのかなど)を把握するため視界は確保しておいた方が良いはずだ。理由もなく触角が視界を妨げる形に進化するとは考えにくい。ということは、眼を隠すことに《視界を捨てるデメリットを上回るメリット》があったからに違いない。
シロコブゾウムシは《目立つ眼》を隠すことで天敵に見つかりにくくして生存率を高めてきたのではなかろうか……。

眼を隠すのはシロコブゾウムシの防衛術(防衛行動)ではないかと僕は考えてきたわけだが、先日、擬木の上で目を隠して固まっている(擬死状態?)シロコブゾウムシを見つけた。


じつは近くにはミズキがあって、大発生中のキアシドクガ幼虫が、シロコブゾウムシのいる擬木上にも這っていた。ひっきりなしに行き交うキアシドクガ幼虫に踏みつけられ続けて、シロコブゾウムシは警戒モードを解くことができずに固まってしまったように思われた。








警戒モードで眼を隠し続けているということは、やはりこの行動には防衛的な意味があるのではないかと、あらためて感じた(※キアシドクガ幼虫に対しての防衛効果があるというのではなく、警戒行動の一環として意味──気配を消す警戒体勢の意味合いがあるのではないかと感じたしだい)。


眼があらわなときのシロコブゾウムシと眼を隠したシロコブゾウムシ……ヒトが見ても眼を隠した姿の方が見逃しがちな気がする。天敵から見ても、眼が露出していた方が見つけやすいのではなかろうか?




スポンサーサイト



可変式の翅!?オカモトトゲエダシャク

可変式の翅!?メカニカルなギミックは何のため?



摩訶不思議なフンイキをかもしだしている蛾──オカモトトゲエダシャク。
狭山丘陵では春一番が吹く頃──2~3月頃に現れる。


オカモトトゲエダシャクのユニークなところは、とまっているとき(OFF状態?)では、前後の翅をそれぞれ扇子かアコーディオンドアのように折りたたむことだ。図鑑や標本で展翅した(ON状態の?)姿しか見たことがない人には、OFF状態のオカモトトゲエダシャクが同じ蛾とはわからないだろう。このメカニカルなギミックには興味を覚えずにはいられない。


特殊な翅のたたみ方をするため、オカモトトゲエダシャクは他の蛾とはかなり違った雰囲気のフォルムとなる。この虫のことを知らずに初めて見たときは、翅が縮れた羽化不全もしくは異常個体かと思った。
このユニークな容姿について、《擬態》という見方をする人もいるようだ。たたまれた翅は縮れた落ち葉のように見えなくもないし、色合いは枯れた植物片のようでもある。またパッと見も蛾っぽくないので、天敵の目をごまかす擬態効果も、ないとはいえないかもしれないが……他の蛾の隠蔽擬態にくらべれば目立つ。すぐに蛾とは気がつかないにしても……立体的なフォルムは目をひきやすい。なので僕はオカモトトゲエダシャクが翅をたたむのには隠蔽擬態とは別の意味があるのだろうと考えている。
扇子orアコーディオンちっくな可変翼ならぬ可変翅の役割り──それは《強風対策》なのではなかろうか。オカモトトゲエダシャクが出現する頃(春一番の頃)にはよく強い風が吹く。この時期出ているフユシャクのオスが強風にあおわれて翅をバタバタなびかせる姿はしばしば目にするし、(おそらく)強風で翅を痛めたり失ったりしたと思われる個体を見ることもある。蛾の「薄くて表面積の広い翅」は春の強風にはダメージを受けやすいのだろう。しかし、オカモトトゲエダシャクは「嵐の中で帆を畳んでやりすごす帆船」のように、翅を折りたたむことで風を受ける面積を減らし、強風によるダメージを回避しているのではないか。翅を丸めて束ねることによって強度を高めているという側面もあるのかもしれない。他の蛾が強風に翅を激しくあおられているのにオカモトトゲエダシャクは平然と風に耐えていたのを見たことがあって、僕は可変翅の役割りは《強風対策》なのだろうと考えるようになった。

ドリーミーなルックスも魅力



とまっている時は翅を折りたたむというメカニカルなギミックも面白いが、全体の見た目も魅力的だ。オカモトトゲエダシャクを見るたびに、ファンタジックな飛行船を想像する。こんなデザインの空飛ぶ乗り物がSFファンタジー作品に登場しても違和感はないだろう。腹の側面には丸い模様が並んでいるが、これが飛行船の丸窓っぽく見えなくもない。


腹の丸窓模様がわかるように指にとまらせて撮影すると、モコモコのファーに隠していた触角をあらわにした。耳を倒したウサギっぽく見えなくもないが……クシ状の触角なので、これはオス。メスの触角はヒモ状になる↓(【可変翼機なオカモトトゲエダシャク】より)。


植込みの枝先にとまらせて撮った背面ショット↓。


前翅も後翅も折りたたまれて収納されている──このメカニカルな感じが何とも言えない。双尾翼の可変翼機のようでカッコ良い。

ついでに──といっては失礼だが、欄干や擬木で見かけたきれいな虫↓。


ムラサキナガカメムシ↑とモンキツノカメムシ↓。



ウラギンシジミ幼虫など

クズの花穂にウラギンシジミ幼虫~アオダイショウほか



クズの花穂にウラギンシジミ(チョウ)の幼虫がいた。2本(一対)の筒状のツノは、ちょっとカタツムリの触角を思わせる。キレイなので《陸のウミウシ》といった感じもしないではない。別の花穂には、ひとまわり小さい紫色の固体が↓。


実はこのユニークなツノがある方が尻。刺激を与えるとこの筒状角からブラシのようなものを出してパッと広げたかと思うとサッと収納する──ほんの一瞬広がるブラシがまるで線香花火のようで、知らずに初めて見た時は大いに驚いた。


この画像↑は【紫のピカチュウ!?ウラギンシジミ幼虫の線香花火】より再掲載したものだが、いったい、どんな器官がどういう経緯をたどって発達し、こんな奇抜なギミックを完成させたのか……フシギでならない。ちなみに、成虫はこんな蝶↓。


成虫はどこといって変わったところのない普通のチョウなのに……幼虫がユニークすぎる。他にもいないかと探してみると……ウラギンシジミ幼虫がいたクズがからむクサギの木に、こんなのがいた↓。


アオダイショウの生体。このアングル↑からでは顔が見えなかったので……顔がみえるアオダイショウ幼蛇の画像も↓。


アオダイショウは幼蛇と成体で模様や体色が違う──まるで別種のようだ。いったいデザインが変化することにどんな意味があるのだろう?──そう考えて推察してみたことがあった→【幼蛇と成体・模様が異なる理由:アオダイショウ】。
僕が虫見で歩くエリアはだいたい決まっているので、であう生き物の種類も重複することが多い。ということで、やはりこれまで何度もネタにしているヤマトタマムシ↓。


ヤマトタマムシは何といっても美しいので目をひく。いれば撮ってしまう。構造色と呼ばれるメタリックな輝きを放つ翅鞘が「玉虫厨子(たまむしのずし)」の装飾に使われたのは有名な話だ。「コガネムシは金持ちだ 金蔵建てた 家建てた」の歌詞で知られる野口雨情・作詞の童謡『黄金虫(こがねむし)』で歌われている「コガネムシ」はヤマトタマムシだという説がある。僕は「ヤマトマムシの翅鞘で装飾された《玉虫厨子》」を「コガネムシ(ヤマトタマムシ)の《金蔵》」に見立てるという着想を得て雨情はこの歌詞を書いたのではないかと想像している(*)。
やはり擬木にとまっていたニホントビナナフシ成虫♀↓。


ニホントビナナフシも狭山丘陵では常連の昆虫。そのほとんどがメス。九州以北では単為生殖といわれ、僕もこの周辺でオスはいないものだと思っていたので、4年前に初めてオスを見た時は驚いた。そして2013年12月には両性生殖を確認(*)。屋久島以南では両性生殖をする本来は南方系の昆虫のようだが、東京で12月にニホントビナナフシのペアをみつけたときは何ともフシギな気がした。
ニホントビナナフシについては、雌雄モザイク(1つの個体の中にオスとメスの特徴が混在する)を見つけたことも2度ある(*)。
当初はニホントビナナフシの成虫♀は緑色──と思っていたが黄色い個体を見つけて「こんな体色になることもあるのか……」と驚いたことも(*)。
これもなかなかフシギな昆虫だ。


シロコブゾウムシの《いないいないバア》

《いないいないばあ》シロコブゾウムシは眼を隠す



クズの葉の上にシロコブゾウムシがでていた。13~15mmほどの大きめのゾウムシ。クズやハギ、フジ、ニセアカシア(ハリエンジュ)などマメ科植物の葉を食べる。


黒いつぶらな眼が目を引く。このクリッとした眼を見ると昆虫なのに動物(ほ乳類)っぽい感じがする(──のは僕だけ?)。僕はシロコブゾウムシを見たびにアグーチという綱齧歯目パカ科の動物を連想してしまう。


「ゾウムシ」の名がついているが口吻は短く、ちっともゾウっぽくない。それよりやっぱり「アグーチ虫」だ──と僕は密かに思っている。動物っぽい眼は今にもパチクリとまばたきしそうに見えるが、もちろん瞼(まぶた)のない昆虫がまばたきなどするはずがない──ところがある日、葉から落ちて死んだフリ(擬死)をしたシロコブゾウムシを見て仰天した。
「眼を閉じている!?!」──そう見えたのだ(*)。眼をつむる昆虫などあり得ない。
じつは触角で眼を隠していたのだが、このギミックには感心した。説明するより見た方が早い。久しぶりに披露していただくことにした。




よくみるとシロコブゾウムシの顔には触角を収納する溝がついていて、これにそって触角をたたむと、ちょうど複眼がかくれるようになっている。危険を感じて擬死状態になったときなど触角をたたんで眼を隠す仕様だ。本来なら、そんな非常時には外敵の動きが見えるように視界は確保しておいた方が良さそうな気もするが……あえて眼をかくすのには「外敵の確認」よりも大きなメリットがあるからに違いない。《目立つ眼を隠す》ことで「外敵に見つかりにくくなる」のではないか──僕はそう考えた。
昆虫の捕食者である鳥などは《眼》には敏感に反応する。昆虫には眼状紋とよばれる目玉模様を持つものが多いが、これも捕食者の鳥の反応が反映してのことらしい(鳥で行った実験では大きな目玉模様には威嚇効果があり、小さな目玉模様には攻撃を誘導させる効果があったそうな)。
昆虫の目玉模様に反応してしまうくらい鳥は《眼》には過敏に(?)反応する。そうした鳥達の強力な《眼サーチ》をのがれるために、シロコブゾウムシは眼を隠すのではないか?
危険を感じて落下したとき、擬死状態でじっと動かず、さらに《目立つ眼を隠す》ことで、より見つかりにくくし生存率を高めている──そんな解釈も成立しそうな気がする。



こちらは、欄干(らんかん)のフチを歩いていたシロコブゾウムシ。そばに生えた食樹ニセアカシア(ハリエンジュ)から落下し、木に戻ろうとして欄干を登ってきてしまったのだろう。枝のある、より高いところを目指して欄干最上部まできたものの、シロコブゾウムには飛翔能力がないので(※後述)これより先へは進めない。
さまよえるシロコブゾウムを正面から撮ってみた。


複眼はつぶらで可愛らしいのだが、縦に割れた口は怪しく恐ろしげ!?
ついでに、例のスペシャル芸《いないいないばあ》を披露したらニセアカシアにもどしてやることにした。


──ということで、


これだけパッチリした眼だと、天敵とも「目が合ってしまう」危険は高いのではあるまいか。やはり眼を隠した姿でいる方が敵には見つかりにくそうだ。
希望通りのショットを撮らせてもらったので、シロコブゾウムシをニセアカシアに戻す。すると飢餓状態だったのか、すぐに葉を食べ始めた。


葉の縁から弧を描いてしゃくるように頭が動くと、口が通過したあとの部分が消えていく。縦に割れた口は、こんな食べ方をするのに適している。




頭の描く弧が大きくなり、通過スペースの空間がどんどん広がっていくのがおもしろい。
ニセアカシアに戻す前に撮った大きさ比較ショット↓。


シロコブゾウムシの退化した後翅

僕はシロコブゾウムシが飛ぶところも飛ぼうとしているところも見たことがない。だから、危険が迫ると落下専門で、眼を隠して死んだフリ……飛べないものだと思っていた。しかし、ネット上では、(苦手ながら?)飛ぶこともできると明記しているサイトもある。飛ぶことができないと記されたサイトが多いものの、まれには飛ぶことがあって、それを見た人がいるのだろうか?
飛んでいるシーンの画像でもあれば、飛翔能力があることが確かめられるが、該当画像は見つけられなかった。飛べないことを示す画像でもあれば……と検索してみたが、これも見当たらず、しばらく疑問に思っていた。
しかし3年前に、偶然、翅鞘(前翅)の片方が脱落したソロコブゾウムシを見つけ、退化した後翅と思われる部分を見ることができた。


どうしてこのような姿になったのかは不明だが、この姿勢で擬木のふちにとまっていた。後翅があるはずの位置には細い膜状の器官が……。


矢印の部分が後翅だろう──退化して小さくなっている。これでは飛ぶことはできまい。
センチコガネのように飛べるものと飛べないものが混在している種類もあるのだから、飛べない(だろう)シロコブゾウムシがいたからといって全てのシロコブゾウムシが飛べないとは言えないのかもしれないが……たぶんシロコブゾウムシは「飛べない」のだろうと思っている。


スコーピオンフライのギミック

スコーピオンフライ/ハサミ(把握器)のギミック

サソリ(Scorpion)のように尾(?)を巻き上げた姿からScorpionfly(英名)と呼ばれるシリアゲムシ。腹端にハサミムシのようなハサミ(把握器)を持つのはオスの特徴で、このハサミはオス同士の喧嘩やメスとの交尾の際に使われる。
ヤマトシリアゲは、よく目にするシリアゲムシだ。5月~6月に出現する成虫は黒っぽいが、7月~9月に出現する成虫は黄褐色になる。


ということで、ヤマトシリアゲの春型♂。この昆虫を初めて見たときは、《サソリとハサミムシのギミックをあわせもったフシギな虫》という印象を受けた。生き物の多様性を感じさせる独自の生態ギミックは好奇心を刺激する。
《毒針をかざしてかまえるサソリの尾》はカッコイイ。《クワガタの大顎を思わせるハサミムシのハサミ》もユニークで魅力的だ。その2つが合体したかのようなギミックを装備した昆虫がいるとは……ちょっとした驚きがあった。
シリアゲムシの英名が「Scorpionfly」というのも合点がいく。ちなみに、本家サソリ(Scorpion)はこんな感じ↓(以前飼育していたダイオウサソリ)。


本家サソリの場合は巻き上げた尾の先についているのは毒針だが……シリアゲムシ♂が装備しているのは可動式のハサミ。よりメカニカルな感じがしてカッコ良いではないか。
実はシリアゲムシの存在を知る以前、こんな宇宙生物を想像して描いていたことがあった↓。


カッコ良いデザインをと考えて《サソリの尾》の先端に《ハサミムシのハサミ》をもたせることを思いついたわけだが……まさかこんなギミックを持つ昆虫が実際に存在していようとは……。
この想像上の宇宙昆虫にも本家サソリにも翅は無い──これに対して、ヤマトシリアゲは翅を標準装備しており飛翔能力まで備えているという「てんこ盛り」の設定なのだからスゴイ! あっぱれ、スコーピオンフライ(Scorpionfly)!
いかつさではダイオウサソリの迫力におよばないが、生態ギミックの凝りようではヤマトシリアゲ♂の方が勝っている。次の2枚の画像──違いに気づかれるだろうか?




違いは腹端のハサミ(把握器)の部分。シリアゲムシ♂最大の魅力(?)であるところのハサミからアンテナのようなもの見え隠れしている。まるで腹端に大顎をもつもう1つの頭があって、その触角が動いているかのようだ。




いったいこれは何をしているところなのだろうか? オスの交尾器はフェロモン放出にも関係しているらしいが……このY時型カバー(?)の開閉運動はフェロモン放出と関係あるのだろうか?


ハサミから立ち上がる「Y字器官」が何なのか知りたくて検索してみると「下付器」と記されているサイトがあった。この姿勢ではハサミ(把握器)の「上」側になるが、腹端を巻き上げているので、「上」が腹面にあたり「下付器」なのだろう。反対側(画面「下」側)にも可動式のフタのような(?)パーツがあるのだが、これは逆に背面にあたるので(だろう)「上付器」と記されていた。
ただ、この器官がどういう役割りを果たしているのかはわからなかった。
何だかよくわからないけれど……とりあえずメカニカルなところはカッコ良い!
このようすを見ていると、巻き上げていた腹が伸びて……




排泄行動もメカニカルでカッコ良い!
ちなみにメス↓──腹端にハサミはない。




画像ではわかりにくいが、メスの腹端には小さな「Y」字型の器官がある。

ヤマトシリアゲの《婚姻贈呈》

見た目もフシギなシリアゲムシだが、《婚姻贈呈》という生態的にもユニークな特徴を持っている。オスがメスにエサをプレゼントをし、メスがそれを食べている間に交尾をするというもの。交尾の際にかならず《婚姻贈呈》が行なわれるというわけではないというが……この習性もおもしろい。
オスが狩った獲物をメスにプレゼントして交尾をするという習性はオドリバエなどにもあるというが、シリアゲムシは積極的にハンティングする昆虫ではなく、死骸や糞などをエサとしているようだ。
擬木の上には鳥のフンや蛾の幼虫などの死骸がある(サシガメやオサムシなどが擬木遭難して登ってくる昆虫を捕食するので、その残骸も多い)。こうした鳥糞や虫の死骸のそばにヤマトシリアゲ♂が陣取っているのをよく見かける。ヤマトシリアゲの《婚姻贈呈》は、オスがみつけたエサのそばに縄張りをはってメスが来るのを待ち、メスが食餌している間に交尾を行なう──というスタイルのようだ。

蛾の幼虫の死骸の周りにたむろするオスたち。一番手前のオスが獲物に近づく他のオスたちを追い払う行動が見られた。





食餌中の♀と交尾する♂(右)。♀が食べているのは鳥の糞のようだ。




別のペア↓。




今回撮った画像ではちょっとわかりづらいので、以前紹介した夏型(秋型)のヤマトシリアゲ(*)の画像を再掲載↓。




7月~9月に出現する成虫は体色からベッコウシリアゲと呼ばれたりもするらしい(以前は別種と考えられていたとか)。

クモの巣にとらわれたヤマトシリアゲがいる……と思ってよく見たら、




毛虫の死骸で食餌をしているところだった。カメラを近づけると口吻を獲物から離してしまったが、このシルエットは何やらカッコイイ──小さなドラゴンに見えなくもない。こんな姿を見ると「Dragonfly」でも良かったような気がするが……それは既に「トンボ」で使われているか……それで「Scorpionfly」になったのだろうか?

ヤマトシリアゲは珍しい昆虫ではないし、世間一般的には(?)どちらかといえば影が薄い虫──という感じがしなくもない。
しかし、よく見るとなかなかどうしてカッコイイ! もっと人気があっても良いのではあるまいか?──そう思うのは僕だけであろうか?
頑張れ、ヤマトシリアゲ! 負けるな、シリアゲムシ!!

おまけ:今年もラミーカミキリが出現



2012年に初めて発生を確認した近所のポイントで、きょう今シーズン初のラミーカミキリが発生しているのを確認。画像は♀だが、♂♀ともに複数みられた。お気に入りの昆虫の1つなので、記録を兼ねて記しておくしだい。