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ユーザータグ : エゴヒゲナガゾウムシの記事 (1/1)

立派なエゴヒゲナガゾウムシ♂

エゴヒゲナガゾウムシ:大型♂はハクウンボク育ち?



葉の上にたたずむ、ちょっと怪しげな後ろ姿!?──今シーズン初のエゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラヒゲナガゾウムシ)♂だった。大きなオスだな──というのが第一印象。頭から突き出した異様な突起──これはオス特有のものでこの先端に眼があるのだが、この張り出しぐあいもかなり立派。昨シーズンであった初オス(後述)は小型で眼の張り出しも小さかった……。
立派なオスのご尊顔を拝まんとするが、なかなか正面を向いてくれない。ダメ元で葉から指先に誘導すると、意外にも移動してくれた(よく飛ぶ昆虫なので、飛び去るだろうと覚悟していた)。


ブレがちで見苦しい画像になってしまったが(指に移すことは成功したが、やはり飛び去ってしまったので満足に撮ることができなかった)……これが正面から見たエゴヒゲナガゾウムシ♂の顔。まるで、白塗りののっぺらぼう!?


顔を切り取られたあとの切断面か!?──というほど顔面は平たい。
横から見ても、なかなかユニーク↓。


このオス↑は眼の張り出しが大きかったが、それがわかるように、昨年撮影した眼の張り出しが小さな♂の画像を再掲載↓。


今回見つけた大型♂と比較すると、その差は歴然。


エゴヒゲナガゾウムシ♂の眼の張り出しは、カブトムシ♂のツノのように、大型♂では大きくなり、小型♂で小さくなる傾向があるのかもしれない。
エゴヒゲナガゾウムシは、その名が示す通りエゴノキをホストとするヒゲナガゾウムシ。メスはエゴノキの実をかじって孔をあけ、種子に卵を産みつける。基本的には実(種子)1つに産みつけられる卵は1つで、幼虫は種子の中味を全て食べて成長するらしい。幼虫はそのまま種子の中で蛹となり、成虫は翌年初夏に種子に脱出口を開け出現するという。
卵が産みつけられるエゴノキの実(の種子)は大きさにバラツキがある。小さなエゴノキの実(の種子)で育つ個体は食糧も少なく小さなスペースで蛹にならなくてはならない。一方大きなエゴノキの実(の種子)で育った個体は食糧も多く大きな種子の中で大きな蛹になり得る──エゴヒゲナガゾウムシの体の大きさは、育った種子の大きさによって制限されているということのようだ。
眼の張り出しが少ない極小♂を見た時は、卵を産みつけられた種子が小さかったのか、あるいは1つの種子に2つ卵が入ってしまい、限られた資源を奪いあって欠食状態で成虫になってしまったのだろうか……などと思った(ときどき産卵痕が2つある実がある)。
ということは──今回見つけた大型の立派なオスは、幸運にも大きな実(の種子)で育ったのだろう。そこまで考えて、「このでかいオスは、(エゴノキの実よりも大きな)ハクウンボクの実(の中の種子)で育ったのではないか?」と思い至った。
周囲を見ると……予想通り近くにハクウンボクの木があって、大型♂がとまっていた葉の上に枝が伸びていた。


エゴヒゲナガゾウムシがハクウンボクの実でも産卵行動をしているのは、昨年確認している。周囲にエゴノキはなかったので、今回みつけた大型♂は、このハクウンボクの種子で育ったのだろう。枝の下に落下した種子の中で育ち、羽化してさほど経っていなかったのかもしれない(だから指に乗せようとした時すぐに飛び立たなかった?)。
ハクウンボクとエゴノキの実/種子(&脱出孔)の大きさを比較した画像を【エゴヒゲナガゾウムシ白雲木育ちは大きい!?】から再掲載↓。




大きな種子には大きな脱出孔が開いている──ということは、それだけ大きな成虫が誕生したということだろう。
ハクウンボクの実はエゴノキの実よりも大きいので産卵孔を掘るメスの負担は大きそうな気もするが、産みつけた卵から大きな成虫が育てば──オスならはメスをめぐるオス同士の闘争に有利になるだろうし、メスならば卵をたくさん産めるとか産卵孔掘りに有利になるとか……苦労しても食糧資源豊富な大きなハクウンボクでの産卵は見返りが大きそうな気がする。

そんなメスの産卵シーンを昨年の画像から(ハクウンボクではなくエゴノキの実に産卵中)↓。オス同様に顔は平たいが、眼は飛び出していない。




オス同様に顔は平たいが、メスの眼は飛び出していない。それではどうしてオスの眼は離れているのか──。
オス同士は、メスの争奪戦や縄張り争いをするとき、「離眼距離」をアピールして威嚇し合うのではないか。オス同士の闘争で体を大きく見せて相手を威圧し合う行動は動物ではよくみられる。左右の眼の離れぐあいで体格の差(優劣)を競うという行動も、あってよさそうな気がする。
「離眼距離」の大きなオスほどライバルを制して子孫を残しやすい──のであるとするなら、眼の張り出しが立派なオスの遺伝子が選択され、その特徴を進化させてきたと考えれば、オスの眼が飛び出していることの説明はつく……僕はそんなふうに考えているし、実際にエゴノキでオス同士が顔を突き合わせ、一方が飛び去るという行動も何度か見ている。




見苦しい画像↑だが、これは【エゴヒゲナガゾウムシ:オスの眼はなぜ離れてる!?】からの再掲載。顔を突き合わせて「離眼距離」を競い合うには、顔が平たい方がつごうが良い。エゴヒゲナガゾウムシのユニークな顔の平たさは、離眼距離比べに適した形ではなかろうか? ほかに顔が平たくなる理由を僕は思いつかない。

今回みつけたハクウンボク育ちと思われる立派なオスも、エゴヒゲナガゾウムシ的にはかなりのこわもてに違いない。


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エゴヒゲナガゾウムシ白雲木育ちは大きい!?

ハクウンボク育ちのエゴヒゲナガゾウムシは大型化!?



エゴノキをホストとするエゴヒゲナガゾウムシ──が、ハクウンボクの果実にも産卵していることを前回記した。


定番のエゴノキの実に産卵する♀↑と、より大きなハクウンボクの実に産卵孔をあける♀↓


前回の記事に対し、虫屋さんから《一頭当たりの餌の量は実のサイズに比例→よりでかいハクウンボクで育った方が[よりでかくなれる]のでは》というようなコメントをいただいた。
もっともなハナシで、調べてみると、こんなサイトがみつかった↓。
エゴヒゲナガゾウムシの生活史
これによると、エゴノキの種子あたり幼虫1個体のみ成長が可能で、《体の大きさは種子の大きさによって制限されている》とのこと。《幼虫は種子の内容を全て摂食して成長し、種子の中で幼虫越冬する。翌年の初夏に蛹化し羽化して、種子に脱出口を開け出現する》そうだ。

《体の大きさは種子の大きさによって制限されている》のであれば、エゴノキよりも大きなハクウンボクの種子で育ったエゴヒゲナガゾウムシは、より大きくなれるはず──それを確かめるために、エゴノキとハクウンボクそれぞれの木の下に落ちている種子の中から脱出孔のあるものを拾って、その大きさを比較してみることにした。


例によって直径20mmの一円硬貨との比較。とりあえず見つかった種子を比べてみると↑(上段3つがエゴノキの種子/下段3つがハクウンボクの種子)──小さな種子の脱出孔は小さく、大きな種子の脱出孔は大きい傾向がありそうだ。大きなハクウンボクの種子の方が脱出孔も大きい。脱出孔が大きいということは羽化した成虫も大きいということだろう。


大きな種子で育った大きなオスは《離眼距離》も大きいだろうしオス同士の争いで有利なはず。大きなメスはより多くの卵を産めるだろう(先のサイトでは《生涯で17個産み得る》と記されている)。
エゴノキに比べればハクウンボクは少ないし、大きな果実に産卵孔をあけるのはメスとって大変かもしれないが……ハクウンボクで育った個体はエゴノキで育った個体よりも大型化しやすく、そのぶん優位といえそうだ。
ハクウンボクは房状に咲く花がみごとで、連なる果実のボリュームや大きな葉も立派──エゴノキよりもゴーチャスな印象を受ける。そこで育つエゴヒゲナガゾウムシも裕福なのかもしれない。多数派のエゴノキ育ちを庶民とするなら、小数派のハクウンボク育ちは物資豊富な富裕層──そんな感じがしないでもない……。

※【追記】ハクウンボクとエゴノキの果実が落ちていたのでエゴヒゲナガゾウムシの産卵痕があるものを比較してみた。




エゴヒゲナガゾウムシ@ハクウンボクでも

エゴヒゲナガゾウムシ@エゴノキ

エゴノキの枝にぶさ下がる丸い果実。よくを見ると孔があいたものがあちらこちらに──これはエゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラヒゲナガゾウムシ)の産卵痕。探すとすぐに作業中のエゴヒゲナガゾウムシが見つかった。






エゴヒゲナガゾウムシはメスもオスも平たい顔をしており、ちょっと変わっている。オスはさらにユニークで、左右の眼が顔から飛び出して離れている。


エゴヒゲナガゾウムシのメスはこんな顔↑だが、オスはこんな顔↓。


オスの眼の位置はメスとは違うスペシャル仕様!? オスはエゴノキの果実で産卵行動をとるメスを見守っていることが多いが、ライバルのオスが近づかないようにスタンバっているのだろう。オスの眼の位置が高く離れているのは丸い果実の陰から近づくライバルをいち早く見つけられる監視台仕様なのではないか──という気もする(個人的想像)。
また、メスをめぐってオス同士が顔を突き合わせて争うことがあるが、このとき眼の離れぐあい──《離眼距離》を競い合っているようにも見える。オス同士が体の大きさ(強さ)をアピールし合って勝負を決することは動物界にはよくあることだ。実際に闘って怪我をしたり体力を消耗するよりは、「大きさ勝負」で勝敗を決した方が手っ取り早くリスクも少なくてすむのかもしれない。
エゴヒゲナガゾウムシ♂の場合は、顔をつき合わせ、眼の離れ具合を比べて互いの大きさ(強さ)を判断している──顔が平たいのも顔を密着させて《離眼距離》を比べやすくするための構造だと考えれば合点がいく。

こんなオスに見守られて(監視されて?)メスはエゴノキの果実を齧り、産卵のための孔をあける。孔は種子まで達し、卵は種子の中に産みつけられる。やがて果実の表面が剥がれ、種子は落下。エゴヒゲナガゾウムシの幼虫は種子の内部を食べて育つ──ということらしい。


なんちゃってエゴノキ!?ハクウンボクでも産卵

ところで、エゴノキの近くにエゴノキの果実に似た実をつける木があった。丸い果実はエゴノキよりもやや大きめで、つき方も違っている(房状に連なっている)。葉の形や大きさも違うのでエゴノキではないことは植物にウトい僕でもすぐわかる。が、この「なんちゃってエゴノキ」の果実にもエゴヒゲナガゾウムシの産卵痕と思われるものがついていた。
エゴヒゲナガゾウムシのホストはその名のとおりエゴノキ──だけだと思っていたので、意外に感じた。探して見ると産卵孔をあけているエゴヒゲナガゾウムシ♀の姿が確認できた。




高い位置で撮りづらかったのだが……とりあえず証拠画像↑。帰宅後調べてみると「なんちゃってエゴノキ」は「ハクウンボク(白雲木)」というらしい。エゴノキと同じエゴノキ科エゴノキ属の植物だとわかった。どうりで果実が似ているわけだ。エゴノキとハクウンボクの木の下に落ちていた種子を拾って大きさを比較してみた↓。


果実と同様、種子も形や色はエゴノキに似ているが、ハクウンボクの方が大きい。ハクウンボクの種子には脱出孔があけられているものがあったが、これがエゴヒゲナガゾウムシのものであったとすれば、ハクウンボクでもちゃんと育つということだろう。
エゴヒゲナガゾウムシにエゴノキ以外のホストがあるとは知らなかった。

ハリサシガメ:成虫&幼虫

7月下旬から成虫が見られるようになった石垣上のハリサシガメ。






まだ成虫は少なく幼虫の方が多い。晴れた日・暑い日には焼けた石垣は閑散としているが、雨上がりや曇って気温が低めの日には見ることができる。




アリの通り道のそばで狩りをしていたハリサシガメ幼虫↓。


小さなアリを捕らえ、アリの列から少し離れて食事をしているところ。例によって行き交うアリはハリサシガメ幼虫に気づかぬように無反応。


アリやハリサシガメが見られるコンディションではヒガシニホントカゲの活動もさかん。ゴキブリを捕らえたヒガシニホントカゲ↓。




エゴヒゲナガゾウムシ:オスの眼はなぜ離れてる!?

エゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラヒゲナガゾウムシ)



エゴノキの実に孔が目立つようになった。これはエゴヒゲナガゾウムシの産卵痕。よく見るとあちこちにエゴヒゲナガゾウムシの姿があった。


メスはエゴノキの実をかじって孔をあけ、腹端をさしこんで産卵する。孵化した幼虫は果皮内側の堅い種子の中で成長するらしい。エゴヒゲナガゾウムシの幼虫は「ちしゃ虫」と呼ばれ釣りのエサとして売買されているとか(「エゴノキ」は「チシャノキ」とも呼ばれる)。エゴヒゲナガゾウムシが発生している場所ではエゴノキの実のかなり多くで産卵痕がみられる。寄生率の高さから、集めやすいということで商品(釣り餌)として取り扱われるようになったのだろう。
エゴノキの実の果皮にはサポニンという有毒物質が含まれているそうだ。毒があることで鳥などに食われにくい実だとしたら、エゴヒゲナガゾウムシにとっても良いホストなのかもしれない(種子はヤマガラが好むらしい)。








ところで、この【エゴヒゲナガゾウムシ】──名前に「ゾウムシ」とついてはいるが全然「ゾウ」に似ていない(※「ゾウムシ」と「ヒゲナガゾウムシ」は科が違う)。僕の手元にある甲虫の図鑑では【ウシヅラヒゲナガゾウムシ】という和名で載っている(ネット情報によれば、この昆虫は触角が長いのでカミキリと誤認されて【ウシヅラカミキリ】なんて呼ばれることもあったとか)。
「ゾウ」にはとても見えないが、「ウシづら」というのも、どうなのだろう……ちょっと首をかしげたくなる。もっと他の名前がついてもよさそうなユニークな特徴がある昆虫なのだが……。

のっぺらぼう虫!?/眼が顔の外にとびだしたオス



エゴヒゲナガゾウムシのおもしろいところは、オスとメスで顔がずいぶん違うことだ。メスも「おしろいをぬった平べったい顔」みたいで愛嬌があるが、オスの顔がなんともユニークなのだ。




オスは左右の眼がおもいきり離れ、顔の外に飛び出している。正面からながめると飛び出した眼はツノのようで(眼がどこにあるのかわかりにくいので)白い顔の「のっぺらぼう」のように見える。「牛づら」よりは「のっぺらぼう虫」「ノツペラボウビートル」と呼ぶ方がふさわしい気がしないでもない。


また、オスは背後からながめると、飛び出した眼は動物の耳介っぽく、《たそがれるハイエナの後ろ姿》に見えてしかたがない。


葉の上に飛来したエゴヒゲナガゾウムシ♂↑。まだ後翅がのぞいている。




顔が平たくオスの眼が離れている理由!?



メスではふつうなのに、オスだけ眼がこんなに離れているのはナゼなのだろう?──これだけユニークな姿を目にすると、そう考えずにはいられない。
オスはメスが産卵作業をしている実の近くに陣取っていることが多い。交尾のため・あるいは交尾したメスに他のオスを近づけないための監視なのだろう。




丸いエゴノキの実の上では、実の反対側にライバル♂がとまると死角になって見えない。眼が顔より外に飛び出していれば、そのぶんいくらか死角を減らせる──実の反対側からスキをうかがうライバル♂からすれば、体を実のかげに隠しながら眼だけをのぞかせる《潜望鏡》のような使い方もできる。そうした利点があるのかもしれない。


ただ、《オスの眼が離れている理由》には他の意味があるのではないかと僕は考えている(例によってあくまでも個人的素人解釈)。
《(メスをめぐる)オス同士の闘争において「離眼距離」が勢力の優劣決定に影響し、より眼が離れたオスが子孫を残す傾向が強まり、その特徴を進化させてきた》のではないか?──そんな気がする。
動物界ではオス同士の闘争行動において「体を大きく見せる」ということはよくある。ライオンのオスは顔がでかいし、たてがみだって顔を大きく見せて相手を萎縮させようというアイテムなのだろう。キッシンググラミーという魚はオス同士がキスするように口をつきだして広げ、その大きさを競い合って優劣を決める。
エゴヒゲナガゾウムシも、《オス同士の闘争行動で「離眼距離」が競われ、「眼の離れ具合が大きい」→「大きい(強い)」との判断基準で勢力の優劣が決められているのではないか》──「闘争行動」によって、ライオンのオスの顔がでかくなりタテガミが発達したように、エゴヒゲナガゾウムシではオスの眼が離れていったのではないか?
そう考えるのは、以前エゴヒゲナガゾウムシを撮っていたとき、オス同士が顔を突き合わせて一方が飛び去るのを目にしたことがあったからだ。初めてこの虫のオスを見たとき、「なんで、こんなに平べったい顔なんだ?」「どうして眼がこんなに離れているのか?」とフシギに感じていたが、《オス同士が顔を突き合わせて「眼のはなれぐあい」を競い合う》ためだと考えると合点がいく。
そして今回も《オス同士が顔を突き合わせて「眼のはなれぐあい」を競い合う》闘争行動を何度か確認することができた。残念ながら鮮明な画像は撮ることができなかったのだが……いちおう、問題の闘争行動を──。




この直後、1匹(♂)が飛び去って決着。闘争行動に勝った♂は左触角が曲がっていたが、眼の離れ具合は勝っていたようだ。




こうした《闘争行動》がエゴヒゲナガゾウムシの顔を平たくし、オスの離眼距離(僕の造語)を発達させてきたたのではないか──僕はそう考えている。

ところで、エゴヒゲナガゾウムシが産卵するエゴノキの実だが……熟すと果皮が裂けてタネが落ちる。早くも果皮が裂けタネがのぞいている実があったので、その画像も↓。





【撮影後記】本当は別の昆虫を探していたのだが……エゴノキの実にたくさんエゴヒゲナガゾウムシが来ていたので、ちょっと迷ったのち、目的を変更してこの虫を撮ることにした。
「ちょっと迷った」──というのは、何度か記してきたが、僕は写真(画像)撮影には苦手意識がある。エゴヒゲナガゾウムシそのものは面白いのだが、小さく(体長:3.5~5.5mm)て、しかも「よく揺れる」枝先の実や葉の上にいるのを撮るのは大変そうだなぁ……という思いがあったから。生態は面白いのに、ちゃんと撮れないとフラストレーションがたまる。
実際、撮りはじめるとやっぱりNGが多い。珍しい虫なら飛び去ってしまえばどうしようもないので「あきらめ」がつくが、エゴヒゲナガゾウムシはたくさんいるので、幸か不幸か?撮影に失敗して飛び去られても、まだまだかわりの被写体はつきない……。
撮りづらい位置だったり、光線の具合がよくなかったり……エゴヒゲナガゾウムシはたくさんいるものの、撮影に向いた条件のところにいるのを探すとやはり絞られてくる。
ようやくOKショットが期待で来そうな被写体をみつけても、いざシャッターをきろうとする瞬間に風が吹いて画面が揺れ「いま撮ろうと思ったのに揺らすんだものなぁ~もぅ!(往年の西田敏行のCM風)」という悔しい思いをくり返した。
撮り始めて途中で止めるのもくやしいので、とりあえず粘って撮り続けるが……気がつけば熱中症になりかけ(?)ヘロヘロになっていて、ちょっとヤバかった……。
というわけで、イマイチな画像も多いが……いちおうまとめてみたしだい。


たそがれるハイエナ!?眼が離れすぎの虫

空目【たそがれるハイエナの後ろ姿】に見える虫

さて、まずはハイエナを思い描いていただきたい。ブチハイエナ。
これを2~3頭身にスーパーデフォルメした姿をイメージ。
そのSDハイエナが「たそがれている後ろ姿」を想像して……なだらかな頭頂部、そのわきにつきだした耳介……。
昆虫ではなかなか見られないほ乳類の耳介(耳)がポイントですぞ!
イメージできましたか?
しからば──、


・・・・・・ということで、空目から入ってみた昆虫ネタ


顔の外に眼がとびたした!?エゴヒゲナガゾウムシ♂

【ハイエナの後ろ姿】に見えた(かもしれない?)昆虫──正面から見ると、こんな顔。


【エゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラヒゲナガゾウムシ)】は7~8月頃、エゴノキの実の上でよくみかける。顔の輪郭の外に眼がとびだしたマンガのようなユニークな顔をしているのはオスだけ。


メスはオスほど眼が離れていない。顔だけ見たら別の種類のようだ。






オスの眼が離れているのはなぜか?

オスとメスで眼の離れ具合にこれだけ性差があるのは、繁殖に関係する要因によるものだろう。
エゴヒゲナガゾウムシの♂は、縄張りや♀をめぐる争いで、♂同士が顔を突き合わせて体の大きさを競う──そんな習性があるのではないか?
《相手より大きく体を見せる方が優位》→《相手より眼の幅が広い方が優位》という形で♂同士の争いに【離眼距離】が影響しているのであれば、より「眼が離れた♂」の子孫が残りやすくなり、その結果、この特徴が発達していって今日のようになった(のではないか)……僕はそう想像している。
1度だけ、2匹の♂が顔を突き合わせたとたん、一方が飛び去るのを見たことがあって、そんな解釈をしているのだが……平たい顔と眼の位置関係は、♂同士が顔を突き合わせたときに【離眼距離】を比較しやすい構造にも見える。このことからも、【眼が離れているのは、オス同士の闘争で優位にたつため】という解釈は成立しそうな気もする。


ところで【エゴヒゲナガゾウムシ】は名前に「ゾウムシ」とついているのにオスもメスも顔つきはゾウムシっぽくない。エゴヒゲナガゾウムシは【ゾウムシ科】とは別の【ヒゲナガゾウムシ科】の昆虫。
同じエゴノキの実に産卵するゾウムシ科の昆虫には【エゴシギゾウムシ】がいるが、こちらはゾウムシっぽいルックスをしている。長い口吻はゾウの鼻というより(鳥の)シギのクチバシを連想させる。