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ホルスタインちっくなチャバネフユエダシャク♀



チャバネフユエダシャクも出てきた。白黒のまだら模様がユニークな♀↑。冬限定のフユシャク(冬尺蛾)の1つで、擬木にいると見つけやすい。近くにいた別個体↓。


擬木では、このように支柱上部に頭を上にしてとまっていることが多い。
これでも立派な蛾の成虫なのだが、翅が消失しているので、なんとも異様な雰囲気をかもしている。


ぷちホルスタインなチャバネフユエダシャク♀





《ぷちホルスタイン》と密かに呼んでいるチャバネフユエダシャク♀。本来なら昆虫の活動が鈍る冬に(成虫が)現われ繁殖活動するという変わり種だが、翅をすっかり退化させたメスの姿がふるっている。年1回冬に(成虫が)発生し、メスは翅が退化して飛べないという特徴を持つシャクガの仲間をフユシャクと呼ぶが(日本には35種類ほどいるらしい)、その中でもふくよかな体型とホルスタインを思わせる白黒模様のチャバネフユエダシャク♀は異彩を放っている。
今でこそ《冬の風物詩》となっている(?)おなじみの昆虫だが、チャバネフユエダシャク♀を初めて見た時は、これが何の仲間かわからず《謎の生命体》だった。
このユニークな姿──翅が無いのも、ホルスタインちっくな模様もメス限定。オスは何の変哲もない普通の蛾。




なぜメスだけホルスタインなのか?

フユシャク(冬尺蛾)のユニークなところは──昆虫の活動には不向きと思われる冬にわざわざ現れる蛾であり、何らかの理由でメスは翅が退化して飛ぶことができない──という点。知った当初は驚いたが、考えてみると何となく想像ができないでもない。
トカゲ類や捕食性の昆虫やクモなどの天敵が少ない冬に繁殖活動をするという生存戦略を選んだのだろう。他の外温度性(変温)動物にくらべ、寒さにいくぶん強いということなのだろうが、フユシャクにしたって外温度性(変温)動物──低温下では活動が鈍りがちだろう。卵を抱えた身重のメスのが飛び回るのは大変なので、配偶相手をみつけるための飛翔は身軽なオスに任せてメスは産卵に専念することになったのではないか……天敵が少ない冬だからこそ、飛んで逃げることができなくても、必要な生存率は保てたのだろう……当初はそんなふうに解釈していた。

しかし、チャバネフユエダシャク♀のユニークなところは、それだけにとどまらない。翅が退化したフユシャク♀の中にあって、特別異彩を放っているのが、ホルスタインちっくなルックスだ。
チャバネフユエダシャクにとって「メスの翅の退化(逆行進化)」が進化の過程での必然であったとして……それなら、メスの姿はオスから翅を取り去った姿であってよさそうなものだ。
しかし、オスの体幹にはホルスタイン模様(白地に黒い斑)がない。つまり、「翅がいらなくなった」だけなら、メスの体幹もオスと同じデザインでよかったはず……メスにだけどうして、ユニークなホルスタイン模様があるのか──という点に疑問を感じた。
そして次のように考えてみた。

オスが持つ翅の色合は枯葉などに紛れる隠蔽カラー。オスの翅に隠蔽効果があるなら、その翅を持たないメスは、別の方法で隠蔽効果のあるデザインを獲得する必要があったのではないか?
白と黒の模様で思い浮かぶのは《鳥の糞への擬態》──鳥糞に擬態していると思わせる白黒模様の幼虫はよく見かける。擬木にとまったチャバネフユエダシャク♀と擬木上の鳥糞は、遠目には感じが似ていなくもない。


また明暗のハッキリした模様には、ボディーラインをかく乱する効果もありそうだ。
体型の違うオスとメスで、それぞれに合った隠蔽デザインが分化したのだと考えれば……納得できないでもない。しかし、それは隠蔽擬態を進化(選択)させた天敵が存在することを意味している。
当初は《冬には天敵が少ないことがフユシャクが冬に活動することを選んだ理由》だと考えていたが、冬にも天敵──おそらく鳥などがいて、それなりの捕食圧はかかっているのだろうとイメージを修正した。

考えてみれば……冬に活動する天敵が全くいなければ、フユシャクの中で昼行性の種がもっといていいような気がする。にもかかわらず夜行性の種類が多いことは、やはり日中活動する天敵──鳥の脅威があるためではないか。
昼行性フユシャク・クロスジフユエダシャクの観察で、メスが落ち葉の下などに隠れて交尾をする(*)ことを知ったときには、「オスとの出会いのハードルを高めるだろうに、どうして隠れて交尾するのだろう?」と不思議に感じたが、これも天敵である鳥に対する対策として獲得した習性なのではないか……と今は考えれば、つじつまは合う。
冬には捕食性の昆虫や爬虫類の活動は少なくなるが、活動している虫が少なくなる分、昆虫食の鳥の捕食圧は集中して高まるという側面もあるのかもしれない?

もし冬に天敵がいなかったなら、チャバネフユエダシャク♀はホルスタインになる必要は無かったのかもしれない?
メスのユニークなホルスタイン模様をながめながらそんな想像をし、妙な感慨に浸るのであった。



擬木にとまっていたクロスジフユエダシャク♀↑。これもフユシャクだが、小さいながらも翅があるので、(チャバネフユエダシャク♀に比べれば)昆虫っぽく見えなくもない。



日光浴中(?)のハラビロカマキリ(褐色型)。生きていたが動きは緩慢。
昆虫ハンターのカマキリは12月に入ってからもちょくちょく目にしているが、あまり活動しているようには見えない。


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フユシャク3種~12月中旬の昆虫

翅が消失したチャバネフユエダシャク♀

まずはこのユニークな(異様な?)姿をご覧あれ。多くの昆虫が姿を消す冬になると出現する。初めてこの虫を目にした時は何の仲間なのかも想像ができず《謎の生命体》だった。




初めて見た時は翅がないから何かの幼虫なのだろうかと疑った。節のある体はイモムシっぽく見えなくもないが……イモムシにしてはずいぶん立派な脚がはえている。その脚は6本あるから、きっと昆虫なのだろう……そう考えて翅がない昆虫を思い浮かべたりもしたが、例えばカマドウマなどともずいぶん違う……。
この正体不明のホルスタインちっくな虫の画像を、今はなきニフティの昆虫フォーラムに投稿し、【フユシャク】の仲間だと教えていただいたのは10年余り前になるだろうか。これが蛾の成虫♀だと知って大いに驚いた。
ちなみに、幼虫時代のチャバネフユエダシャクや成虫♂の姿は、ごく普通の蛾↓。


【フユシャク(冬尺蛾)】は年1回、冬に(成虫が)発生するシャクガ科の蛾で、メスは翅が退化して飛べないという性的二型(オスとメスの特徴が異なる)が顕著なグループの総称(冬に見られる蛾の全てがフユシャクというわけではない)。エダシャク亜科・ナミシャク亜科・フユシャク亜科の3つの亜科にまたがって、国内に30種類以上いるらしい。メスの翅の退化の度合いは種類によってかなり違いがあって、チャバネフユエダシャクではきれいに消失している。
こんなチャバネフユエダシャク♀を初めて見た時はその容姿にも驚いたが、昆虫なのに冬に活動すること・蛾なのに♀は翅を退化させ飛べないということを知って、さらに意外に感じ興味を覚えた。
【フユシャク】の存在を知ってからは、冬になるとこのユニークな昆虫に注目してしまう……。

小さな翅をもつクロスジフユエダシャク♀





このクロスジフユエダシャクもフユシャクのひとつ。チャバネフユエダシャクと同じエダシャク亜科だが、クロスジフユエダシャクの♀には小さいながら翅が残っている。この翅ではとても飛ぶことができないだろうことは一見して想像がつく──フユシャク♀の特徴である「退化した翅」を実感できる小さな翅は《フユシャクらしさ》の象徴のようにも感じる。
ガードパイプの支柱にとまっていた別個体♀↓。


クロスジフユエダシャク♀の大きさは、こんな感じ↓。


夜行性が多いフユシャクの中にあって、クロスジフユエダシャクは昼夜性。昼間に繁殖活動を行なうので観察するのによい素材だと個人的には思っている。♂が婚礼ダンス(羽ばたき歩行)によって、隠れた♀の居場所をつきとめるようすは興味深い(*)。
今シーズンは、クロスジフユエダシャクの発生が遅かった印象があるが……これまでの感じでは、発生数自体が少なめだったのではないかという気もしてきている。

冬尺蛾としては大きめの翅をもつクロオビフユナミシャク♀



擬木の上にいたクロオビフユナミシャクのメス↑。支柱上部の縁にとまっていることが多い。同個体を別角度から撮ったもの↓。


フユシャク♀の中では大きめの翅をもつ種類。


フユシャク♀としては大きめの翅に陽があたると鱗粉がキラキラと輝いて見える。


翅がテカッていると印象が変わるので、陽をさえぎって撮影↓。


クロオビフユナミシャク♀の大きさを1円玉と比較↓。


ちなみに飛翔能力のあるクロオビフユナミシャク♂の姿は、ふつうの蛾↓。



■今シーズンの初フユシャク
プレフユシャク~初フユシャク ※チャバネフユエダシャク
意外な翅の役割り!?クロスジフユエダシャク ※クロスジフユエダシャク
冬尺蛾と極小カミキリ他 ※クロオビフユナミシャク

12月中旬の擬木でみられた昆虫から



本来の活動時期には植物について汁を吸っているのだろうが……ムラサキナガカメムシは冬になると擬木上で見かけるようになる小さなカメムシ。翅の膜質部(この種類では透けている部分)にある「1対の黒い点」が特徴だが、これは左右の翅に1つずつある模様が翅を重ねた時に(一方が)透けることで2つ並んで見えるということのようだ。↑の個体では左の翅(黒点)が上に、↓の個体では右の翅(黒点)が上になっているのがわかる。


体長は4~5mmほど。


擬木のカメムシつながりで、モンキツノカメムシ↓。


紋がハート形のエサキモンキツノカメムシに似ているが、モンキツノカメムシの紋はやや小さめで丸みをおびた逆三角形(ただし個体によってはハート形に見える紋をもつものもいる)。前胸背が緑色(エサキモンキツノカメムシでは茶褐色)なので、エサキモンキツノカメムシより緑っぽく見える。
擬木上の緑色つながりで(?)、ハラビロカマキリ↓。


12月にもカマキリの生き残りを見ることがあるが、年を越した生体はまだ見たことが無い。このハラビロカマキリも新年を迎えることはできないだろう……。
そして、やはり緑色をしたニホントビナナフシ♀↓。


ナナフシの仲間は本来南方系の昆虫らしいが……ニホントビナナフシも意外なことに12月に入ってからも、ちょくちょく目にする昆虫だ。屋久島以南では普通に(?)両性生殖をしているが、九州以北ではおもに単為生殖すると考えられているらしい。だからこのあたり(狭山丘陵)で見られるニホントビナナフシは全て♀──と思っていたのだが、たまに♂が出現することもある。僕は(東京で)ペアを確認したことがあるが、これも12月だった(*)。僕はまだ年越し生体を見たことが無いが、たざびーさんのブログでは年を越したニホントビナナフシが紹介されている。
ニホントビナナフシもフユシャク同様、性的二型が顕著な昆虫で、オスとメスの違いは一見してわかる。体の半分がオスで半分がメスという雌雄モザイク個体を見つけて驚いたこともあったが……ニホントビナナフシも不思議な昆虫だ。


ツノなしツノカメムシ!?

ツノ(前胸背側角)が消失した!?エサキモンキツノカメムシ

ちょっと変わったものをみつけた。このエサキモンキツノカメムシとおぼしき昆虫をご覧あれ↓。


カメムシの中には【ツノカメムシ科】というグループがある。前胸の両サイドに突き出した突起(前胸背側角)が「ツノ」の由来だろう。エサキモンキツノカメムシもそんなツノカメムシの1つ。
もともとそれほど大きな角ではないが、よく似たモンキツノカメムシと見分けるポイントの1つとして、ツノの形の微妙な違いがあげられたりしている──そのツノがこの個体では無いように見える。
また、エサキモンキツノカメムシといえば背中のハート形の紋が有名だが、そのトレードマークの紋も、近似種のモンキツノカメムシのものに似ている。
紋の形に個体差があるのは知っていたが、ツノの形にこれほどの変異があることは知らなかったので、ちょっと驚いた。
比較用に、標準的なエサキモンキツノカメムシとモンキツノカメムシを並べた画像を【モンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシ他】から再掲載↓。


1枚目の画像と比べるとツノ(前胸背側角)の違いが明白だ。
紋の形でいうと、エサキモンキツノカメムシは、中央がくびれてハート形に見えるがモンキツノカメムシは丸みをおびた逆三角形をしている──というのが標準的。【エサキモンキツノカメムシの抜け殻落とし他】より再掲載↓。




しかし紋の形にもそれぞれ個体変異があって、両種ともに似通った模様を持つ個体が存在する。
12月に入ってから見られたモンキツノカメムシの中にも、紋の中央にくびれが入りエサキモンキツノカメムシ風の紋をもつ、まぎらわしい個体がいた。


↑この2匹は前胸背板(頭と紋の間)が緑色であり、全体の印象からもモンキツノカメムシだと判断しているが、昆虫には個体変異があって、特徴的なポイント(ツノや紋の形など)ひとつをとって判断するのは難しいケースもある……ということを改めて感じた。
《ツノが消失した!?モンキツノカメムシ》が珍しく感じたので、とりあえず「こんなのもいる」ということで投稿しておくことにした。

ちょっと変わったもの…といえば

虫見コースにあるカエデも紅葉の見頃を過ぎた感はあるが……こんな光景も、ちょっと変わっている気がする。


春には桜の花・晩秋にはもみじの紅葉が楽しめるハイブリッド・ツリー!?
桜のウロから伸びたカエデ。ウロの中に落ちたカエデの種子がそのまま発芽して育ったのだろうか?
毎年、カエデが紅葉する頃になると、ここにこんな木があったことを思い出す。

12月も半ばにさしかかろうとしている時期に、まだ頑張っていた直翅類↓。





擬木の昆虫NOV2015

擬木の昆虫・11月中旬以降2015

11月も早いもので残り少なくなってきた。昆虫は減ってはきているものの、擬木などではそれなりに見ることができる。
僕の場合、何を撮るかは気まぐれだが……撮影した中から使えそうな画像にはトリミング・リサイズ・キャプションをつけるなど加工をほどこしてブログ用候補素材としている。が……投稿するきっかけがないまま期限切れになってしまうコトも少なからず。このままでは《期限切れ》になりそうな11月中旬以降の候補素材を放出してみることにした。
といったわけで今回、テーマは特にないのだが……強いて言えば【11月中旬以降の擬木の昆虫】。

まずはこの時期の大物甲虫類ウバタマムシ。何度も紹介しているが、大きな虫が少ない時期にはとくに、見つけるとカメラを向けたくなる。






ウバタマムシ(体長24~40mm)のような大きなタマムシもいれば、小さなタマムシの仲間もいた──ということでナガタマムシの仲間↓。


甲虫類ではまだカミキリも時々みられる。擬木ではないが、欄干にとまっていたナカジロサビカミキリ↓


ナカジロサビカミキリは3月頃から比較的長い間みられるカミキリ。欄干ではゴマフカミキリの姿も↓。




甲虫類ではテントウムシの仲間もよく見かけるのだが……意外に撮りにくいという苦手意識を持っている。丸っこいフォルムがラブリーな魅力なのだが、背中が盛り上がっているのでピントがあいにくい。盛り上がった背中にピントを合わせると体の縁がボケてしまうし、体の縁に合わせると背中がピンぼけになる……撮ってもNGになりがちなので、実は敬遠することも多い虫なのだが、コレ↓はあまり見かけない気がして撮ってみた。


帰宅後しらべてみたらヒメカメノコテントウの黒化型のようだ。
小さくてよく動く虫はあきらめてスルーしがちなのだが、綺麗な模様をもつものを見つけると、つい頑張って撮ってみたくなってしまう……。


エゴシギゾウムシというもようがきれいなゾウムシがいるが、それをぐっと小さくしたような虫がジュウジチビシギゾウムシだ。よく似たのにレロフチビシギゾウムシというのがいるが、両者とも小さい上によく動く……。なんとかキレイに「撮ろう」とするのだが「徒労」に終わることが多い……。


この↑ジュウジチビシギゾウムシは右中脚が欠けていたがやはり動き回っていてなかなかうまく撮れなかった。動き回る昆虫を追っていると、別の極小昆虫がフレームインしてくることもしばしば。このときもテントウムシ型の極小甲虫が画面を横切って行った。
鉄柵のポール上に別個体のジュウジチビシギゾウムシを見つけ撮り始めると、やはり極小昆虫がフレームインしてきた↓。




小さな昆虫はただそれだけで鮮明に撮るのが難しいが、動き回っているとなおのこと……。


クサカゲロウの仲間の幼虫では、ゴミ(抜け殻や獲物の死骸など)を背中にかついだものも見かけるが、これは素のまま(?)の姿。顎の感じはアリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)に似ている。この大きなアゴで小さな虫を捉えているところもたまに見かける。


オオメカメムシは5mm前後の小さなカメムシ。植物の汁も吸うそうだが、このカメムシも小さな昆虫を捕食するらしい。そのため生物農薬としての利用も研究されているそうだ。オオメカメムシを撮っているときも、よくわからない昆虫が写り込んできた……。




というように、よく見るとこの時期にも小さな虫は色々いたりする。
※追記:ともっくさんより画面左の極小昆虫はクダアザミウマの仲間と教えていただきました。



ニホントビナナフシ──九州以北で普通みられるのは単為生殖を行う緑色の♀。♂はぐっと小ぶりで茶色っぽく、別の種類に見える。去年・一昨年は多く、ピーク時にはギボッチ(擬木ウォッチ)コースを一周する間に3桁ほどの数がみられ、珍しい♂や雌雄モザイク個体、黄色い♀なども見ることができたが(*)、今年は少なく、多いときでも1桁前半といったところ。一昨年が多すぎたのかもしれない?


以前はハラビロカマキリといえば緑色というイメージを持っていた。なので初めて茶色い個体を見たときは驚いたが、狭山丘陵では茶色型の割合はさほど少なくはないようだ。


このルリタテハは11月中旬に撮っていたもの。チョウはキレイに撮っている人が多いので下手くそな僕が見苦しい画像をあげることもあるまいとスルーすることが多い。このときはたまたま撮りやすいところにとまっていたので撮って、いちおうトリミグ・リサイズ・合成&キャプション入れをほどこした画像を作成していたのだが、なかなか投稿する機会がなかった。この機会にこそっと加えておく。


晩秋の蛾も色々見られるようになったが、その中から、ケンモンミドリキリガ↑。
そしてニトベエタダシャク↓。


そして冬に出現するフユシャクのひとつ、クロスジフユエダシャクの♂↓。擬木ぞいのフェンスにとまっていた。


今シーズンは11月16日に初個体を確認したクロスジフユエダシャクの♂だが、その後ちょくちょく見かけるようになった。ただ、飛んでいる♂はさすらうように飛び続け、止まっている♂は翅を休めている。♀が出ていれば(そのフェロモンを察知して)♂が同じエリアを舞ったり、もっと飛んでいて良い気がする。まだ♀はあまり出ていないのかもしれない。
たぶん♀より♂の発生が少し早く、♂が拡散した頃に♀が発生することで、近親婚が起こらないようなシステムがあるのではないか……などと想像しているのだが、♀が出て来るようになれば、落ち葉の積もった林床でクロスジフユエダシャク♂が乱舞する姿がみられるようになるだろう。


テングスケバ@桑

天狗の鼻の神通力!?テングスケバ



《天狗》の鼻を思わせる突起と《透けた翅》──で、【テングスケバ】。特徴を表したわかりやすい名前の昆虫。少し前に【テングスケバとデング熱】で紹介したばかりだが、お気に入りの虫なので、その後も目にとまると、つい撮ってしまう。


橙色系の地にあわい青緑色系という補色のストライプにトロピカルな(?)魅力を感じてしまう。脚や口吻は白地に黒のやはりストライプ柄でキメている。


頭の形がショウリョウバッタやオンブバッタに似ているので、透明なマントをはおったバッタっぽく見えなくもない。不用意に近づくとピン!と跳ねるところもバッタに似ている。




バッタのように後脚を深く曲げてとまっており、これを瞬間的に伸ばすことでジャンプ力を生んでいるのだろう。バッタは深く曲げた後脚の(人でいったら)膝にあたる部分が後方につき出ているが、テングスケバは前方に傾き、後脚が中脚と交差するような形になっている。


角度によっては「とんがり頭系バッタ」っぽく見えるが、テングスケバはバッタ目ではなくカメムシ目の昆虫。その証拠に口はカメムシのように針状になっている。この口吻を突き立てて植物の汁を吸っている。




「カメムシ目(半翅目)>ヨコバイ亜目(同翅亜目)>テングスケバ科」という情報もあるが、Wikipedia【ヨコバイ亜目】によると、「ヨコバイ亜目(同翅亜目)」の分類群名は古典的なもので「21世紀に入ってからは使用されなくなった」そうな。手元の図鑑では「カメムシ目・テングスケバ科」となっている。テングスケバ科はカメムシ目(半翅目)のハゴロモ上科(別称:ビワハゴロモ上科・ウンカ上科)というグループに入るらしい。


撮った画像を見ると、どれも偽瞳孔(擬瞳孔:複眼の中の黒い点)が「カメラ目線」で写っている。カマキリやバッタなどでも見られるが、偽瞳孔は瞳のような器官ではなく、複眼に集まった小さな眼(個眼)の奥まで見える角度でそのポイントが黒く見えるというもの。2つのカメラで別々の方向から同時に撮っても、それぞれ「カメラ目線」に写る。
こうしたルックスがお気に入りで、ついカメラをむけてしまうテングスケバだが、僕がこの虫を目にするのはもっぱらクワ──雑草に囲まれた若いクワの葉や茎にとまっていることが多い。


こうしてクワの茎や枝にとまって汁を吸っていると「とんがり頭(天狗の鼻)」があることによってボディラインが植物の一部に見えなくもない。《天狗の鼻》はダテではなく、植物に隠蔽擬態するための《神通力》を持っているのかもしれない。言ってみれば《天狗の隠れ蓑》効果!?


こちらはやや木化(?)したクワの枝↑。また、クワの葉の上にとまっていることもある↓。




クワで見かける他の虫たち(の一部)

テングスケバをみかけるクワでは、他にも色々な昆虫を目にする。テングスケバ(12~14mm)よりもぐっと小ぶり(約5mm)だが、頭~胸にかけてのシャープなストライプがテングスケバに似ている気がするミドリグンバイウンカ↓。


若いクワは汁を吸う昆虫には人気があるようで、ハゴロモなども常連。




アオバハゴロモはハゴロモ科とは別のアオバハゴロモ科に分類さされているようだ。上の画像は左が下向きにとまった成虫・右が上向きにとまった幼虫(よく見ると偽瞳孔のある眼と触角がわかる)。


クワではアリを見かけることもあるが、そんなアリに擬態したホソヘリカメムシ幼虫↑の姿もあった。
比較的大きなものでは、キボシカミキリ↓がよく見られる。


キボシカミキリはクワの葉の裏から葉脈をかじるので、このカミキリがいるところでは葉脈部分がスリット状の穴となった葉が目につく。このカミキリは去年・今年と1月にも見ており(1月にキボシカミキリ新年2種目天牛はキボシカミキリ)、意外に長く見られるカミキリだったりする。
また、最近このあたりでも増えてきた外来種のキマダラカメムシ(こちらではサクラに多いが、他の木でもみつかる)が、クワにも来ているようだ。


画像↑左はサクラの幹についたキマダラカメムシ成虫。右はクワの葉の上でキマダラカメムシ成虫をとらえたハラビロカマキリの幼虫。キマダラカメムシといえば、先日臭腺開口部を確認しようとしてカメムシ臭のするシミをつけられたが(【キマダラカメムシの臭腺開口部】)、その最臭兵器(?)もカマキリには通用しなかったのか……ハラビロカマキリは幼虫ながら、かなり豪快に獲物を食っていた。


クワの葉の裏にはキマダラカメムシのものと思われる卵が産みつけられていた。本来ならハッチ型の蓋がきれいに開いて孵化するところだが、あきらかに齧られて破られているものがあり、これは寄生蜂によるものだろう。


寄生蜂が食い破って出たと思われるカラの卵の隣に羽化が近いと思われる卵(白矢印)があったので翌日のぞいてみると穴が開けられていた。急速に勢力を拡大しているかに見えるキマダラカメムシだが、密度が高まれば寄生蜂を増やす格好の材料となり、急増が逆に抑制勢力を勢いづかせているのかもしれない。自然界のホメオスタシス(均衡維持)だろうか。
こうしたシーンを目にすると、ふだん人々が気にとめない道ばたのちっぽけなクワの若木にも色々な生命が集まり、様々なドラマが展開されているのを実感する。