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バケツからの生還


バケツからの生還
※外部ブログから加筆再収録

実写版で自作の変身ヒーローを撮ろうと思い立ったきっかけの一つが、東急ハンズで型取材が手に入ると知ったことである。これを使えば自分がデザインしたオリジナルのヒーロー『ミラクル☆スター』のマスクを実体化できるのではないか……そんな思いがよぎったのが発端だった。

造形に関しては全くの未経験だったが、マスクの作り方は(理屈として)はなんとなく想像できる。

頭部の型をとって石膏で再現。それに粘土を盛ってマスクの原型を作成。その型をとってFRPを塗って固めれば原型通りのマスクができる……ハズである。
そう考えて、型取材や石膏などを買って帰った。

さて、まずは頭部の型をとる作業である。本来ならモデルとなる人と作業をする人の二人が必要だ。しかし、身近に手伝ってくれる人がいなかったので、とりあえず独りで試してみることにした。

で、考えたのが、ポリバケツに型取材を入れ、呼吸用にゴムホースをくわえて頭を突っ込む。そのまま型取材が固まるのを待って頭を抜く──という方式。
深く考えずに実行に移したのだが……。
これが実際にやってみたところ……次第に固まっていく型取材の中に目をつむったまま(当然だが)顔を突っ込んでいるというのはけっこう圧迫感があってコワイのである。
そのことに気がついたのは、もちろん顔をバケツにつっこんでいる最中。
コワイと思うとだんだん息苦しさも増してくるから不思議なものである。

「ホントにこんな方式でうまくいくのかいな?」という疑問が頭をよぎると不安が堰を切ったように脳みその中になだれ込んできた。圧迫感は急加速する。
「は…早く頭を抜きたい」
そろそろ固まってきたかという頃、「もう我慢できん!」とついに頭を引き抜こうとして愕然とした。
「ぬ…抜けない!?!」
型取材が髪の毛やまつげまでもしっかり押さえていて抜けないのである!
不安は一気に臨界点を突破して恐怖に反転。
「げっ! そ…そんな」とアセり、じたばたしてると、なんとくわえていたホースだけが抜けてしまった。
呼吸用のホースはいわば命綱──もし、型取材が固まりきっていなくてホースの抜けた穴が塞がってしまったら……そのまま窒息死である。
ポリバケツに頭を突っ込んだまま死んでいる自分の姿が脳裏をよぎる!
目の前は真っ暗──って、目をつぶって型取材の中に埋まっているのだから当然だが──そんな死に方はいくらなんでも恥ずかしすぎる!
ミラクル☆スターが最初に迎えた最大のピンチ!?

かなりあわてたが、ホースの抜けた穴から空気は通っているようす。とりあえず窒息死の危機は免れているらしいと判り、ちょっぴり平常心を取り戻した。
心理状態を立て直し「なんとかバケツから頭を抜かなければ……」ともがきはじめると、スポッとバケツから抜ける感触があった。
「助かった」と思いきや……相変わらず顔は覆われたまま!?
なんのことはない、頭を埋めたプリン状態で型取材ごとバケツから抜けただけだった。
これではなんの解決にもならない。プリン頭でさらにじたばたしていると、型取材が二つに割れ、ようやく顔を出すことができた。そして固まった型取材からなんとか頭を引き抜くことに成功し、ミラクル☆スターは生還したのである。

独りでロケにのぞんだ『ミラクル☆スター』撮影中には、「ああ、もう一人自分がいたらなぁ」と思う事が何度もあった。しかしこの造型プロセスでもスタッフがもう一人ほしかった──。
もしも、もう一人いたなら、バケツに頭をつっこんだままジタバタしている自分の姿を撮影しておく事ができたではないか! そんな面白い命がけ(?)のシーンがあったのに、映像を撮り逃した事が大いに悔やまれる……。

さて、その造形の続きだが……割れた型をバケツの中に戻して合わせ石膏を流し込むと、なんとか頭部の型がとれた。これに粘土を盛ってマスクの原型をつくったのは冒頭の画像の通り。
この原型から型をとって、初めてFRPなるものを使ってマスクを制作したのだが、液状の樹脂を塗っていく段階で凝固剤を多く入れすぎ、作業中にもくもくと煙が立ち始め、なんと発火! あわてて外へ放り出した──なんて事もあった。

ミラクル☆スターは怪人と闘う以前に、窒息死のピンチや火事の危機とも闘っていたのである。


●ミラクル☆スター~実写版~
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-34.html

●ミラクル☆シリーズさくっと制作経緯
https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-36.html

子どもはなぜヒーローが好きか

子どもはなぜヒーローが好きか

強くてカッコ良いヒーローやヒロイン。
いつの時代も子どもたちはヒーロー・ヒロインに憧れる。
ではナゼ子どもたちはヒーローが好きなのか?
それは子どもが弱者だからだ──と僕は考えている。社会的にも肉体的にも精神的にも未熟な子どもは、潜在的にいつも様々な不安や怖れを抱えている。
不安や怖れに脅かされやすい弱い存在だからこそ、それらを払拭する強いヒーローに憧れるのだろう。

「怪人」は昔で言う「お化け」や「幽霊」のようなものに似ている。子どもの心に巣食う不安や怖れを投影する存在。
ご存知のように子どもは「お化け」「幽霊」の話が好きである。
怖がる。なのに聞きたがる。
ちょっと矛盾した反応のようにもみえるが、この心理というのはおおよそ次のようなものだろう。

子どもは、(潜在的に抱いている)不安や怖れを「お化け」や「幽霊」というイメージに託し、「お話」を介してそれらと対峙し、乗り越えるべく決着をはかろうとする──「お話」の中でお化けを退治したり・時には仲良くなったりすることで、不安を解消し安心を得ようとするわけだ。
つまり「お化け」「幽霊」のハナシは不安を乗り越える為の疑似体験・代償行為のようなものと言えるかも知れない。

「怪人」も、こうした「お化け」「幽霊」同様、子どもが抱える<不安>や<怖れ>を投影する対象なのだろう。
<不安>や<怖れ>の象徴であるところの「怪人」──これを、子どもに代わってやっつけてくれるのが「ヒーロー」である。
こうした潜在的構図を背景に「ヒーロー」が「怪人」を打ち負かすことで子ども達はカタルシスを得る。
そして、自分がヒーローになったつもりで怪人をやっつける遊びを模倣し、安心感・充足感を得ようとするのである。

ところで、「怪人」の意味するものは「<不安>や<怖れ>の象徴」だけではないだろう。
子どもは怪人を怖れる反面、未分化な自分を投影したり、社会のルールにとらわれず自由奔放にふるまう怪人に、憧れや共感のようなものを感じている部分もあるのではないかと思う。

子どもが住む世界──親や大人によって構築された社会・秩序は子ども達を守り育むものだが、その反面、子どもたちを抑え縛るものでもある。
その中に身をおいていれば安心だと判っていても、ときには規制・管理されることが窮屈になり、自分を縛るものから開放され、勝手気ままに振る舞ってみたくなる──そんな潜在的な願望もあるはずである。

子ども達の力では太刀打ちできない、彼らを縛る社会の秩序──それらを打ち砕く「怪人」の奔放さには、ある種のカタルシスがあるに違いない。「怪人」は安全を脅かす危険な存在・不安の象徴であると同時に、子どもを拘束する秩序を破壊し解放をもたらすあこがれ的存在でもあるともいえる。

「怪人」にもファンが多いのはこうした心理があるためだろう。

「怪人」のように、社会の窮屈なルールに縛られず自由奔放に振る舞ってみたい──そんな潜在的なあこがれを持ちつつ、「怪人」の破壊的な暴走に対しては不安や怖れを抱く──こうした二律背反的な葛藤が子どもの潜在意識の中には存在し、その《葛藤》の構図が「ヒーローと怪人の《闘い》」の中にも投影されている気がする。
だから、ヒーローの活躍に心を揺さぶられる。

「子どもはヒーロー好き」──その理由はこうしたとにあるのだろうと僕は考えている。


※HTMLモードのテストを兼ねて最収録

幻のインディーズヒーロー・アクション

インディーズ(自主制作)変身ヒーロー・アクション【ミラクル☆スター】と【ミラクル☆キッド】の間には撮影を開始したものの頓挫した幻の作品がある。
【ミラクル☆スター】に続いて【三宅裕司のえびぞり巨匠天国】(TBSテレビの映像作家発掘番組)への再登場をもくろみ、番組スポンサー商品・ポカリスエットをネタに考えた【ミラクル☆スター2(仮題)】である。


【ミラクル☆スター2】の全貌

当時(1991年)の絵コンテで【ミラクル☆スター2(仮題)】の全カットを紹介。
(※オリジナル絵コンテは鉛筆描きだったが、それだと縮小すると見づらくなるのでパソコンに取り込んで加工)
ファーストカットは設定では地震研究所なのだが、コネも金もないのでそれらしく見せるのは諦め、知人のオフィスをそのまま使わせてもらい、字幕やナレーションで設定を説明するつもりだった。































ミラクル☆スター~実写版~※ひとりで撮ったスーパーヒーロー・アクション
ミラクル☆キッド~実写版~※小学2年のスーパーヒーロー誕生
ミラクル☆シリーズさくっと制作経緯
自作ヒーロー:型紙マスクの作り方

ミラクル☆シリーズさくっと制作経緯

大手のメジャー・ヒーローに対して地域を拠点に活動しているのがローカルヒーロー。ミラクル☆スターはさらにスケールが小さい──いってみればプライベート・ヒーローといったところか。元々はごく限られた数名の友人に見せるつもりで制作した内輪ウケ狙いのインディーズヒーロー(自主制作ヒーロー)だった。イタズラ半分に作ってみたものだが、その制作プロセスを簡単にまとめておくしだい。
 


高校時代に撮った(撮ってもらった)写真。もちろん合成ではない。当時は時々こんな写真を撮りに(演じに)行っていたのだが、8mm(フィルム)カメラを持っていた友人の提案で、こうしたシーンを含むアクション映画を撮ってみようということになった。その作品は完成こそしなかったが暫定版を文化祭で上映。『燃えよドラゴン!』と『仮面ライダー』を合わせたような内容だった。これが実写版ミラクル☆シリーズの原点(?)だったのかもしれない。
 


いくつかの同人誌(ヒーローものとは無関係の文芸系)を経て、ワープロで簡単な個人誌《チャンネルF》を作る。この9号で初めて【ミラクル☆スター】が登場。同号にはゲスト作品として某氏の内輪ウケ・パロディ・ヒーロー小説【スーパースター】シリーズを掲載。これに対抗する作品として小説版『ミラクル☆スター 激闘篇』を書き下ろしたわけである。10号では小説版『ミラクル☆スター~復活篇~』を収録。
 
プライベード・レベルの小説版ヒーロー・バトルが展開する中、この架空のヒーローを実体化してみようと思い立ちFRPでマスク作りを開始。
色々アクシデントもあったが、下手なりになんとか仕上げる。


バケツからの生還
 
マスクができるとこれを使って実写ビデオが撮れないかと考え始める。コマ単位で編集できるフィルムと違ってダビング編集のビデオではカットの位置を正確に決めるのが難しい。果たして思い通りの映像が作れるものかどうか……やってみないとわからない──ということでボディーを作って試作撮影に着手。
FRPマスクは視界を広くとったデザインだったのだが、すぐに息で曇って視界不良に陥る事が判明。それでもなんとか撮った映像を試験的に編集していたちょうどその時──【三宅裕司のえびぞり巨匠天国】の第1回目放送を偶然目にする。番組で映像作品を募集していると知り、さっそく編集したビデオを応募。するとあっさり採用が決まってテレビ出演ということに。


 
ミラクル☆スター~実写版~
 
実は【えび天】出演時には肩にワイヤーが入っていた。ミラクル☆スターの続編(本編?)に向けてミニトランポリンの練習をしていたところ、踏み切りに失敗して肩から落下──鎖骨を骨折し手術を受けていたのだ。この時はまだマットが無かった。
療養中【えび天】再登場をもくろんで続編を練る。高校時代に8mmアクション映画を撮った仲間の協力を得てミラクル☆スター2を撮る事に。鎖骨骨折の苦い経験からウレタンマットを用意してのロケだったのだが……撮影開始して間もなく首を折り損なう事故が待っていた。


塀を跳び越え前方2回宙返りで降り立つシーンで、ウレタンマット(簡易合成で隠してある)に首から突っ込み、首・胸・背中に激痛が走る。歩くだけで患部に響いて痛い症状だったが、この日予定していたもう1つのアクションシーンを撮る。


結局、このカットを撮影してロケは中断。

事故の原因だが、FRPマスクの視界不良が大きな要因。このため、もっとよく見える改良型マスクを考案&作成。


新型マスクの作り方は→●自作ヒーロー:型紙マスクの作り方
この型紙マスクの応用でミラクル☆キッドのマスクを作成。急きょ特別番外編を制作することとなる。


 
ミラクル☆キッド~実写版~
 
【えび天】狙いの『ミラクル☆キッド』だったが、番組は終了してしまい再登場は叶わなかった。
 
実写版ビデオを撮った後に作った個人誌《チャンネルF》──「ミラクル☆スター秘密大百科」と「ミラクル☆シリーズ秘密大百科」の表紙。


「秘密大百科」は個人誌《チャンネルF》の11号・12号に相当。その後「ミラクル☆スター」「ミラクル☆キッド」は季刊『宇宙船』(Vol.63/1993年冬)の自主製作映画投稿欄で紹介してもらうことができた。


 
ミラクル☆シリーズ実写版は【えび天】終了で頓挫した形になったが、ミラクル☆スターをきっかけに知り合ったアマチュア映像サークルの特撮ヒーローもの『超兵機エクシーザー』シリーズにチラッと参加。


しかし残念ながら、この作品は完成を見なかったようである……。
最後の宙返り
 
今にして思えば、体が動くうちにもう少し撮っておけば良かったという気がするが、その一方、体が完全に錆び付く前にこれだけでも撮っておくことができたのは良かったのかも知れないという思いもある。
「もっとこうしていれば……」と思うところは多々あるが、いずれにしても懐かしい作品である。

ミラクル☆スター~実写版~※ひとりで撮ったスーパーヒーロー・アクション
ミラクル☆キッド~実写版~※小学2年のスーパーヒーロー誕生
自作ヒーロー:型紙マスクの作り方
幻のインディーズヒーロー・アクション※『ミラクル☆スター2』絵コンテ



ヒーロー的宙返り※宙返りワザ覚書

ミラクル☆キッド~実写版~

小学2年生でもスーパーヒーローになれる!?





 
『ミラクル☆スター』の続編で【えび天】再登場をもくろむが……ロケ初日のケガで撮影は中断。急きょ企画変更し小学2年をヒーローに抜擢して撮った作品が『ミラクル☆キッド』である。冒頭には問題のケガのシーンも収められている。
ケガをしたミラクル☆スターに託された転身メダルで小2の虫とり少年が変身し、ミラクル☆キッドとなって怪人に挑む。5分57秒の8mmビデオ作品(1991年制作)。
 

 
この作品は【えび天】再登場を意識して作られ、番組ネタがいくつか盛り込まれている。作中に出てくる変身メダルはえび天で受けた銅賞メダル。ミラクルタワーは特別奨励賞ミニトロフィーである。
企画変更して作品の完成を急いだのには「番組が終了する前に」という思いがあったのだが……『ミラクル☆キッド』の完成と前後するように番組は突然打ち切り。
けっきょく【えび天】再登場は果たせなかったのである。
 
冒頭のケガの原因はミラクル☆スターの試作FRPの視界不良が原因。視界性を改善した発泡ポリエチレン製のマスクを作って『ミラクル☆キッド』を撮った。このマスクの作り方は次の通り。
 
自作ヒーロー:型紙マスクの作り方
 
ミラクル☆スター~実写版~